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明延鉱山の珪化帯標本 2021-04-18
数年前に見付けた鉱脈の露頭。それを外してきた。ズリからでは、産状を予想するしか無いけど、露頭なら、直接観察できるので素晴らしい。しかも、鉱脈の全幅が上手く外せた。 熱水が最初に上昇してこれるのは、温度が高く、高圧だから。これが先走りとなって、珪化帯やヤケを生成する。そして地層が軟弱になった段階で、より低温、低圧の鉱脈の主要部分が上昇してくる。この工程を如実に表す、左右対称の鉱脈標本。 外側から硫砒鉄鉱、方鉛鉱帯と続き、中心部は硫砒鉄鉱が主な鉱物です。
熱水鉱脈・珪化帯標本 2021年4月 自採SilicifiedZone
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珪化帯の切断研磨標本 明延鉱山 2020-11-09
未珪化部分を含まない、珪化体の一部分の標本だが、直線状の石英脈が走る標本。明延の珪化帯は、主に鉛、亜鉛の鉱床で、黄銅鉱はあまり含まれないが、この様な珪化帯には黄銅鉱も含む。よって、先走りと言っても、本体鉱脈の性質に少し近い鉱液なのか。
熱水鉱脈・珪化帯標本 兵庫県 明延鉱山 2018年SilicifiedZone
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珪化帯の鉱石 赤金鉱山 2020-11-09
珪化帯は、普通の鉱脈と違って、網目状に細脈が通っているところが違う。母岩に珪酸鉱液が浸透している状態が見られる。普通、我々が言うところの鉱液は、太く大きな石英の鉱脈は作るが、この様な振る舞いはしない。それは、鉱液の性質が全く違うから。 珪化帯が先走りとなり、その後に、我々の言うところの鉱脈が貫入し生成する。また、この鉱脈には、地表近くで「ヤケ」を作る力は無い。ヤケは、先走りの地表近くでの作用だろう。 明延型の珪化帯には、銅は乏しく、どう言う訳か方鉛鉱と閃亜鉛鉱が多い。
熱水鉱脈・珪化帯標本 兵庫県 赤金鉱山 2020年11月SilicifiedZone
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鉱脈のコアストーン 兵庫県 大山鉱山 2020-10-15
鉱脈の根元はどんな物だろうかと、何時も考えていた。つまり、マグマの中で、どのようなシステムで、金属成分などが濃集するのかというメカニズムの過程だ。地質断面図には、マグマの天辺あたりに、ネズミの尻尾のような物が描かれているが、これは間違いないと思うけど、その根元はどうなっているかの話。 ある大学の説では、重たい金属成分がマグマの上に集まってくるらしい。また、正マグマ鉱床というのは、重たい金属成分は、マグマの底に溜まるという。正マグマ鉱床は、そのメカニズムが取り敢えずは説明がされているが、天辺に集まるという説は説明がなされていない気がする。蒸気だからと言う話もあるようだけど、鉄の沸騰点は常圧で2862℃。 大山鉱山は、試掘程度の零細鉱山で、採算が取れたか分らないような(多分取れていない。しかし騙された人はいるかも)、小規模で低品位の鉱石ばかり。標本になりそうな石も無かった。しかし、一つだけ、目が釘付けになった一抱え程の大きさの石が有った。以前から探していた、コアストーン型鉱石だ。つまり、マグマ全体から金属成分が一カ所に濃集した証拠の石。 中身は全く風化はしていない。しかし、外側は粘土化してしまっている。しかも、磁硫鉄鉱を主に、黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱の微粒が、超低品位ではあるが集中しているコアストーン。これが大鉱床だと、コアストーンも巨大すぎて、全体を標本にする事は出来ない。本当に手頃な大きさだった。これ以上大きかったら持ち帰れないし、小さかったらただの石ころ。 1枚目写真は、おそらくは、この方向で胚胎していた気がする。それを二つに切ってみた。 2枚目写真は、底側の写真。流紋岩の流理を残している。 3枚目写真は、その断面。
