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Sissy Spacek “Entrance”
今回は、出来立てほやほやのSissy Spacekの新譜”Entrance”をご紹介します。元々、Sissy Spacekは、米国LAのJohn Weise (B, Vo)とCharlie Mumma (Drs, Vo)から成るグラインド・コア・バンドとして始まりましたが、やがて、実験音楽的要素を取り入れるようになり、異形のバンドへと変貌していきます。今回は、先述の2人以外に、元P16.D4のリーダーであったRLWことRalf Wehowskyが参加していることが話題ではないでしょうか!それに加えて、日本からは実験ターンテーブリスト毛利桂さんも参加。また、奇才C. Spencer YehやAaron Hemphill, Brad Laner, Marco Fusinato, Tim Barnesも参加しており、更に、各面1曲ずつと言う、グラインド・コアからしたら信じられないような物理量であることも特筆すべき点であり、それだけで期待値爆上がりしてしまいますね。レーベル側の宣伝文を読むと、バンド結成26周年記念の作品であり、元々の音源は、John WeiseとCharlie Mummaが即興的に演奏した時に録音したものを使っているらしいのですが、コラボレーターである外部のミュージシャンによって、それらの音源は大きく変調・加工され、結果として、ミュージック・コンクレートのような、極めて実験的な音楽に仕上がったとのことです。特に、Ralf Wehowskyは新たなコラボレーターであったようで、それも大いに関係しているとのこと。それだけではなく、現在、米国実験音楽界で大活躍のJohn Weiseのコンセプトやテープ操作も本作品に大きく関わっているとのことです(実際、JohnはLAFMSにも関わっていますし、サウンド・エンジニアとしても活躍しています)。ロックを解体し、ミュージック・コンクレートとして再構築した、新たな「ロック」が本作品には詰め込まれています。 それで、内容ですが、先ず、A面は、いきなり、不協和音のピアノらしき打撃音から始まり、とてもグラインド・コアの演奏を加工したとは思えないような静謐かつ緻密な音響工作的な曲であり、物音のようなノイズや完全に加工され尽くされた演奏等が絶妙に配置されています。C. Spencer YehのVlnらしき音や変調された会話等、この組合せ方は如何にもRalf Wehowskyが行ったのではないか?と思わせる出来です。 B面も、テープ操作から、歪んだBや細切れのSaxやホーンやファズG、リズムを刻まない金属製打楽器(ここら辺はCharlie Mumma的)、更には物音系ノイズやフィールド録音等が緻密に組み合わさったミュージック・コンクレート曲になっています。時々、2人の演奏らしき音源の断片が挿入されるのもグーですし、ゆったりとした音や間、騒がしい音、時に暴発する音等、起伏の激しさもロック的に感じます! C面は、ドラムの即興演奏の断片が収められていますが、あくまでも裁断されたサウンド要素としてであり、その間には、キリキリとしたVlnの軋みやフルート、ヴォイス、再生速度を極端に変えた演奏、更には正体不明なノイズがパラパラ漫画のような速さで展開しており、見事にアタックのあるミュージック・コンクリートに仕上がっています。ある意味、最も「ロック的」な曲かも知れません。 D面は、不穏なオルガンとDrsの演奏から始まり、比較的ゆったりとしたドローン的展開と騒がしいグラインド・コア的展開とが上手く組み合さった曲で、時に分離し、時に重なり合い、また、電子音にも似た音源操作も加わって、カラフルな曲構成になっています。 この作品はSissy Spacekが行き着いた、彼等の実験音楽としての到達点なのかも知れませんね。特に、Ralf Wehowskyの参加は、論理的ミュージック・コンクレート的曲の制作に当たって、かなり大きな影響を与えたのではないでしょうか!? なので、これまでのSissy Spacekのファンからしてみたら、かなり異質な問題作だと思います!! ファンの方は覚悟して聴かれた方が良いかも!逆に、本作品はRLWファンには必聴ですね! ◼️LP1 ★A “Web Of Unfolding Appearance” (9:53) 参加者: Charlie Mumma, John Wiese, Katsura Mouri, Ralf Wehowsky, Aaron Hemphill, C. Spencer Yeh ★B “Figure Of Reflected Light” (17:46) 参加者: Charlie Mumma, John Wiese, Brad Laner, C. Spencer Yeh, Marco Fusinato ◼️LP2 ★C “Trancher And The Inheritors” (17:51) 参加者: Charlie Mumma, John Wiese, C. Spencer Yeh, Tim Barnes ★D “True Dimension (From The Opaque-Spike)” (16:13) 参加者: Charlie Mumma, John Wiese, Ralf Wehowsky A “Web Of Unfolding Appearance” (9:53) https://youtu.be/mefDOV4w2zI?si=_na8n9Bm4O4d60-_ B “Figure Of Reflected Light” (17:46) https://youtu.be/2nlwwNYzie4?si=PFdI2JmxeVaUwwnj C “Trancher And The Inheritors” (17:51) https://youtu.be/iSTbGwn1iMo?si=6db7ZUmpSHkPApTs D “True Dimension (From The Opaque-Spike)” (16:13) https://youtu.be/7naqPutCmg8?si=iyMUuG5RP3sfXWWM [BandcampのURLも貼っておきます] https://sissyspacek.bandcamp.com/album/entrance #SissySpacek #Entrance #ShelterPress #US #GrindCoreBand #Experimental #Noise #MusiqueConcrete #JohnWeise #CharlieMumma #Collaborators #RalfWehowsky #KatsuraMouri #C.SpencerYeh #AaronHemphill #BradLaner #MarcoFusinato #TimBarnes
Noise / Experimental / Musique Concrete Shelter Press ¥5830Dr K2
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Einstürzende Neubauten “Greatest Hits”
またまた、Einstürzende Neubautenです。しかし、今回は”Greatest Hits”と言うベスト盤と言うかセルフ・コンピレーション・アルバムです。まぁジャケ写からして、如何にもE.Neubautenらしい、インパクト大なものだと思います。それで、今回のベスト盤は、丁度、F.M. EinheitやMarc Chung在籍時期と、彼等の脱退後のJochen ArbeitとRudolf Moser在籍時期の両方を跨いでいますが、どちらかと言うと後者の方により重点をおいているようです。それで、参加メンバーはと言うと、Blixa Bargeld (A1-D4), Alexander Hacke (A1-D4), N. U. Unruh (A1-D4)の他、F.M. Einheit (A3, A4, D2), Marc Chung (A3, A4, D2), Jochen Arbeit (A1, A2, B1-D1, D3, D4), Rudolf Moser (A1, A2, B1-D1, D3, D4)で、ゲストに、Jan Tilman Schade (Violincello, 指揮者[String and Trombone Ensemble], アレンジ), Berkcan Ertan (Double-B), Daniel Casimir (Trombone), Rob Gutowski (Trombone), Bruno Schmidt (Viola)も参加しています。また、プロデュースは、バンド自身とBoris Wilsdorf (A2, A4, B1-C1, C3, D1, D3, D4), Gareth Jones (A4), Jon Caffery (A1, A3, A4, C2, D2)がそれぞれ行っています。 また、曲目は、古い順に、A4はアルバム“Haus Der Lüge” (1989年作)から、A3, D2はアルバム“Tabula Rasa” (1992年)から、A1はアルバム“Ende Neu” (1996年)から、B1, B2, B4, C2, C3はアルバム“Silence Is Sexy” (2000年作)から、C1, D4はアルバム“Perpetuum Mobile” (2004年作)から、A2, B3, D1はアルバム“Alles Wieder Offen”(2007年作)から、D3はアルバム“Lament”(2014年作)からコンパイルされています。 と言う訳で、ミレニアムを跨いだ新旧の作品が取り上げられている本作品の内容をご紹介していきましょう(とは言っても、既にご紹介している曲もありますが)。 LP1のA面は、珍しく英語の歌詞で、ゆったりとした曲にピアノの単音弾きにストリングスがバッチリ合っている名曲A1で始まり、次もアップテンポで、メタパーのスネアに、またまた英語/独逸語の歌詞がマッチしているA2(ちょっと前に紹介しています), 重めのスプリングPercとBとの絡みにBlixaの切羽詰まったVoがかなり緊迫感を醸し出しているA3, そうして録音し直して、かなりメタパー色の強くなり、ドラマチックになったA4では、ストリングスがポイントです。 LP1のB面は、ミレニアムの作品から、ピロートークのように呟くBlixaのVoが頭に残るシンプルですが、ザイロフォンやストリングスが良い味を出しているB1で始まり、静かなる「炎」を感じされる、ドラマチックな展開をみせる長尺のB2, これまた、ストリングスとPercとBと言うシンプルながらも段々と盛り上がるB3(この曲もちょっと前に紹介しました), この頃のBlixaは英詞が多かったのかな?