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愛媛県上浮穴郡久万高原町 高温石英
「ミネラ」81号掲載 一時期、学童保育のイベントで、砂の中から高温石英を見つけよう!というイベントを行っていました。その際こちらの高温石英を沢山仕入れたのですが、行方不明… これは別ルートで入手したサンプルなので数は少ないですが、当地の高温石英の特徴がそのまま分かる物です。577〜870℃の高温で冷えて固まった石英=βクォーツがこの高温石英。やや紫色を帯び、柱面がないため六角錐の形をしています。3、4枚目は丸まっているものの、六角錐の形が確認しやすいです。 火山灰由来の生成鉱物ですから、その昔、四国には火山があったのでしょう。大きいものだと、こちらでは5mm以上のサイズが採られたようです。
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長野県南佐久郡川上村穴沢 御所平鉱山 松茸・逆さ松茸日本式双晶
穴沢(御所平、赤面山)は明治時代の古い文献で偏平鉄電気石、松茸水晶が採れるとされ、幻の存在とされていました。平成7年になり、その場所が再び明らかになりました。険しい場所なようで、かつ電気石は極めて稀産とのこと。 小さい松茸水晶なら僅かに産出され、ヤフオクで流れているのを年に一度程度見かけます。 そんな産地の松茸水晶。大きいものはクリアな松茸になるようですが、こちらの標本はやや表面の酸化鉄でくすんでいます。白雲母に紛れ、複数大小のの松茸、逆さ松茸水晶が見られます。 特筆すべきは赤い矢印の先。日本式双晶が見られます。この日本式双晶、左翼は通常の松茸水晶、右翼は逆さ松茸水晶という、左右で形状が異なる、世にも珍しい日本式双晶をしています。 両方が松茸、あるいはリバースセプターな日本式双晶なら、海外、特にマダガスカルの紫水晶の双晶で見かけることがあります。国産水晶という括りでは、まず見かけることはないでしょう。 貴重すぎる標本と思いますが、懇意にしている往年のコレクター様の放出品として、超安価にて入手しました。
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福島県南会津郡南会津町舘岩宮里 蛍鉱山 蛍石付き水晶
退勤後、閉場間際の駆け込みで1時間弱だけ参加した浅草橋ミネラルマルシェ2020にて、なんと2000円の安価で購入できたこちら。 大きな石英母岩には細い水晶がびっしりと生え、持つ場所を謝れば指に刺さるほど。その水晶の中や横に、美しい紫色の自形蛍石がついています。中心部は僅かに緑色になっており、ゾーニングも確認できます。 https://muuseo.com/Matsu_Crystal/items/62 前掲のこちらとは異なり、蛍石には水晶は乗っていません。 ブラックライトを当てると、鮮やかに蛍光します。
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栃木県日光市足尾町鉛沢 紫水晶クラスター
「ミネラ」89号掲載 東京ミネラルショー2023にて入手のこちら。この日の最大の戦利品だと思っています。鉛沢の紫水晶自体は10個ほど持っていましたが全て単結晶。ようやくクラスターを手に入れることができました。 こちらの水晶を販売してくださった方は、ハイノ商会様。私が池袋で大量の国産水晶を手に入れたきっかけとなった、大切な方。毎年、初日開始30分以内にこちらに寄りますが、今回も行って、買えてよかったと心から思える、そんな紫水晶です。 横5.5cm、高さ3cm、最大結晶サイズは3cmで、現在手に入れることができる物としては大きい方と思います。鉛沢特有の細さはありませんが、ここらしい明るい紫が美麗です。 鉛沢で採れた紫水晶には20cmを超えるクラスターなんかもありましたが、それは博物館に展示されるようなもの。ちなみに、日本式双晶が付いていたものは、今では色が落ちてしまい、紫色がほぼ無いそうです。
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長野県南佐久郡川上村川端下(かわはけ) 松茸水晶
