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ミケランジェリのラフマニノフ 純粋な音の僕(しもべ)
ラフマニノフのピアノ協奏曲は 第3番、第4番、第2番、第1番の順番で好きです。ただ、アナログレコード時代はこのミケランジェリ盤をのぞいて持っておりませんでした。CDで発売されたアシュケナージ盤を買ったのですが、当時、買って早々プラケースを、転ばぬようにしっかりと床を踏みしめてヨチヨチ歩き始めたばかりの長女に踏んづけられ、ひびが入り壊れたままであります。
ただ、このミケランジェリの1957年だかの録音盤はアナログを手放した後もCDを買い直し、よく聴きました。
モーリス・ラヴェルのト長調の協奏曲とのカップリングでこのラフマニノフの比較的短いト短調の第4番が入っています。
ミケランジェリの協奏曲の録音はステレオになってからは数えるほどしかなく、ベートーヴェンで4曲(大好きな第4番は発売されませんでした。何故か中国版の違法録音のようなものがYouTube にありましたが、録音が悪かったですね。)後シューマンやリスト、モーツァルトで3曲か4曲。晩年のものは牛刀でニワトリを裂いているような感じでした。15番は素晴らしかったんですけどね。)
昔、吉田秀和氏が、ミケランジェリに『あなたはラフマニノフでは何故4番しか録音していないのですか?』と尋ねたそうです。
そしたら、ミケランジェリは『1番から3番まではラフマニノフ自身の完璧な演奏がある。ところが彼は第4番に関しては何故か完璧とは言えない演奏しか残していない。だから、私が演奏してみても意味があるのかもしれない」と思ったとのことでした。
この辺に音楽に対する彼の向き合い方が見えたような気がします。よく演奏をキャンセルする人であり、スタジオレコード録音に馴染まない作品は頑として録音しないし、ベートーヴェンを全集で録音するために納得がいかなかった第4番の発売許可を出さなかった彼の姿勢が見えるようです。(ちなみにベートーヴェンの第4番は昔モノラルのライヴ演奏を録音したもので第5番と演奏もオケも指揮者も別々のを擦り切れるまで聴いていました。某新宿のレコード店で見つけたで中古品でしたね。
このモノラル2枚組は擦り切れるほど聴いていたのに当時のヤフオクで高値で売れたのはびっくりでした。
このラフマニノフの第4番の協奏曲は名演です。彼の持つソノリティが彼のための作品のようにぴったりフィットしています。
音の切れ、絶妙のペダリング、厚い響きの物理的に感じるほどの滑らかな質量、唯美的と言えるほどにステレオ創成期とは思えない鳴りきった音たちのナハトムジーク。凄いです。
フィルハーモニアO 指揮はエットーレ・グラチスです。
『第4番ってこんなにいい曲だったのか!』そう思わせる演奏です。
ちなみにショパンコンクール優勝後、一時期彼を師事していたマルタ・アルゲリッチもラヴェルのト長調とこのラフマニノフの第4番をカップリングしたものをリリースしています。こういう組み合わせはこの二人以外ではボクは知りません。
ラヴェルはラ・ヴァルスとか良く左手のための協奏曲とカップリングしますよね。
https://youtu.be/t3hUstkcrUM?si=Q3fCdoCm25SSFlHr
woodstein
2025/05/29ラフマニノフのピアノ協奏曲4番は、ピアノ協奏曲全集に収録されているもの以外聴いたことがないですかね。4番がお好み、というのは、なんとなく理解できますが、私自身は聴きやすさもあってやはり2番が最も好きです。
ミケランジェリも座右にしているのは、ドビュッシーのピアノ作品集ですかね。非常に繊細であるゆえに少しおおらかさに欠ける芸風、というのが私の感想で、まんべんなくどの作曲家の曲を弾きこなすというよりも、19世紀後半以降の作品がハマるのかな、と思っています。そういう意味ではラヴェルやラフマニノフの曲の演奏には興味あります。
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