と思わせますが、ガラスのPercとストリングスがポイントのB4で、LP1を締めています。 LP2のC面は、シンプルな音をバックに、Blixaが優しく歌うC1で始まりますが、盛り上がる所はちゃんと盛り上がります。次には、割とリズミカルなバックに呪文のような、そして微かな呟きのようなBlixaのVoが乗るインダストリアルなC2, 更に静(語り)と動(サビ)の対比がクッキリとした、更にインダストリアルな名曲C3へと続きます。サビの前のめりのVoが最高です! LP2のD面は、馬の足音のようなリズムが心地良いD1(この曲もちょっと前に紹介済み)で始まり、これまた呪文のようなコーラスとVoが絶妙なD2, 不穏なエレピの調べに語るようなVoが秀逸なD3では、バックの音が簡素にも関わらず、表情豊かで、突然盛り上がります。これも英詞ですね。そして、雫のようなエレピとBをバックに、しっとりとそして呟くように、またハキハキと歌ったりと表現力豊かなVoが冴えるD4で締めています。 もう、近年のE. Neubautenの魅力がダイジェスト的にたっぷりと楽しめます。初期の破壊的な音響ではなく、寧ろ、Blixaの独語歌詞に重点を置いた、シンプルながらも、ストリングス等で上手く盛り上がていく手法はミレニアム頃から確立していたことがよく分かる内容となっています。また、初期メンバーによる演奏と後期メンバーによる演奏の違いや曲そのものの違いも分かり、その点も興味深いと思います!なので、E. Neubautenの近年の魅力を手っ取り早く知りたければ、本作品は良いサンプル・アイテムとなるでしょう!!聴いて、損は無いアルバムでさよ!! ◼️LP1 A1 “The Garden” (5:13) A2 “Let's Do It A Da Da” (5:32) A3 “Die Interimsliebenden” (5:01) A4 “Haus Der Lüge (New Mix / Rec)” (4:00) B1 “Sabrina” (4:40) B2 “Sonnenbarke” (7:00) B3 “Susej” (4:46) B4 “Total Eclipse Of The Sun” (3:52) ◼️LP2 C1 “Dead Friends (Around The Corner)” (4:50) C2 “Die Befindlichkeit Des Landes” (6:02) C3 “Redukt” (10:13) D1 “Nagorny Karabach” (4:25) D2 “Salamandrina” (3:00) D3 “How Did I Die?” (7:31) D4 “Ein Leichtes Leises Säuseln” (4:32) C2 “Die Befindlichkeit Des Landes” (6:02) https://youtu.be/i3dzy-y1xI8?si=IYd5oTG4DRvUmH9i [partially full album] https://youtube.com/playlist?list=PLVjZYT4jcq_WKsFxGN8LdhYkdStO2sqaa&si=_eWOTxTHbTX4cjcu #EinstürzendeNeubauten #GreatestHits #Potomak #Cloud-fundingSystem #SelfCompilation #ベスト盤#Industrial #Intelligence #MetalPercussions #HausDerLüge #TabulaRasa #EndeNeu #SilenceIsSexy #PerpetuumMobile #AllesWiederOffen #Lament #BlixaBargeld #AlexanderHacke #N.U.Unruh #F.M.Einheit #MarcChung #JochenArbeit #RudolfMoser #Guests #JanTilmanSchade #BerkcanErtan #DanielCasimir #RobGutowski #BrunoSchmidt #Co-Producers #BorisWilsdorf #GarethJones #JonCaffery
Industrial / Neue Deutsche Welle (German New Wave) Potomak ¥5060Dr K2
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Einstürzende Neubauten “Alles Wieder Offen”
Einstürzende Naubautenは、いつでも、私を魅了してくれる。と言う訳で、何枚目のアルバムかは分かりませんが、このアルバム“Alles Wieder Offen (アーレス・ヴィーダー・オッフェン;「全てが再びオープンに」の意)“も、所謂、ネット上での会員制クラウドファンディングのようなシステムで、活動資金を集めて作成されたアルバムの一つであります。実に彼等らしい活動の仕方だと思いますし、インディー・ビジネスの一つのあり方を示したとも言えます。それで、この時期のメンバーは、Blixa Bargeld (Vo), Alexander Hacke (B), Jochen Arbeit (G), N.U. Unruh (Amplified Metal Bass Spring), Rudi Moser(Drs, Perc)の5人で、ゲストに、Jan Schade (Cello [B1, C1-D1], Stefano Macor (Viola [B1, C1-D1]), Anton Teslia (Vln [B1, C1-D1]), Claudia Gubisch (Vln [B1, C1-D1])やAsh Wednesday (Sampler, 16世紀Church Organ [A1], Shenngy (Back-Vo [A3], Ari Benjamin Meyers (Piano[B1])も参加しています。ただし、メンバーはそれぞれ、曲によって色んな楽器・非楽器を取っ代え引っ代えするので、各曲毎に担当楽器/非楽器をまとめてみました。歌詞は全曲、独逸語ですが、英訳が付いておます。ここら辺にも、彼等の拘りを感じますね。 それで内容ですが、LP1は、ゆったりした曲調と伸びやかなバックの音が特徴で、Blixaが語るように歌う名曲A1で始まり、反復するコーラスと強靭なビートとBlixaのVoが絶妙なA2, 優しく連打されるプラスチックパイプとスプリングに、意外な程、牧歌的な印象のA3,、そうしてB面は、ピアノの不協和音を中心に徐々に盛り上がってくるB1, メタパーのスネアもカッコ良いノリの良く、細かい音の細工も楽しめるB2, 多彩なPercを使いつつ歌い上げるタイトル曲B3で終えます。 そうして、LP2のC面は、Blixaの語りのようなVoの静かな雰囲気から、シンプルなBのリフの反復ながらも多彩な音、特にストリングスの不協和音で盛り上がるC1, 如何にも「機械」のようなリズムに柔らかいストリングスが絡み、味のあるBと静かに歌うVoに思わず引き込まれるC2、そして、ゴソゴソしたイントロから静かに始まり、意外にも希望を与えてくれるような曲調のD1は次第に力強くなっていきます。マンドリンの反復アルペジオに呟くようなVoから歌い上げたり、引き攣ったりするVoとそれらを盛り上げる演奏が秀逸なD2で、LP2も締めています。 とにかく、唯一孤高の音楽であることは間違い無いでしょう!! インダストリアルだとか初期の破壊的でアナーキーなステージングとかからは、既に脱却していて、彼等にしか出来ない音楽をずっとやり続けてきた一つの結果なのだと思います。私には、独語歌詞の意味は充分に分かりませんが、Blixaのカリスマ性と作詞能力の秀逸さだけではなく、N.U. UnruhやAlexander Hackeらの長年の音作りの仕方や独自の作曲方法、Jochen ArbeitやRudi Moserの新しい発想と演奏の導入等による更なる革新性も、彼等の最大の魅力なのではないでしょうか!!また、今回は、Jan Schadeを中心としたストリングスを導入した点もポイントが高いです。 そんなことを確信したアルバムでした。なので、やっぱり、私は、彼等がどこまで行くかを見届ける為に、Naubautenは追っかけるつもりです!皆さんにも是非とも聴いて欲しい、異形の/最新形のロックです! ◼️LP1 ★A1 “Nagorny Karabach” (4:25) Blixa Bargeld (Vo, Hammond Organ, E-Piano, Vibraphone) Jochen Arbeit (G & E-bow, Melodica) Alexander Hacke (B) Rudi Moser (Bass-Drs, Metal Perc, Jet Turbine, Blue Bin) N.U.Unruh (Amplified Metal Bass Spring) Ash Wednesday (Sampler, 16世紀Church Organ) ★A2 “Weil Weil Weil” (4:57) Blixa Bargeld (Vo, Vo-Loops, Choir) Alexander Hacke (B, Choir, Electronics, Banjo) N.U. Unruh (Choir, Amplified Metal Bass Spring, Iron Plate) Jochen Arbeit (G, Choir, Xylophone) Rudi Moser (Bass-Drs, Big-Drs, Metal Perc, E-Perc, Choir, Yang Qing) ★A3 “Ich Hatte Ein Wort” (4:19) Blixa Bargeld (Vo, Hammond Organ, A-Piano) Jochen Arbeit (G & E-bow, Hammond Organ) Alexander Hacke (G, B) Rudi Moser (Amplified Metal Bass Spring) N.U. Unruh (Plastic Pipes) Shenngy (Back-Vo) ★B1 “Die Wellen” (3:47) Blixa Bargeld (Vo) Alexander Hacke (B, Drs), N.U. Unruh (Drs) Jochen Arbeit (G, Drs) Rudi Moser (Big-Drs, Large Processed Metal Sheet) Ari Benjamin Meyers (Piano) ★B2 “Let's Do It A Da Da” (5:52) Blixa Bargeld (Vo, Sampler, Electric