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シカマイアの正体を示す標本 2023-06-06
私の雲根誌21の館には、シカマイアの正体を示す標本が幾つか在る。その一つがこれ。 シカマイアの最新説は、「巨大二枚貝である」と言う論文が発表されている。しかし、二枚貝と言えないシカマイアが、数は少ないが存在する。それは、シカマイアの真中心部での切断面でないと、この形は現れないからだ。その確率は、数10分の1位か。この部分は、シカマイアの蝶番部分とされている。 本巣市が、シカマイアの標本を集めて置こうと、地元同好会に依頼して、その候補標本に黄色い印を付けて貰った。その印が、この標本の右下に付いている。そしたら、その数100個になったらしい。そこでさらに選別して、数10個に絞り、それらに赤い印を付けられて、それを回収された。これは、その選に漏れたシカマイア。むしろ、最高の標本で、金色を付けるべきだったと言えるだろう。 雲根誌21の館では、「シカマイアは、海綿化石」と考えて居る。また地元では昔から、「アヤメ石」と呼称されており、まだこちらの方が、この形・構造を良く観察、理解されているのだと思う。
雲根誌21 化石編 写真に物差しが置いてあります。 岐阜県本巣市根尾 初鹿谷SilicifiedZone
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珪化帯の切断研磨標本 明延鉱山 2020-11-09
未珪化部分を含まない、珪化体の一部分の標本だが、直線状の石英脈が走る標本。明延の珪化帯は、主に鉛、亜鉛の鉱床で、黄銅鉱はあまり含まれないが、この様な珪化帯には黄銅鉱も含む。よって、先走りと言っても、本体鉱脈の性質に少し近い鉱液なのか。
熱水鉱脈・珪化帯標本 兵庫県 明延鉱山 2018年SilicifiedZone
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鉱脈のコアストーン 兵庫県 大山鉱山 2020-10-15
鉱脈の根元はどんな物だろうかと、何時も考えていた。つまり、マグマの中で、どのようなシステムで、金属成分などが濃集するのかというメカニズムの過程だ。地質断面図には、マグマの天辺あたりに、ネズミの尻尾のような物が描かれているが、これは間違いないと思うけど、その根元はどうなっているかの話。 ある大学の説では、重たい金属成分がマグマの上に集まってくるらしい。また、正マグマ鉱床というのは、重たい金属成分は、マグマの底に溜まるという。正マグマ鉱床は、そのメカニズムが取り敢えずは説明がされているが、天辺に集まるという説は説明がなされていない気がする。蒸気だからと言う話もあるようだけど、鉄の沸騰点は常圧で2862℃。 大山鉱山は、試掘程度の零細鉱山で、採算が取れたか分らないような(多分取れていない。しかし騙された人はいるかも)、小規模で低品位の鉱石ばかり。標本になりそうな石も無かった。しかし、一つだけ、目が釘付けになった一抱え程の大きさの石が有った。以前から探していた、コアストーン型鉱石だ。つまり、マグマ全体から金属成分が一カ所に濃集した証拠の石。 中身は全く風化はしていない。しかし、外側は粘土化してしまっている。しかも、磁硫鉄鉱を主に、黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱の微粒が、超低品位ではあるが集中しているコアストーン。これが大鉱床だと、コアストーンも巨大すぎて、全体を標本にする事は出来ない。本当に手頃な大きさだった。これ以上大きかったら持ち帰れないし、小さかったらただの石ころ。 1枚目写真は、おそらくは、この方向で胚胎していた気がする。それを二つに切ってみた。 2枚目写真は、底側の写真。流紋岩の流理を残している。 3枚目写真は、その断面。
熱水鉱脈・珪化帯標本 兵庫県神河 大山鉱山 2018年SilicifiedZone
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ペレタ石 2020-10-11
とある輝安鉱鉱山の休山時、坑口にトロッコ1台分位のペルチェ鉱の鉱石が積まれていたと言う。それが、鉱山の整理の時、何処かのズリに放棄したらしいが、それが何処か分からないと言う。それが、どこかと推理すれば、もちろん、最後に出したズリの先。その辺りには、確かに、ペルチェ鉱の拳大から、人頭大の鉱石が転がっていた。放棄してから線路を外してしまったのだろう。 それを誰も知らない時は、行くと、一つ二つ、持ち帰ってはいたが、だんだんと人に知られるようになり、今では、先ず採れなくなってしまった。割り散らかしてある鉱石片を持ち帰り、丁寧に探すと、自然金が出て来る事もある。水晶のガマを見ていたら、ちょっと、水晶とは、違和感のあるものが出てきた。それが、このペレタ石とそっくりの形をした結晶。産状と結晶の形からペレタ石に同定した。決められれば、日本新産鉱物になる。他でも、数か所で見つけてはいるが、産出量が少なく分析が出来ていない。 写真の視野は、1枚目が径3センチ、2と3枚目が径5㎜。小さいので、余程、気を付けて観ないと分からない。
鉱物結晶 2018年SilicifiedZone
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銀黒似の「にたり」鉱石 大立鉱山 2020-09-30
銀黒に似てはいるが、ほとんど銀の入っていない鉱石を「にたり」と言う。 聞いた話によると、隣の高品位鉱を掘っていた大身谷鉱山が、ここは低品位鉱ばかりと判断して売却した鉱区を、三菱が買いとって開発したと言う鉱山らしい。大立の坑夫の話(と言っても、明延の坑夫) によると、低品位の悪い鉱石だったと言う。 この高品位に見える鉱石も、銀の含有量は少ないと思う。おそらくは閃亜鉛鉱が多い。
鉱物標本 兵庫県宍粟市 大立鉱山 2018年SilicifiedZone
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和束の空晶石 2020-09-05
ホルンフェルスには、よく桜石と空晶石が含まれています。この標本は、空晶石を含むホルンフェルスです。このありふれた石が、実は、謎の多い不思議な石なのです。 一般的に、空晶石とは、紅柱石と言う鉱物の内、炭質物で規則正しく囲まれ、その横断面が十字形を示す鉱物とされています。 この和束の空晶石は、ピンク色の紅柱石です。 この説明だけで、鉱物的に、不思議な鉱物であると分かるでしょう。空晶石以外に、全てが炭質物で囲まれていると言う鉱物が在るのでしょうか。 と言う事で、空晶石の構造が良く分かる様に、切断研磨し、ガラス板を張り付けました。
雲根誌21 化石編 18㎝×9㎝ 京都府相楽郡和束町SilicifiedZone