川端下は大きな水晶、松茸水晶、日本式双晶など、様々な形態の水晶が採れることで有名な産地。取れるものはほぼガサついた、質が悪いと言われてしまう水晶たちではありますが、手のひら大の日本式双晶というロマンが採れることもあり多くの採取家たちが通った場所です。 1930年代以降、山梨の水晶加工にこちらの水晶が使われようとしたらしく、その加工材として、90年近く経った今、当時の生業を知る者から「黒平」の水晶として譲られたというこちらが販売されていました。これを加工するというのも微妙な気もします。手持ちの水晶印材たちを観察しても、ガサつきの原因である雲母や角閃石の内包は見られません。何らかの理由で甲府に送られはしたものの、使われなかったようです。 加工と言っても、印材ばかりではありません。戦時中の水晶振動子に使われる可能性もあったでしょう。それにしても、当時の水晶振動子は山梨県内で十分に賄われていたことからするに、本当に何の加工のため「黒平」の水晶で扱われていたのかが不明です。 先細った先に付いた松茸。濁った水晶で表面も雲母の影響でガサガサ。サイズは小指ほどですので、加工には適さないものでしょう。と、ここまでマイナスイメージばかりでこの水晶を語っていますが、松茸水晶の大きさで言えば恐らく国産水晶では随一の川端下産水晶。その様子を知るには丁度良いサイズの標本です。
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岐阜県中津川市苗木 ファントム煙水晶
1cm程度のものばかりですが、これらは全てファントムとなっています。写真のものは全て同じガマより産出されたものです。 平成初期頃には、ガマ粘土の中から大量の白水晶、煙水晶が採れたそうで、一度に数百本なんてこともあったと聞きました。 中には角閃石と思しき針状鉱物が山の形に入るものもあります。
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岐阜県中津川市苗木 灰色がかった煙水晶
薄い茶色の煙水晶に、灰色の水晶が覆い被さった形の煙水晶です。覆い被さるというよりは、頭が複数に分かれたとも言えましょう。 前掲のものとは少し寒色系の雰囲気をして、クールな感じが見られます。こちらも採取禁止となる前のオールドストック品。
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岩手県北上市和賀町 仙人鉱山 赤鉄鉱付き水晶
触れるとメタリックな粉が付いてしまう、取り扱いが難しい赤鉄鉱がふんだんにまぶされた水晶です。水晶自体はそれほど大きくもなく、多くは欠けてしまっています。 産地に行くと、地面がきらびやかに輝いて見えるほどに赤鉄鉱が豊富なのだそう。そんな中から水晶を取り出すとなると、目が眩みそう。 同産地には紫水晶や日本式双晶の採取報告もあります。
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栃木県塩谷郡塩谷町下寺島 万珠鉱山 紫水晶
紫色というよりは桜の淡い桃色に近く、道明寺桜餅のイメージ。細かい結晶が生え、前に突き出した母岩部分までびっしりと覆っています。 万珠鉱山の紫水晶は、多くは細かい結晶が母岩から生えるタイプのクラスターで、ごく一部の場所では2cmほどの単結晶も産出しています。色味は紫色、時々濃い紫もありますが、鉄分の影響(透けて見える母岩の影響もある)で赤〜オレンジ色の水晶も存在します。 東京ミネラルショー初日に購入。万珠鉱山の標本はすでに持ってはいたものの、色味に惚れての購入となりました。
2000 東京ミネラルショー2021 2021.12.10水晶好きな松ちゃん
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山梨県甲州市塩山竹森 苦土電気石入り水晶①
水晶採取初心者は、まずここの水晶から始まった方が多い、そう聞きます。 塩山駅からしばらく歩いた場所に産地があり、学生や子ども連れのグループをはじめ、愛好家たちが簡単にアクセスできることから頻繁に採取が行われていました。小粒ながら内包物が多い北斜面(北山)に対し、大きくクリアなものが取れる南斜面(表山)と、場所により採れるものが異なりました。しかし、どちらもあまりにも荒らされてしまったことで、2010年代中期頃に完全採取禁止となりました。 竹森の水晶の歴史は非常に古く、付近にある神社が「玉宮神社」とあることから、玉=ぎょく=水晶が採れる場所として、神社設立の頃から水晶産地として知られていたようです。