Drill Record Player) N.U. Unruh (E-Piano, Metal Bars, Electric Blower, Signal Horns, Vo-Recitation) Jochen Arbeit (G, Pedal Steel-G, Household Appliances) Alexander Hacke (B) Rudi Moser (Bass-Drs, Metal Perc, E-Perc) ★B3 “Alles Wieder Offen” (4:14) Blixa Bargeld (Vo, Hammond Organ Bass Pedals, Sampler) N.U. Unruh (Blue Bin, Draggled Metal Bars) Jochen Arbeit (G, Metal Bars, Back-Vo) Alexander Hacke (B, Metal Perc, Electronics) Rudi Moser (Bass-Drs, Big-Drs, Metal Perc, E-Perc, Vibraphone) ◼️LP2 ★C1 “Unvollständigkeit” (9:01) Blixa Bargeld (Vo, Jamman) Rudi Moser (Bass-Drs, Big-Drs, Metal Perc, E-Perc, Back-Vo, Glasses) N.U. Unruh (Back-Vo, Plastic Pipe, Aluminium Sticks) Alexander Hacke (B, Back-Vo) Jochen Arbeit (G, Back-Vo) ★C2 “Susej” (4:47) Blixa Bargeld (Vo, Choir, G, Clavichord, Electronics) Alexander Hacke (B, Back-Vo, Electronics) N.U. Unruh (Blue Bin, Metal Bowl) Rudi Moser (Big-Drs, Metal Perc, Plastic Pipe, Glasses, Spring Bass-Drs, Electronics) Jochen Arbeit (G) ★D1 “Von Wegen” (5:36) Blixa Bargeld (Vo, Chaos Pad, Jamman) Rudi Moser (Big-Drs, Metal Perc, E-Perc, Metal Tank Bass Drs) Alexander Hacke (B, Mandolin) N.U. Unruh (Drilled Metal Perc) Jochen Arbeit (G) ★D2 “Ich Warte” (6:07) Blixa Bargeld (Vo, Hammond Organ, E-G) Alexander Hacke (B, A-Guitar [Vihuela], Hammond Organ Bass Pedals) Jochen Arbeit (G, E-G Treatments) N.U. Unruh (Amplified Metal Bass Spring, Metal Perc, Iron Plate) Rudi Moser (Bass-Drs, Big-Drs, Metal Perc) B2 “Let's Do It A Da Da” (5:52) https://youtu.be/3HU5kbq-1zg?si=bIBXMOscSoSEfZel [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nW4XmWjo6omQlue1AaxYYOll_cwGpnxzE&si=5Fd0hSiKgdAtvnX4 #EinstürzendeNeubauten #AllesWiederOffen #Potomak #Cloud-fundingSystem #Industrial #Intelligence #MetalPercussions #BassSprings #PlasticPipes #Glasses #Guitar #Bass #Organ #Piano #Electronics #Sampler #Loops #Strings #BlixaBargeld #N.U.Unruh #AlexanderHacke #JochenArbeit #RudiMoser #Guests #JanSchade #StefanoMacor #AntonTeslia #ClaudiaGubisch #AshWednesday #Shenngy #AriBenjaminMeyers
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Der Moderne Man “Jugend Forscht - Singles, EPs, Demos 1980-1983”
もう何度もご紹介してきたNDWの代表的なバンドDer Moderne Man (デァ・モダーネ・マン)のお宝音源を含むアルバム”Jugend Forscht (ユーゲント・ファルシュト;「青少年の研究」の意)”が、独Tapete Recordsから2枚組でリリースされました。副題通り、彼等が1980年〜1983年にリリースしたシングル/EPやデモ音源を一気に纏めた内容となっています。ゲートフォールドの内側に、Der Moderne Manの足跡とメンバー構成の遍歴が書いてあります。それによると、彼等の出身地ハノーファーはScopions, JaneやEloy等も出てきたことで、ロックの街と言うイメージでしたが、大人達はそんなロックを馬鹿にしていました。そんな中で、Ziggy XYことMichael Jarick (G;ミヒャエル・ヤーリック)とKay May (Vo; カイ・マイ)は、1978年夏に、Thomas Brandt (B; トーマス・ブラント)と色々なドラマーと一緒に、The Worstと言うバンド名でライブ活動を半年程やっています。その最後のライブで、Ziggy XYは、E.K.T.ことEckart Kurtz(エッカート・クルツ)と意気投合して、Jubileeと言うバンド名で短期間活動しますが、直ぐに、Der Moderne Manと改名します。その理由は、M(英国のRobin Scottのこと)のファースト・シングル”Modern Man”に由来するらしいです。また、39 Clocksにも参加していたClaudiことClaudius Hempelmann (Drs; クラウディウス・ヘンペルマン)も正式に加入して、1979年末に、ライブ・デビューしています。その時は、Ziggy XYがパンクの怒りに取り憑かれたような激しいステージだったそうです。2回ライブをやった後、バンドはスタジオ入りし、録音に取り掛かります。そこでは、ライブで一回も演奏していない新曲“30 Grad - / 30 Grad +”やスタジオで即席でベースラインを考えた曲“Unmodern”, The Worstの曲”Now I Wanna Be Dead”を“Gib Mir Den Tod”にしたり、以前は”Badman”と呼ばれていた曲名を“Das Disco-Lied”に変えたりしています。こうして、1980年に自主レーベルHeile Welt RecordからデビューEPをリリースします。このEP“Umsturz Im Kinderzimmer (ウムシュトゥルツ・イム・キンダーツィマー;「子供部屋での転倒」の意)“はリリースした途端に、ハノーファーの外にも噂が広まり、そこで、No Fun Recordsのサポートで、ファースト・アルバムを作製することになります。それで、ベースとして、Tiny Trash Und Die Neue WeltをやっていたMattusことMartin Simons (B; マルチン・ジモンズ)が加入します。その1日後に、第二回No Fun Festivalに参加して、録音は一旦中断しますが、直ぐにスタジオ作業を再開しています。そうして、1980年に、No Fun Recordsから、ファースト・アルバム“80 Tage Auf See (アヒツィック・ターゲ・アウフ・ゼー;「海上80日間」の意)“がリリースされます。その後、Ziggy XYはシンセが余りに小音でミックスされており、言いなりに作られたこともあって、自身のバンドKosomonautentraumの方に注力し始めます。その時には、最初、ドラムにE.K.T.を起用しています。1980年末には、他のパンクバンドPhospherに在籍していたJens GことJens Gallmeyer (B; イェンス・ガルメイヤー)が加入します。それで、1981年2月に、Mattus (Vo, Synth), E.K.T. (G, Vo), Jens G. (B, Vo), Claudi (Drs, Vo)のラインナップで、6曲録音し、その中から、セカンド・シングル”Das Sandman”/“Baggersee”をNo Fun Recordsからリリースします。この時にTonCoop Demosが録音されていますが、その中でも、”Lout”やマル秘のゲイ讃歌“Blaue Matrosen”はリリースしたかった曲ですし、また”Unmodern”も全く別の曲にアレンジされていました。このデモ音源の出来は良かったのですが、Claudiに代わって、Fe WolterことFelix Wolter (Drs; フェリックス・ヴォルター)が加入し、よりプロらしいサウンドになります。その年の6月に、Hans-A-Plast, Rotzkotz, ブレーメンのA5, 39 Clocks及びBärchen Und Die Milchbubisと、Jubel 81と題したツアーを敢行していますが、Der Moderne Manだけが、ミニアルバム”Verstimmt (フェルシュティンムト;「調子が狂う」の意)”として、この時のライブ音源をリリースしています。また、この時のライブでは、後にメンバーになるTonio ScorpoことThomas Schnura (Sax, Synth; トーマス・シュヌラ)が参加しています。1982年には、メンバーのJens G.が運営していたSpargel Schallplatten (シュパーゲル・シャールプラッテン)からリリースされたサード・シングル“Welt (ヴェルト;「世界」の意)“が、同様のラインナップで作成されています。その後、11月から、バンドは”Für eine Handvoll Reis(フュール・アイネ・ハンドフォル・ライズ;「一掴みの米」の意)“の仮題でセカンド・アルバムの制作に取り掛かりますが、Jens G.