
ベンチャーズ 国内盤ディスコグラフィ 30cmコンピレーション編
初版 2025/01/01 05:45
改訂 2025/05/08 05:30
ベンチャーズの演奏を含めたコンピレーション・アルバムを紹介する。
(25cm盤については、「25cmLP編」で紹介済)
ここでは国内のレコード会社から通常の市販ルートに向けて発売されたものに限定する。言い換えれば、「当時のレコード店で買うことができたもの」ということになる。除外されるのが、いわゆる「通販ルート盤」や「プロモーション用の特別試聴盤」などだが、これらについては、別途取り上げたいと思う。
洋楽規格もあれば邦楽規格もあるが、ベンチャーズの演奏が1曲でも含まれていれば取り上げる。
コンピレーションのオーダー編成は一様ではないけれども、初期によく見られた「ベスト・ヒット」ものなどは、上手に選曲されていていればヒット曲をまとめて聞くことができるので、お買い得とも言えるのだが、では積極的に買い求めたかというと、実はそうでもない。
どうしてもレーベルの制約が伴うため、楽曲としてはヒットしていても、本命アーティストが別レーベルだったらそれは収録できず、持ち駒のカバー・バージョンでお茶を濁すことになる。或いは、まだ国内での知名度は低いが、レーベルとしてはプッシュして行きたいアーティストは、プロモーションの意味も込めて収録されたりする。
そんなわけで、自分としてはほとんど新品で買うことはなく、中古店で安く売られていたらそれをゲットしていた。その中古店でも見かけないものが多かったので、実際のところ、それほど売れてはいなかったのではないかと思う。
ただ、たまたま買ったコンピレーション盤を通じて、自分好みの音楽を発見する歓びもあった。リバティ・レーベルではないけれども、「ジョージー・ガール」以前のシーカーズや、「バス・ストップ」以前のホリーズなど、コンピ・アルバムを通じて出会ったアーティストだ。また、「フレディとドリーマーズ」とか「ジェリーとペイスメーカーズ」など、興味はあってもレコードを買うほどでもないアーティストも、かなり聞くことができた。はっきり言うと、ここで例に挙げたアーティストはみんなそうなのだが、1960年代半ばの東芝のオデオン・レーベルは、いわゆるマージー・ビート系がずらりと勢揃いしていたので、壮観とも思えた。そういったアルバムの中では、ビートルズだって、その中のひとつのバンドとして取り扱われていた。今では考えられないことだが。
もちろん「ビートルズ」は自分としても大本命だったが、同時代の他の音楽も喜んで聞いていたし、関心を持っていた。もちろん、ベンチャーズも大関クラスだった。現在では、ビートルズに関する書籍は、これでもかと言わんばかりに次から次へと出版されるのに対し、他のアーティストは顧みられることが少ない。これは、リアルタイムで体験した当時の感覚とは全く違う。ビートルズを聞き、ベンチャーズを聞き、ビーチ・ボーイズを聞き、フランス・ギャルを聞き、ジリオラ・チンクェッティを聞き…… そういう音楽体験を当たり前のことと受け止めていた。ビートルズは確かに一段抜けてはいたが、彼等だけで時代を形成していたわけではない。後追い世代の方がこういうコメントを目にしてどう思うのかは判らないが、古希を越え、上の世代が少しずつ鬼籍に入るのを見るにつけても、多少書き残しておく意味もあるか、などと思う。