熱水鉱脈・珪化帯標本 兵庫県神河 大山鉱山 2018年SilicifiedZone
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バラ輝石の鉱脈 明延鉱山 2020-10-11
明延で、母岩の緑色珪岩にバラ輝石の鉱脈が走っている石を見つけた。大きさは、40㎝×28㎝の大きなもの。本来なら縦に二つ割りにしたいところだか、この大きさだと、機械が小さいので、自分では切れない。 仕方なく、二つに切って様子を見る事にした。その結局、その断面も置いておきたくなって、暑さ4㎝ほどを切り落とした。そして、その両端の石を二つ割りにすることにした。十字に切断して、左右をくっつければ、2枚に下ろしたのと、ほぼ一緒と言う考え方は、これで無くなった。 結局、5枚に下ろす事になった。1枚目と2枚目の写真が、縦割りにしたところの断面。3枚目が、その中間の断面。4枚目と5枚目は、それぞれの拡大。これを見ると、結構複雑な鉱化作用があった事が分かる。 それに、この鉱石には、パイロクロアイトを含んでいて、褐色に変色してきた。その防止のために、蝋をコーティングして、ラップで巻いてある。 この断面を見ると、珪化作用の様子が良く分かる標本に仕上がった。
熱水鉱脈・珪化帯標本 2020年7月 明延鉱山SilicifiedZone
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珪化帯の鉱脈標本 明延鉱山 2020-10-07 No.2
この標本は、珪化帯の左側に石英脈が貫入したもの。不思議なのは、石英脈が左右対称でないこと。石英脈の左側は、赤銅鉱帯です。その亀裂、または弱線に貫入したために、左右対称にならなかったものと考えられます。 前の、珪化帯の鉱脈標本 明延鉱山 2020-10-07 の説明に石英脈の中心部が弱いので、そこで割れると書いてますが、この標本は、まさにその通りの標本です。
熱水鉱脈・珪化帯標本 明延鉱山 2020年9月SilicifiedZone
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珪化帯の鉱脈標本 明延鉱山 2020-10-07
だいたい、鉱脈と言うのは、中心より半分に割れる事が多いのです。鉱脈の中心には空洞が有ったり、亀裂が入って居たりして、一番弱い場所なのです。 この石も、やはり、鉱脈の中心部より割れたのでしょう。1枚目と2枚目写真は、一つの石を半分に切断した物です。そこで、この切断片を並べておくと、鉱脈の様子が分かる様になります。鉱脈の走行方向に垂直な縦断面、もしくは、鉱脈の傾斜方向に垂直な横断面の構造が見えてきます。 そこで、この石を写真のように並べて置くと、鉱脈の元々有った様子が分かる様になってきます。つまり、珪化帯と珪化帯に貫入した鉱脈の様子が見えてきます。この様な鉱脈部分は、あまり高品位な物は有りません。よって、ズリ等に残っている事が多いのでしょう。 この石は、珪化帯は主に閃亜鉛鉱と方鉛鉱、石英脈部分には、黄銅鉱と斑銅鉱体が有ります。
熱水鉱脈・珪化帯標本 明延鉱山 金木谷 2020年9月SilicifiedZone
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珪化帯 鐘打鉱山
鐘打鉱山の石英脈珪化帯・切断研磨標本です。見事に珪化帯の構造を示しています。 珪化帯は、石英脈から珪酸分が供給されてはいないのです。石英脈は珪化帯が生成した後に形成されるようです。 石英脈の母岩に、硫砒鉄鉱の小さな自形結晶が大量に含まれています(2枚目の拡大写真の灰色の部分)。現地では、これが謎だったのですが、切断標本にしてみると、その生成過程までも判明します。 今まで、幾つもの鉱脈切断標本を作りましたが、珪化帯の構造を、これだけ鮮明に現わしている石は有りませんでした。、
熱水鉱脈・珪化帯標本 32㎝×15㎝ 京都府 鐘打鉱山 2007年頃SilicifiedZone