の本業の関係や音源が作れなかったりで、1982年初頭に、バンドは、Klaus SchulzeのIC Studioに場を移し、その過程で、過去の曲の再録音を試みています。そうして、完成したのが、サード・アルバム”Unmodern”で、1982年にNo Fun Recordsよりリリースされています。このタイトルは、確かにプロっぽい出来ではあるのですが、何か古臭い音楽だったことから付けられました。その為、当時の英米のバンドの音楽性とは全く異なる音楽をやっていたことになります。そして、1982年春には、このアルバムのプロモーションも兼ねて、大々的な国内ツアーやテレビ出演をこなしますが、この時期に、ベースが、初期パンク/ニューウェーブ・バンドRotzkotzに参加していたAxel Wicke(アクセル・ヴィッケ)に代わります。これで、レーベルも成功を確信しますが、一方で、パンクを拒絶するレコード業界の動きもあり、バンドは、4枚目のミニアルバム”Neues Aus Hong Kong; ノイエス・アウス・ホンク・コンク「香港からのニュース」の意)”を1983年にNo Fun Recordsから出しています。バンドは、上手く音楽の潮流に乗り、1983年春にツアーを敢行していますが、多過ぎるNDWバンドで市場が飽和してしまい、結局、1984年初頭にバンドは解散しています。解散前に、1981年春のライブ音源と1983年のスイスのラジオでのライブ音源を収録したカセット作品を出しています。 以上が、Der Moderne Manのバイオグラフィーとなります。それで、先ずは、LP1から紹介さていきたいと思います。A面は、デビューEP“Umsturz Im Kinderzimmer“、Ziggy XY(Vo, Kazoo), E.K.T. (G), Thomas Brandt (B), Claudi (Drs)がメンバーですが、曲順はオリジナルとは異なっています。割とプリミティブなロックと言う印象ですが、直立するリズムから雪崩れ込むノリが良いA1, 出来立てですが、ミディアムテンポの良曲A2, 反復するゴリゴリのBと間奏のカズーが特徴の初期の名曲A3, Dビートと掻き鳴らすGで走り回るA4が収録されています。B面2曲は、セカンド・シングル”Baggersee / Das Sandman”で、Mattus (Vo, Synth), E.K.T. (G, Vo), Jens G. (B, Vo), Claudius Hempelmann (Drs, Vo)がメンバーですが、レゲエのリズムとパンキッシュなノリを上手く組合せたB1とディレイを掛けて細かく刻むGとドローン的Bが面白く、間奏で初めてシンセを挿入しているB2が収録されています。B面の残り4曲は、TonCoop Demosと題されたデモ音源で、同じメンバーですが、細かいハイハットとシンセのリフが心に残る名曲B3, ノリの良いリズム隊に心地良いシンセをフィーチャーしたB4, 連打されるピアノを使った意欲作にしてダイナミックなB5, 一転、レゲエ的リズムでテンポダウンしたB6が収録されています。特にB6は、間奏にシンセも使い、テンポもゆったりしており、A4とはまるで別曲のようです。 LP2には、サード・シングル“Welt“から収められており、この時期は、Mattus (Vo, Synth), E.K.T. (G, Synth, Back-Vo), Jens G. (B), Fe WolterことFelix Wolter (Drs)がメンバーで、ゲストとして、Tonio ScorpoことThomas Schnura (Sax, Synth)が参加しています。先ずは、B2のリミックスですが、ドローン的Bがより強調され、シンセもふんだんに使われたC1, ドタドタしたDrsに絶妙なGのリフと間奏のPercが秀逸なC2, Saxを大々的にフィーチャーしたノリの良い名曲にして代表曲のC3, ガキガキのファンキーなBがカッコ良く、間奏のシンセや反復するGも絶品なC4が収録されています。次に、ミニアルバム”Neues Aus Hong Kong”では、Mattus (Vo), E.K.T. (G, Vo), Axel Wicke (B), Fé Wolter (Drs), Tonio Scorpo (Sax)がメンバーで、ゲストとしてHolger Thenert (Trombone), Thomas Constien (Trumpet)が参加していますが、曲順は替わっています。ホーン類とスラップ奏法も混えたBのファンクなリズムから成る後期の名曲C5, そうして、D面では、C5のアンサーソングでもあり、更にファンク色及びラップ色の強調された豪華で多彩なD1で始まり、ノリの良いビートに、秀逸なシンセやGのリフが乗る、これまたインストの名曲のD2, 再び、ビッグバンド的でファンク色が濃い演奏に乗る呟きVoが特徴のD3, 再びノリの良い直角的ビートに爽やかなVoが乗るD4, 怪しげなGのフレーズとBラインが特徴で、叩きつけるスネアが凄まじい後期の名曲D5で本作品を締めています。 本作品を通して聴くと、Der Moderne Manの足跡が大体、分かると思います。初期のパンキッシュなロックから、シンセを使ったポストパンクな時期、そして、後期のファンク路線ですが、それはVoがZiggy XYからMattusに代わったことも反映しているようです。なので、もし、Der Moderne Manの足跡を体験したいのであれば、本作品はうってつけだと思います!!是非とも、NDWの中核にも位置していたDer Moderne Manの音楽の全貌を聴いてみて下さい!Tapete Recordsさん、有難う! LP1 ◼️Umsturz Im Kinderzimmer EP A1 “Das Disco-Lied” (3:51) A2 “30 Grad - / 30 Grad +” (3:36) A3 “Gib Mir Den Tod” (4:09) A4 “Unmodern” (1:48) ◼️Baggersee / Sandman Single B1 “Baggersee” (2:56) B2 “Der Sandman” (3:07) ◼️TonCoop Demos B3 “Blaue Matrosen” (3:09) B4 “Laut” (3:34) B5 “Fernsehzeit” (3:02) B6 “Unmodern” (3:55) LP2 ◼️Welt Single C1 “Der Sandman (Spenge Version / Tance Mix)” (2:29) C2 “Nicht Warten (Spenge Version)” (3:44) C3 “Bis Ans Ende Der Welt (Spenge Version)” (2:56) C4 “Tanz Dich Frei (Spenge Version)” (4:24) ◼️Neues Aus Hong Kong EP C5 “Für Frau Krause” (4:18) D1 “Für Frau Krause (Including The Return Of Frau Krause)” (7:49) D2 “Neues Aus Hong Kong” (2:17) D3 “R.A.G.” (4:14) D4 “Kinderfest” (2:10) D5 “Kein Film” (3:55) C3 “Bis Ans Ende Der Welt (Spenge Version)” (2:56) https://youtu.be/NAYLA5PScZU?si=PInA2KmnNhuGbGfM [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n1FUmsD_6smEnc6yZb6ScOodv7UZa6jmM&si=Zg_JLCSLBvT-sVHK [BandcampのURLも貼っておきます] https://dermoderneman.bandcamp.com/album/jugend-forscht-singles-eps-demos-1980-1983 #DerModerneMan #JugendForscht #SinglesEPsDemos1980-1983 #TapeteRecords #SelfCompilation #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #1980-1983年 #Singles #EPs #Demos #UmsturzImKinderzimmer #Baggersee/Sandman #TonCoopDemos #Welt #NeuesAusHongKong #Hanover #PrimitiveRock #PostPunk #Funk #ZiggyXY #MichaelJarick #E.K.T. #EckartKurtz #ThomasBrandt #Claudi #ClaudiusHempelmann #Mattus #MartinSimons #JensG. #JensGallmeyer #FeWolter #FelixWolter #TonioScorpo #ThomasSchnura #AxelWicke #Guests #HolgerThenert #ThomasConstien
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Tapete Records ¥5060Dr K2
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Andreas Dorau “70 Minuten Musik Ungeklärter Herkunft“