明治10年の内国勧業博覧会に、当地のススキ入り水晶(当時は草入り水晶と名付けられていた)の原石、玉、印材、花瓶が出展されていました。無論、明治時代以降の水晶加工業が盛んになった時、竹森の水晶採掘も盛んになりました。 裏付けるかのように、水晶峠の草入り水晶と並んで、印材やかんざしに使われる素材には、竹森の水晶が多いです。時には「国産ルチル入り水晶」という謎名称で販売されていることもしばしば。パワーストーン界隈では、針状鉱物=ルチルと思われる方が多い様子。 こちらの水晶は4.7cmで、苦土電気石、微量の白雲母が内包された、典型的な「ススキ入り水晶」です。昭和後期に採取されたもので、当時でも立派な大きさの水晶となります。 頭が不完全ではありますが、内包物に注目すれば素晴らしい標本です。
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福島県郡山市逢瀬町多田野鬼ヶ城 水晶クラスター
昔から有名な産地で、初心者向けの水晶とのことです。それでも最近は良品が出回るのを見かけなくなりました。 私もこちら一つしかありません。買っておけば良かった。 細い結晶は長くて2センチ程度。曇り一つない微細な結晶がたくさん生えています。 産地名の鬼ヶ城の由来は、鬼がこもっていたという大穴があったからだそうです。もしかしたら、この水晶を取られたくないのでそういう地名にしたのでは、なんて思ってしまいます。
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新潟県胎内市持倉 チャート上に成長した水晶
持倉、昔はよく水晶が採れる場所として名が知られていたものの、今現在採取が禁止されてしまいました。 1〜4枚目の標本は、2001年末に採取されたものとのこと。雪深いところから採取したと思うと過酷だっただろうなぁ…としみじみ。購入は2019年の東京ミネラルショー三日目。国産水晶を大量に販売されていたハイノ商会様よりいただきました。 5枚目以降は鉱物コレクター様からの恵与品。透明度が実に高い標本です。内包もなく、曇りもありません。表面には微細な石英が付着しております。
東京ミネラルショー2018水晶好きな松ちゃん
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秋田県大仙市協和荒川 荒川鉱山 白水晶クラスター
とにかく、数が多い。 そして、安い(笑) 死亡事故が起きて採取禁止になる前は、フリマアプリやヤフオクで当たり前に見られた荒川鉱山の水晶です。ミネラルショーでも3個1000円とかで手に入りました(4、5枚目のやつ) 特徴的なのは、その結晶の形。典型的なカテドラル、砲弾型(別名アーティチョーク型)をしています。また、頭は透明度が高いのも面白いです。 他の標本の時にお話しますが、このタイプを軸にして、紫水晶や緑水晶なんてものがあるのです。実にバラエティに富んでいます。 国産水晶を集め出したばかりの方は、ぜひ一度手にとって見てはいかが?
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福島県南会津郡南会津町舘岩宮里 蛍鉱山 水晶クラスター
前掲のハリネズミ状水晶のおまけでいただいた水晶。 おまけとは思えない、美しいクラスターです。全方向に結晶が伸びており、邪魔されない泥の中でゆっくり育った水晶と思われます。水入り水晶が見つかる蛍鉱山特有の両錐水晶の塊という感じ。 蛍鉱山は入山料を払えば採取ができる数少ない鉱山とのこと。この様な水晶でも見つけられたら最高でしょうね。
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群馬県沼田市戸神町戸神山 紫水晶
戸神山は、昔金山として開発され、現在ではハイキングが盛んな山になっています。 こちらは2019年の東京ミネラルショーにて、丸玉に加工されていたものと同産の紫水晶となります。 脈状の紫水晶クラスターで、産状としてはほとんどが紫石英になっているため、頭付きは現在では珍しくなりました。写真にある様なものは、かなり深くまで掘らないと出てこないようです。8枚目の赤みがかったクラスターも見られます。 一時期ヤフオクでよく見かけられ、最近では採取が頻繁に行われているようです。ミネラでも取り上げられていましたね。
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