月報 日本コロムビア 1960〜1963年

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1960年に入ると、ヴァーヴ・レコードが登場します(第1回発売は1960年9月20日)。ノーマン・グランツによるジャズに特色あるレーベルです。

この時代、コロムビアは特別企画の組物で、品番のないレコードを少なからず発売しています。画像にあるベートーヴェン交響曲全集(ワルター指揮)もそのひとつなのですが、現代の感覚だと、アイテムを特定する品番なしでは管理が出来ないと思いますが、一般企業ではコンピュータのない時代なんですね。

ステレオ盤が普及していった時期ということで、各社(各レーベル)がそれぞれ自慢の録音方式を誇示していましたが、中でもCBS系の「360 SOUND」は良く知られていました。そのCBS系(米コロムピア)ですが、レーベル表記が従来の「Columbia」から「CBS」に変わったのが1962年9月からです。

1962年6月1日より、ユナイテッド・アーチスト・レコードが登場します。これは、ビクターからの引越です。更に1962年12月よりタイム・レコード、1963年7月よりアマデオ原盤が登場します。こういう新規登場の場合はそれなりに告知や宣伝もされるのですが、消えて行く場合はひっそりと幕を下ろします。英コロムビア原盤が1962年12月発売分をもって、日本コロムビアの月報から姿を消しています(東芝音工に移行)。この頃の英コロムビア原盤は、月報やジャケットにも「EMI」と表記されていました。

取扱レーベルが増えるにつれて、色々と変化も起こります。1962年11月号からは、従来のレーベル別編集(エピックのページ,ヴァーヴのページ等)が廃止され、大きなジャンルの括りの中で各レーベルが混在するようになります。品番体系も、従来のレーベル毎の勝手なルールを改め、洋楽シングル盤で言うと以下のような感じになります。

LL-1   CBS
LL-1000 ユナイテッド・アーティスト
LL-2000 MGM
LL-3000 コロムビア・インターナショナル
LL-4000 ディズニーランド
LL-5000 MGM
LL-6000 エピック
LL-7000 パイ
LL-8000 ヴァーヴ
LL-9000 タイム

但し、この体系もそう長くは続きませんでした。(続きは1964年以降の項で)

邦楽では 1962年6月5日臨発で北島三郎さんのデビュー曲「ブンガチャ節」が発売されています。同じタイミングで畠山みどりさんのデビュー曲「恋は神代の昔から」も発売されています。金井克子さんのデビュー曲「ハップスバーグ・セレナーデ」は同年9月5日臨発です

また、1963年9月には日本クラウン(株)が発足し、同年12月1日に第1回新譜を発売しています。クラウンはもともとコロムビアにいた伊藤正憲が中心となって作られた会社で、その設立に際してコロムビア所属の歌手の移動も起こっています(北島三郎さん、小林旭さん等々)。クラウンの第1号レコード(CW-1)は美空ひばりさんの「関東春雨傘」です。もっともひばりさんの場合は移籍ではなく、単発的な「御祝儀」のようなものだったのでしょう。

私は伊藤正憲さんと知己はありませんでしたが、仕事の関係でこの方の葬儀には参列しました。その時に、クラウン・レコードの歌手を代表して北島三郎さんが弔辞を述べられたことを記憶しています。

#アナログレコード
#レコード資料

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    Mineosaurus

    2023/12/31 - 編集済み

    あまりにも膨大な資料に、自分の立ち位置もわからなくなります。耳で聞く音楽の流れの筋を目で追うようなしりょうですね。圧倒されてます。

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      chirolin_band

      2023/12/31

      コメントありがとうございます。長い間音楽業界で働いて来ましたが、果たして音楽好きの方々に対して、どれだけお役に立てたのだろうか、などと考えていました。余生は、その辺りを中心に地味な活動を続けております。

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    andreoli.alberto

    2025/03/29 - 編集済み

    おはようございます。非常に役立つ情報の宝庫に感謝します。ディスクのランアウトに刻まれたプレス データ、たとえば KIng ディスクの SDLB コードに関する情報をお持ちかどうかお伺いしてもよろしいでしょうか?私は日本のクラシック音楽レコードの大ファンで、もっと学びたいのですが、イタリア人なので日本語が少し苦手です。改めて彼女に感謝します。
    アルベルト

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      chirolin_band

      2025/03/30

      コメントありがとうございます。
      SDLB コードは、キング・レコードが刻印した、日本独自のマトリクス番号だと思います。
      例えばイギリス・デッカでカッティングされた輸入原盤の場合などは、本国で刻印された ZAL コード とは別に SDLB コードが刻印されているため、これが日本独自のものだと考えて良いと思います。
      原盤の種類や、ステレオかモノかによってコードが異なっているようです。

      STEREO MONO   原盤
      SDLB DLB    Decca
      SWLBT WLBT   Westminster
      SILBT ILBT    Seven Seas , ABC-Para , Vanguard , U.A. (King International)
      CLB    Capitol
      SKLB KLB?    King(Japan)


      番号は、おそらくキング・レコードが一連番号として採番しているのだと思いますが、詳細は判りません。
      新装再発売(同内容のレコードを、パッケージやカタログ・ナンバーを変えて再発売)に際しても
      DLB コードは変更されていないので、原盤番号と考えて良いように思います。

      ただし、私に判るのはこの程度のことなので、ご期待に添えるようなものではなかったかもしれません。

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      andreoli.alberto

      2025/04/04

      ご協力ありがとうございました!質問をより明確に説明するために例を挙げてみます。: 私は、UK ZAL5036 1E ラッカーを使用したキング レコード SLC1065 ディスク (ロッシーニのガンバ序曲) を 3 枚持っています。1 枚目のランアウト (ワックス除去) には SDLB 1/2/2 と書かれており、2 枚目には SDLB 1/2/3、3 枚目には SDLB 2/1/2 と書かれています。キング レコードがデッカからマザー スタンパーを受け取ったのか、それとも SDLB プレフィックスの付いたこれらの異なる番号を説明するために 1 枚以上のスタンパーを受け取ったのか、ご存知ですか?
      イタリアから、改めてお礼を申し上げます。よろしくお願いいたします。

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      chirolin_band

      2025/04/04

      イギリス・デッカから提供されたのが「マザー」だったのか、それとも「スタンパー」だったのか、これを説明している資料は見たことがありません。ですので、私も「知っている」とは言えません。ですが、多分「マザーだったのだろう」と「推測」しています。

      イギリス・デッカでカッティングされ、日本でプレスして販売されたレコードを見ていると、マトリクス・ナンバー(ZAL , ARL etc.)やマザー・コード(1,2,3,....)はきちんと刻印されています。これらは、イギリス本国でそれぞれメタル・マスターやマザーに刻印されたものでしょう。一方、スタンパー・コード(B , U ,C , K , I , N , G , H , A , M)が刻印されたものはまず無いと思います。これは、スタンパーが日本で作られたことを示していると思います。

      そうだとすると、キング盤の日本で刻印された「SDLB-53B-1-3-1」などは何を示しているのか?(後半の1-3-1) 
      これは私には判りません。日本流のスタンパー・コードだとしても、桁数が多過ぎですよね。

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