Andreas Dorauが、ATA TAKを離れてからの2作目のアルバムは、その名も70 Minuten Musik Ungeklärter Herkunft (70ミヌーテン・ムジーク・ウンゲクレルター・ヘルクンフト;「出所不明の70分間の音楽」)”です(とは言っても、Discogsのレビューには「収録時間59分も無いぞ!買うな!」との酷評もありました)。今回も、クラブ・カルチャーの影響を受けつつも、独自のDorau流ポップ・ミュージックをを聴かせてくれています。作曲・演奏には、Andreas Dorauの他に、Matthias StrzodaとTommi Eckart及びInga Humpe (Chorus)もゲスト参加しています。また、Ramon Zenker (A3, B1)とTommi Eckart (A1, A2, A4, B2-D3)がプロデュースを行っています。後、音楽には関係ないですが、Dorauの髪の毛がブロンドになっていたり、何故かスキーの格好をしているのも謎ですね。それでは、Andreas Dorauの本作品の各曲を紹介していきますね。 ◼️LP1 ★A1 “Lass Uns Brennen” (2:53)は、直線的シーケンスに女性のタイトルコールのサンプリングとDorauの何か気色悪いVoが繰り返される曲ですが、曲自体はポップです。 ★A2 “Girls In Love” (3:41)は、正に、Doruaらしいエレポップです!永遠のアイドルらしいDorauのVoと少女のタイトルのコーラスが絶妙にマッチしてます。ちゃんと曲の録音も凝っています。 ★A3 “So Ist Das Nun Mal”(3:54)は、割とファンク調のエレポップですが、DorauのVoが凡庸なファンクを一蹴してしまいます。流石、Dorau流ダンスミュージックの破壊力!コーラスもグー! ★A4 “Ab” (3:46)は、割としっとり目のエレポップですが、結構、ドライな音が如何にも独音楽な感じがします。勿論、DorauのVoも素晴らしいですし、後から入ってくるナヨナヨしたシンセも良いアクセントです。 ★B1 “Allein Im Park” (3:36)は、大胆なシンセのイントロで始まりますが、Voが入ってくると、何だか「一人ぼっちの悲しげなクリスマスの夜」を想起させる曲となります。 ★B2 “Das Weisst Nur Du” (3:46)は、ソウルフルな男性Voから始まる曲ですが、実は、結構可愛らしくて小気味良いポップな曲調に続いていきます。ここら辺のアレンジは流石です。 ★B3 “Du Bist Da” (4:36)は、一聴、ボサノバ調の曲ですが、どこか変で、そしてDorauのしっとりとしたVoも何かいつもと違うように感じます。異色な1曲。 ★B4 “Blaumeise Yvonne” (4:13)は、エレピの連打に乗せて、Dorauが歌うラブソング(?)ですが、切なさよりも、「淡い青春」を感じさせられます。ここら辺の曲の持っていき方もDorauらしいです。 ◼️LP2 ★C1 “Es Ist Nur Der Rauch” (5:18)は、意外にも、オルゴール風のイントロから始まる、しっとり落ち着いた曲ですが、間奏のシーケンスなんかはしっかりDorauらしいです。またVlnも良い感じです。 ★C2 “In Mich Selbst Verliebt” (4:02)は、シンコペーション的リズムに乗ったダンサブルなエレ・ポップですが、やっぱりDorauのVoは独特ですね。また、合いの手の女性コーラスやシンセのSE音や擬似ホーン音なんかもDorauらしくて、良いです! ★C3 “Wenn Du Menschen Triffst” (4:52)は、逆回転の会話から始まるスローな曲で、落ち着いた雰囲気のDorauもまた興味深いです。途中に雑踏音を入れる辺りもにくいです。また終わり方もスマートです。 ★D1 “Ich Will Dich Singen Hören” (3:47)は、割とコミカルな曲調で、サンプリングされた声を組み合わせており、ここら辺にクラブカルチャーからの影響がみられます。ただし、それはテクニックの部分だけで、曲自体はエレ・ポップです。 ★D2 “Das Mädchen Auf Dem Foto” (4:06)は、またまたDorauらしい女性コーラスを使ったエレ・ポップで、Dorauのクセのある「少年っぽい」Voも聴けます。 ★D3 “Scheinzahm” (4:01)は、スイング調の曲ですが、当然、エレクトロな訳で、ちゃんとDorau節全開です。こう言うアレンジも出来るんですね。ホーンも入っておます。 ★D4 “Lass Uns Brennen” (5:08)は、一転、ダンサブルな四つ打ちキックと女性声のサンプリングから始まり、一捻りしたダンサブルな曲に仕上がっています。ほぼインスト曲ですが、この曲もクラブカルチャーからの影響を感じさせます。 このアルバムの前のアルバム”Neu!”は未聴なのですが、その間にリリースされた12インチではバリバリフロアー用のリミックス仕様だったので、ちょっと心配していましたが、このアルバムは、Dorau節全開の可愛らしいロリコン・エレ・ポップなので、安心して聴ました。また、相方のTommi Eckartとのコンビもバッチリで、本来のAndrea Dorauのポップネスが見事に出ていて、この時期のDorauの良さも感じることが出来ますので、ATA TAK時代からのファンの方も充分楽しめると思いますよ! さぁ、Let’s Listen!! A2 “Girls In Love” (3:41) https://youtu.be/vz6lFHad6lg?si=FtHL1OC-81FUy_IV [full albums] https://youtube.com/playlist?list=PL3Q-kmqfN9jw4BBB61K_NgtJO4b7xdkVc&si=ze9kZSV9izVT-JLa #AndreasDorau #70MinutenMusikUngeklärterHerkunft #ElektroMotor #SixthStudioAlbum #2LPs #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Electro #InderPop #House #ClubCulture #Collaborators #MatthiasStrzoda #TommiEckart #Guest #IngaHumpe #Producer #RamonZenker
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro Pop ElektroMotor ¥3500Dr K2
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Savage Republic “Live Trek 1985-1986”
久々に出てきました!米国L.A.のインダストリアルの裏番長Savage Republicのサード・アルバムにして、2枚組ライブ・アルバム”Live Trek 1985-1986”を、今回はご紹介します。元々、このアルバムを狙って購入した訳ではなく、何かを買うついでに見つけて、購入したのですが、ずっーと聴いていなかったので、今回、漸く聴くことにしました。Savage Republicのバイオグラフィーについては、以前に書いてありますのでので、そちらをご参照下さい。それで、本作品への参加メンバーは、Bruce Licher (G, 12弦G, B, Perc, Vo), Ethan Port (Perc, G, 12弦G, Maracas, Metal-Horn, Vo), Greg Grunke (B, Vo, Recorder, Cümbüs), Mark Erskine (Drs, Perc, Vo), Robert Loveless (Kbd, G, B, Mandolin, Perc), Thom Fuhrmann (B, G, Vo, Trombone, Kbd)の6人とクレジットされています。セカンド・アルバム”Ceremonial”を紹介した時に、その音楽性の変貌に驚いたことは書きましたが、バンドは、解散/分裂と再結成で、大きく3つの時期に分けられそうです。第一期は、Africa Corps(1980-1981年)から改名してからの1983年末までの期間で、メンバーは、Bruce Licher (G, B, Perc, Vo)とMark Erskine (Drs, Perc, Vo)のコア・メンバーにJackson Del ReyことPhilip Drucker (G, Vo, Perc, Kbd), Robert Loveless (Kbd, B, Mandolin, Perc)とJeff Long (B, Vo, G)が加入した編成の時期で、丁度、セカンド・アルバム作製途中までの時期、そして第二期は、1984年-1989年で、メンバーは、Bruce Licher (G, B, Perc, Vo), Mark Erskine (Drs, Perc, Vo), Thom Fuhrmann (G, B, Vo), Ethan Port (G, Tapes, Vo), Greg Grunke (B, G, Vo, Dulcimer, Recorder, Cümbüs)に加えて、Jackson Del Rey (G, Vo, Perc, Kbd, Saz)やRobert Loveless (Kbd, G, B, Mandolin, Perc)及びBrad Laner (Drs, Perc, Vo, Kbd)も参加しています。この時期はライブ・カセットが多かったのですが、1988年〜1989年に、アルバム”Jamahiriya”, “I Married Thurston”そして”Customs”を出しています。その後、暫く間が空き、第三期は、2002年から現在で、Thom Fuhrmann (B, G, Vo, Trombone, Kbd), Ethan Port (Perc, G, Metal-Horn, Vo), Alan Waddington (Drs, Back-Vo), Kerry Dowling (B, G, Kbd, Vo)で、最初は、Robert LovelessやGreg Grunkeも参加していたそうです。また、Drsも最初は、Joel ConnellやSterling Foxもいましたが、2007年からはAlan Waddingtonに、またBも2007年頃にVal HallerことAdrian OsborneやJack Housenも参加していましたが、現在はKerry Dowlingになっています。アルバム”1938”を2007年に出して、復活を遂げ、マイペースでアルバムもリリースしています。 と言う訳で、本作品は、第二期初期の1985-1986年のライブ音源を集めたライブ・アルバムと言うことになります。先述のように、参加メンバーは、Bruce Licher (G, 12弦G, B, Perc, Vo), Ethan Port (Perc, G, 12弦G, Maracas, Metal-Horn, Vo), Greg Grunke (B, Vo, Recorder, Cümbüs), Mark Erskine (Drs, Perc, Vo), Robert Loveless (Kbd, G, B, Mandolin, Perc), Thom Fuhrmann (B, G, Vo, Trombone, Kbd)の6人です。では、早速、Savage Republicのライブ・アルバム”Live Trek 1985-1986”の各曲をご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Ivory Coast” (3:27)は、ダラダラしたGの爪弾きから、1,2,3,4のカウント一発で、メタパーも使ったノリの良いアップテンポに雪崩れ込むインスト曲です。Gのメロディが何処か中近東風です。 ★A2 “Siege” (4:11)は、ぐるぐるするGとBのイントロに、キックが入り、咆哮と共に、メタパーも乱打されるリズミックなインスト曲で、結構、ダイナミックな展開で、個人的には好みです。 ★A3 “Trek” (6:11)では、キリキリするG/Bの中から、スパイ映画のようなBラインが立ち上がり、やはり雪崩れ込むように、トライバルでリズミックな曲となります。Gのメロディは何処か叙情的にも聴こえます。 ★A4 “Mobilization” (2:58)は、再び、メタパーをふんだんに取り入れたアーバン・トライバルな曲で、Voも入っています。メロディは何かVlnっぽい音なのですが、誰が演奏しているのでしょうか? ★B1 “Last Grave At Dimbaza” (2:55)は、中近東風のBラインとタム多用のDrsに、Gのメロディが冴えるインスト曲です。 ★B2 “Dionysius” (2:38)は、一転、王道のポップミュージックのような聴き易いインスト曲で、ビート感も申し分無しですし、Gのメロディもかなりポップですが、異色なナンバーです。 ★B3 “Attempted Coup: Madagascar” (3:38)は、トライバルなDrsやPercに、咆哮のようなVoが乗る曲ですが、途中でダブルBのようになって、上昇していきます。 ★B4 “Exodus” (5:59)は、B3に連続して、Bラインから始まり、リズミックなPercとジャングル・ビートを叩き出すDrsに、Gのメロディが乗るインスト曲で、バックにはKbdらしき音も聴取出来ます。 ★B5 “Real Men” (3:19)は、ノイジーな低音に連続して、ドコドコしたDrsとメタパー及びグリグリしたBをバックに、叫ぶようなVoが入る曲で、”We’re the real men!”と言う歌詞が耳に残ります。 ◼️LP2 ★C1 “Machinery” (3:09)は、結構カッコ良いビートの効いた曲で、パンキッシュなVoも入っています。とにかくBラインがイカしていますし、Gもカッコ良いです。 ★C2 “Ceremonial” (5:00)では、ジワジワ迫るイントロから、唐突なGのカッティング、そしてポストパンクなビートの効いたインスト曲が始まります。曲展開もドラマチックで、途中のブレイクもグー! ★C3 “Assembly” (4:41)は、Gの奏でる中近東風メロディに合わせて、メタパーやPerc、更にDrsも加わってくるインスト曲で、トライバル感も強いです。 ★C4 “Procession” (5:39)も、ジャングル・ビートを叩き出すDrsに、GやKbdがメロディを奏で、更に、それらをバックに、野太いVoが入る曲で、結構トランシーです。 ★D1 “Sudoxe” (4:41)は、いきなり逆回転から始まりますが、これは一種のドッキリでしょうか? ただGのメロディは結構良いです。多分B4の逆回転だと思います。タイトルもアナグラムですし。 ★D2 “Spice Fields” (6:37)は、グリグリするG/BとカッティングするGから始まる曲で、何処となくThe Gun Clubの醸し出すカントリーっぽさを感じます。勿論、Voも入っています。また、それぞれの楽器がグリグリ弾きまくったりもしています。 ★D3 “Year Of Exile” (9:32)は、12弦GのアルペジオとGのイントロを経て、次第にテンポアップするDrsから、感情に訴えるGのメロディとビート感も充分なリズム隊から成るインスト曲で、やがて、忙しないDrsとメロディを奏でるKbd?/G?に、低音でのメロディのBも入ってきて、その後、ドラマチックな展開となります。 セカンド・アルバムを聴いた時は、驚いたのとちょっとガッカリした覚えがありますが、本作品は、トライバル・インダストリアルな曲が多くて、正直、安心しました。それにしても、Savage Republicの本質を垣間見たような、良く出来たライブ・アルバムだと思います。それは、如何にも、米国らしい香りのする「インダストリアル」と言うか「ポスト・パンク」らしい音楽性で、例えば、Hunting LodgeやThe Gun Clubと言った米国でさか生まれないような、「砂っぽい」独自性を感じることが出来ます。また、それと同時に、僅かながら中近東風のメロディも感じることが出来るのも、Savage Republicの特徴でしょう。なので、中近東風味のある米国臭のある音楽を聴きたい時には、本作品はピッタリです! Let's Try!!! https://youtu.be/iTwtIxiGKgg?si=6LuxtaCg3PXV1rgZ [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLvlZklfv96MNvAsjQh3gZdSfFZ4bZABD-&si=Sb-Mat-zMmW9Lkm2 #SavageRepublic #LiveTrek1985-1986 #Fundamental #NateStarkman&Son #ThirdAlbum #LiveAlbum #Industrial #Tribal #PostPunk #Instrumental #MetalPercussions #Americana #Middle-East-like #BruceLicher #EthanPort #GregGrunke #MarkErskine #RobertLoveless #ThomFuhrmann
Industrial / New Wave / Tribal Fundamental / Nate Starkman & Son 不明Dr K2
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Motörhead “Bomber” / “Ace Of Spade”
もしMotörhead初期のアルバムで良いヤツを挙げるなら、やっぱり”Bomber”と”Ace Of Spade”になるんじゃないかなあと思っていたら、見つけました。2 in 1の美味しいアルバム。しかも曲目や曲順もほぼオリジナル通り。しかもブートレッグではない正規のアルバムです。嬉しいじゃありませんか!それで、LP1は、1979年リリースで、曲順はオリジナルのままで、メンバーはLemmy (B, 8弦B, Vo), Philthy Animal Taylor (Drs, Perc), Eddie Clarke (G, Vo[B3])で、Jimmy Millerがプロデュースしています。LP2は、1980年リリースで、曲順がオリジナルと若干変わっていますが、メンバーはLP1と同じで、Vic Maileがプロデュースしています。それで、各曲をご紹介していこうと思ったのですが、寧ろ、各LPずつ纏めて紹介したいと思います。 ◼️LP1 “Bomber” A1 “Dead Man Tell No Tales” (3:00) A2 “Lawman” (3:57) A3 “Sweet Revenge” (4:08) A4 “Sharpshooter” (3:10) A5 “Poison” (2:47) B1 “Stone Dead Forever” (4:48) B2 “All The Aces” (3:17) B3 “Step Down” (3:35) B4 “Talking Head” (3:34) B5 “Bomber” (3:36) ◼️LP1 “Bomber”は、ジャケからしてカッコ良い。A1やA4の直線的なノリも良いが、A2の跳ねるような6/8拍子のブギの曲もカッコ良い。まだGソロも最小限なのが、私がMotörheadの好きな理由の1つです。A3はA2のエンディングからフェイドインしているスローな曲で、こう言う緩急の付け方もうまい。後、間奏のGソロに逆回転音も入っている?A5のドラムも凄いなぁ。Gソロも簡潔でよろし。B1, B2, B4もドライブするBとDrsに簡潔なGのリフとソロ、これぞロックだなぁ。B4なんかはBにフランジャー掛けてますね。B3なんかのスローな曲で、バンドの力量が分かると思いますが、この曲はEddie Clarkeがクリーントーンで歌ってますね。B5はタイトル曲で、突っ走る勢いが凄まじいですね。これをトリオでやっているのが、信じられない位、音も分厚いし、ドライブ感も半端ないです。やっぱり名作ですね。ただ、フェイドアウトしていく曲が殆どなのが、ちょっと悲しい。それとLemmyの酒灼けたヴォーカルはやっぱりMotörheadじゃないと生かせないなと確信しました。 ◼️LP2 “Ace Of Spade” C1 “Ace Of Spades” (2:46) C2 “Love Me Like A Reptile” (3:21) C3 “Shoot You In The Back” (2:37) C4 “Live To Win” (3:34) C5 “Fast And Loose” (3:22) C6 “(We Are) The Road Crew” (3:10) D1 “Fire Fire” (2:42) D2 “Jail Bait” (3:31) D3 “Dance” (2:36) D4 “Bite The Bullet” (1:38) D5 “The Chase Is Better Than The Catch” (4:15) D6 “The Hammer” (2:45) ◼️LP2 “Ace Of Spade”のジャケを見て、皆んなガンマンに憧れたよね。その位イカしてる!C1の出だしのBのリフから急降下するロックが、ハードコアにも影響したような速さで突き抜けていきます。名曲!C2のストレートなノリのロックはMotörheadの持ち味だよね。C3やC4のBとGの絡み合いもイカしている。C3のワウ多用のGソロもグー!C5ではブギのリズムで踊り出したくなるなぁ。最後のコーラスも意外と良い。C6やD1, D2の分厚い音の突進力もトリオでやってると考えると凄い!C6ではフィードバックもGソロの内?D1のDrsからGソロへの持って行き方は凄い!D3やD4は早目の曲でビックリだよ!特にD3は表題には反してる?D4からD5への繋ぎもぴったしで、D5の曲の良さがよく分かるし、意外とこの曲ではLemmyはクリーントーンのBプレイしていますね。D6も猛烈に早い曲で、AnimalのDrsは凄いです!LP1でも書いたけれども、LemmyのVoの癖の強さはMotörheadを最大の音楽的特徴と言えるでしょう。 Motörheadを「常用」はしないけど、やっぱりロックのカッコ良さを体現していて、何度も頂点に行ってしまいそうになりますね。パンクスからもメタラーからも愛されていたのは、彼等がそんな「カッコ良さ」を体現していたからだと思います(そこら辺はギターウルフと似ているのかな?)。そんな訳で、久しぶりに血沸き肉踊りました!レコメンドするのは当然です! LP1 “Bomber” https://youtu.be/E6JJCfnv_Yw?si=3kV6z6yK0wwrsXcQ LP2 “Ace Of Spade” https://youtu.be/F5Kc9Fcm0Cw?si=D_Nh-j_CojtxV3C3 #Motörhead #Bomber #AceOfSpade #Dojo #1990年 #SelfCompilationAlbum #TwoInOne #1979年 #1980年 #HardRock #Rock’N’Roll #HeavyMetal #LemmyKilmister #PhilthyAnimalTaylor #EddieClarke
Hard Rock / Rock’n’Roll Castle Communications £19.99Dr K2
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CHBB “s/t”
CHBBを知っているかい?そう!あのデトロイト・テクノの源流とも言われており、1981年当時、最も先鋭的に電子音楽をやっていたChrislo HaasとBearte Bartelのデュオで、Liaisons Dangereusesの前身でもあるデュオのことです。当時は、10分カセット作品が4本(黒、赤、青、銀)50部限定で出ていただけで、その後、ブートでカセットやレコードが市場に出回ることもあったようですが、今回は、ちゃんと公式な発売で、しかも未発表音源も含む2枚組と言う仕様です。これは、 私が当時のRock MagazineでのNDW特集記事を読んで、死ぬ程聴きたかった音です。それで、ちょっとだけCHBBについて、このデュオ名はメンバーの頭文字を取っているのはよく知られていることですが、Chrislo Haasは、元々、初期のDAFに在籍しており、その時に知り合った(後にDer Planに加入するPyloratorこと)Kurt Dahlkeの使っていたKorg MS-20シンセとKorg SQ-10シーケンサーに魅了されて、DAFを脱退する際には、それらの機材に加えて、Korg MS-50シンセを購入し、毎日、黙々とこれらの機材で色んな実験を繰り返し、気に入った音等が出来た時には、サクッと録音をしていたとのこと。また、DAFのGabi Delgado-Lopezは、Virgin trilogyに影響を与えたのは、Chrislo Haasであると明言しています。一方、Bearte Bartelは、最初期のEinstürzende Neubautenの創設メンバーであり、その後、伝説のMの系譜Mania D.の創設メンバーでもあった女性アーティストで、Bartel自身もシンセに興味を持っており、新しいダンスミュージックを模索していました。CHBBは、そんな2人から結成されたデュオであり、各々の名前の頭文字を取って、CHBBと称されて、日々、上記のシンセを使っての音作りや曲作りに明け暮れていました。CHBB自体は1981年のかなり短い期間しか活動していませんでしたが、時々、後にLiaisons DangereusesのVoになるKrishna GoineauもVoで加わることもあったらしいです。そうして、3人で、Liaisons Dangereusesが結成されたのは必然であったと言えるでしょう。 本作品は、元のカセット作品の装丁を思わせる簡素なデザインで、公式に発売された作品で、また、未発表音源も含まれることになっているのは、電子音楽系NDWのファンには堪らない内容ですね。それでは、CHBBの、このアルバム収録の各曲についてご紹介したいきましょう。(なお、*は未発表曲です。) ◼️黒 ★A1 “Mau-Mau” (5:07)は、シンセで作った単調なリズムパタンに、変調Voと言うか変調ナレーションとホーンのようなシンセが被さる曲で、1980年代初頭の「不安感」を見事に表している。しかし、このタイトルはWolfgang Spelmannsとどっちが先だろう。 ★A2 “Nbke” (4:53)は、一転、ダンサブルなシンセでのリズム隊に合わせてBartelのVoが奔放に歌う曲で、その奥には、チベット仏教の読経のような音(多分シンセ)も聴取できます。 ★A3 “Bali” (3:18)は、マーチっぽいリズム隊に、金物様のPercと不明瞭なシーケンスから成る曲で、こじんまりと纏まっています。 ★A4 “Schatten” (3:12)*は、S/Hを効かせた浮遊感のあるシンセ音から始まり、海獣の鳴き声のような低音シンセとランダムなシーケンスから成る曲で、一種の独逸人らしい遊び心を感じます。 ★A5 “Highroller” (1:29)*は、重いキックの連打とシーケンスから成るミニマルな曲で、不器用に走り回る「何か」が想起させられます。 ◼️赤 ★B1 “Metall” (3:33)は、優しいシンセの持続音の後にいきなり機械の内部のようなシンセによるキックと電子(?)Percが挿入される激し目の曲で、至る所で金属質な音が聴かれます。 ★B2 “Nobodies Perfect” (5:35)は、海辺での音風景のようにディレイ処理された音が寄せたり引いたりするノンビートの曲ですが、後半では、シンセの持続音にBartelのVoやその他のテープ音もその持続音上に聴取できます。ただ、薄らとシーケンスは入っているみたいです。 ★B3 “Disconanz” (3:36)*も、太い低音持続音と不器用なホワイトノイズのスネアから成るミニマルな曲で、段々と圧迫感が増してきます。 ★B4 “Voyage Au Bout De La Nuit” (4:34)*は、何とも奇怪なバタンのシンセ・リズムに一定のシンセ・ベースが並走していますが、途中で、ブレイク後、何かが逆回転しているようになり、BartelのスキャットVoやカエルの声みたいな音も顕になります。 ◼️青 ★C1 “Chou-Frou” (4:33)は、シンセで作った強靭なドラムに、Bartelの不明瞭な声やSE的シンセ音やテープ音が塗されたミニマルなダンス・ミュージックです。最後は戦場音に飲み込まれます。 ★C2”La Petit Mort” (2:01)は、やや不明瞭なシンセのドラムに気体のような持続音とこれまた不明瞭なBartelのVoから成る曲で、最後で爆発します。 ★C3 “Irriter Les Esprits” (3:00)は、ガマガエルのようなリズムがユニークな曲で、彼等の音に対する思考の柔軟さが良く分かります。 ★C4 “Trigger Up Up!” (3:44)*は、割と正当なリズムとハイハットに、単調なシーケンスとSE的シンセ音が縦横無尽に飛び回る曲で、シンセの面白さや今までになかった楽器としての演奏を楽しんでいるようです。途中でテンポアップします。 ★C5 “Klick-Clac” (1:31)*は、重いシーケンスとキック及びハイハットが中心になり、後退したシーケンスやシンセの微音も聴取されます。 ★C6 “Speedloch” (2:59)*は、割とダウンテンポの単調なパタンから成るミニマルな曲で、所々でSE的シンセ音が挿入されますが、持続音にこそ成れ、決してメロディにはなりません。 ◼️銀 ★D1 “Ima Iki-Mashoo” (5:09)は、軽快なリズムパタンとシーケンスに、「今、いきましょ」と日本語で呟くようにVoが入る彼等の代表曲です、雷鳴のような音等も入っており、後半は、ドラムレスで、グラインドするようなシーケンスに、効果音的シンセ音や電子ノイズ音が絡みついています。 ★D2 “Go Go Go” (5:06)は、気合い一発で、ダンサブルなリズムとシーケンスが始まり、変調した男女のVoが交差する曲です。電子Percも良い塩梅で、かなりダンサブルですが、唐突に、ループ音を挟んで、リズムパタンが変わり、シーケンスと共に、男性の声のテープ音が挿入されてきます。 ★D3 “Monkey Rules” (3:33)*は、フェイドインしてくるキック音と何か良く分からないスネア音(?)から成るリズムに、不鮮明なベース・シーケンスと不明瞭なメロディから成る曲で、不安感が募ります。 ★D4 “Shapeshifter” (2:44)*は、直線的シークエンスとポストパンク的ドラムパタンの曲で、不鮮明な女性Voに混じってディストーションをかけたシンセ音がGを模して演奏されている曲です。流石にこのアレンジは嗅覚の良さを感じますね。 ★D5 “Two Track One” (1:23)*は、不可思議なパタンのシンセによるドラムパタンに、ランダムなシンセ音が絡んでくる小曲で、本作品を締めています。 多分、レコード・ラベルの色が4色あるので、それぞれのカセット作品に対応しているのではないかと思われます。ただ、D面は、曲のパタン同士が繋がっていたり次の曲だったりして、1曲1曲の判別が困難でした。それにしても、Korgのシンセとシーケンサー(とテープ音や肉声)でここまで作り込んでくるのは、流石だと思いました。多分、Haasによるところが大きいと思いますが、先ず第一に、リズムマシンを全面的に使わず、シンセでキック音やスネア音を作っている所に感激しましたが、これはThe Future〜初期Human Leagueと同じ発想ですね。そして、ダンス・ミュージックを目指していたのか、感情に訴えるメロディを敢えて不鮮明にして、リズムパタンで曲を構築している所は、如何にも独逸人らしいなと感心しました。未発表曲も沢山収録されており、それだけでも、このアルバムの価値はあると思います。なので、ジャーマン・テクノに興味のある方には、これはマスト! https://youtu.be/BG2ujGHnf_s?si=iBXfroFX-gIRj8U4 [partial album] https://youtube.com/playlist?list=PLfcEHo81lTFyLtp4x5Jl-Ml2SHh_ShKG4&si=ktvMtYR6KXiZLXlH [BandcampのURLも貼っておきます] https://chbb.bandcamp.com/album/chbb #CHBB #self-titled #SoulsheriffRecords #1981年 #OfficialReissue #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Electro #Experimental #DanceMusic #Synthesizers #Sequencer #KorgMS-20 #KorgSQ-10 #KorgMS-50 #ChrisloHaas #BearteBartel #pre-LiaisonsDangereuses #DAF #EinstürzendeNeubauten #ManiaD.
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electronic Music Soulsheriff Records 6450円Dr K2
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Einstürzende Neubauten “Rampen (APM; Alien Pop Music)”
Einstürzende Neubautenの新譜が出た(2024年4月現在)! これは思わず買ってしまいますよね?って私だけ? と言う訳で、約40年以上も、独NDW(正確には”Festival Genialer Dilletanten)から独自の道を歩み、メタル・パーカッションなる「楽器」を定着させ、更に自作ノイズ装置を楽器として使いながらも、ポップソングのように歌う、しかも通常のドラムもドラムマシンも無しだ。こんなバンド、他に無いだろう。しかも、パトロン制やサポーター制で独自の配給も行っています。ノイズ・ミュージックが世間に馴染んできたからこそ、その特異性が際立つと言うものだと思うんですよ。そんな訳で、丁度今、NDWにハマっている私には朗報でした。まあ、彼等のバイオグラフィーは今まで散々書いてきましたので、ここでは、省略させて頂きますが、現在のメンバーだけ紹介しておきます。Blixa Bargeld (Vo, Piano, others), Alexander Hacke (B, others), N.U. Unruh (Meral, Noise), Jochen Arbeit (G, others), Rudolph Moser (Per, Metal, others), Felix Gebhard (Synth, others)となっています。更に、ライナーを読むと、2022年のツアーの頃から録り始めていた即興演奏の部分から23個のピースを集めて、そこから、ベルリンのスタジオ内で再度作り込んでみて、何度も編集やオーバーダブをして、15曲分のベストテイクを選んだらしいです。それについては、Blixaは、「The Beatlesと同じ作り方だろ?」とコメントしています。如何にもBlixaらしいですね。と言う訳で、各曲についてご紹介ししていきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Wie Lange Noch?” (5:17)は、プラ・パイプとメタパーでのリズムに、BとBlixaの抑圧的な歌が乗る曲で、サビに向かって盛り上がりますが、突如ブレイクが入ります。 ★A2 “Ist Ist” (3:49)では、ゴリゴリのBが曲を引っ張り、そこにメタパーやノイズが乗りますが、Blixaは自然体で色んな唱法を試しており、それらを多層化しています。 ★A3 “Pestalozzi” (5:10)は、微かなドローンにBlixaの歌で始まり、バックでメタパーやキックが聴こえます。また、コーラスワークともバッチリですが、この曲は英詞なんですね。 ★A4 “Es Könnte Sein” (3:20)は、微かな呟くようなVoとアコギのアルペジオで始まりますが、鐘の音やコーラスの後にいきなり盛り上がり、ちょっとぐちゃぐちゃになりますが、最後に向かって、反復し続けます。 ★B1 “Before I Go” (4:19)も、微かなリズム音と呟くようなVoで始まり、やがて様々な音が混じってきます。この曲も英詞ですね。途中で山場があり、その後は可愛らしいピアノや弦楽器のサンプリング音も聴取できます。 ★B2 “Isso Isso” (4:54)は、キック音で始まり、呪文のようなVoと共に、やがてBも入って来ると、独特のグルーヴが生まれます。表題は”That’s Right”と言う意味です。Blixaの引き攣るような唱法も聴けます。 ★B3 “Besser Isses” (4:48)の始めは、微かなシンセ音に殆どBlixaの独唱なのですが、Bが入ってくると、俄然曲っぽくなってきます。ここら辺の盛り上げ方は本当に上手いですね。 ★B4 “Everything Will Be Fine” (4:48)も、ガサゴソした音をバックに呟くように語るVoが暫し続きますが、オルガン?が入って来ると、そこでBlixaも盛り上がり、メタパーやコーラスも入ってきます。この曲は独英詞ですが、違和感は無いです。 ◼️LP2 ★C1 “The Pit Of Language” (4:31)では、静寂から始まり、Bのリフと共にVoも入ってきます。その後もシンセやマリンバも加わります。なお、これも英詞です。 ★C2 “Planet Umbra” (8:44)では、Bとオルガンの反復で始まり、やがてキックと共にVoが入ってきます。これも英詞なんですが、Blixaにしては珍しくちょっとSFチックな内容ですね。メタパーも遠くで聴こえますが、得体の知れない音が時々挿入されます。 ★C3 “Tar & Feathers” (5:15)は、ずっと続くコーラス?のバックに何かの楽器によるリフが微かに聴こえる曲で、やがてその空気を捻じ曲げるように、BlixaのVoが入ってきます。この曲も英詞ですが、短い歌詞で、曲も直ぐに終わります。 ★D1 “Aus Den Zeiten” (5:13)では、比較的直線的なBラインに、演劇的な語り口なVoとキックが入ってきて、更にホワイトノイズのスネアが入って来ると、曲は沸点を迎え、一度クールダウンしますが、再び盛り上がってきます。 ★D2 “Ick Wees Nich (Noch Nich)” (3:13)では、何とも怪しい音の中、Voや変調したメタパーのリズムやBのリフ等が折り重なり、高揚していきますが、最後は諦念でしょうか? ★D3 “Trilobiten” (6:16)では、アコギのアルペジオをバックにBlixaが1人語りのように歌いますが、ここでは珍しくハキハキと歌っています。やがて、キックとBも入ってきて、曲は盛り上がります。 ★D4 “Gesundbrunnen” (5:15)では、プラ・パイプのリズムとBのリフのバック遠くで、Blixaの声が聴こえますが、直ぐに前面に出てきます。それに混じって、色々な音が聴こえてきます。Blixa独特の唱法の後、一旦、曲は静まり返りますが、やがて立ち上がり、そのまま終わります。 もう、ここまで来ると、大御所としての「E. Neubauten節」と言うか、「Blixa節」を堪能させてもらった感がありますね。C2でのBlixaの新境地の歌詞もちょっとビックリしましたが、それよりも何よりも、あんなガラクタだらけの「楽器」で何故、こんなに繊細な音楽が演奏できるのか?そちらの方の「成熟度」に興味が移ってしまいました。これって、最早、彼等にしか出来ない伝統芸能なのかもしれませんね。完璧なアンサンブルです❗️まぁ大御所なので、曲の展開なんかは、初めから分かってしまうのですが、分かってしまっても、最早、そこが良いとも思ってしまいます。若い時の彼等も知っているので、その変遷具合にビックリしてしまいますが、彼等が奏でる静かな音楽も、私は良いと思いますよぉー! [live “Rampe” in Vienna, 2022] https://youtu.be/brQsak_8Cd8?si=7U1DTzzkHnpPkcix [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lbiOjP2TZSvaa5IK1JwwxwosRY5iMtcBo&si=qeOqGmrfZf_0_FKu #EinstürzendeNeubauten #Rampen #APM;AlienPopMusic #Potomak #2LPsAlbums #GermanRock #ExperimentalRock #Improvisation-Based #Rework #Edit #BlixaBargeld #AlexanderHacke #N.U.Unruh #JochenArbeit #RudolphMoser #FelixGebhard
Experimental Rock Potomak 5940円Dr K2
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Swell Maps “Mayday Signals”
やっぱり買っちゃうよねー、Swell Mapsの秘蔵音源!パンクの前に既に「ポスト」パンクであったSwell Maps。その1976年〜1979年の間に、自分達のガレージやベッドルームやらスタジオやらで録音された曲(或いは曲の素)を、メンバーだったJowe Headがコンパイルした2枚組のセルフ・コンピ・アルバムが、今回ご紹介する”Mayday Signals”です。殆どが短い曲で、これらが今後、曲になっていくのだとすると、結構、スリリングな内容になっているようです。因みに、Swell Mapsのバイオグラフィーは既に書いてありますが、多少、付け加えることもありますので、そこら辺だけ少し。ちょっと復習になりますが、先ず、メンバーはNikki Sudden (本名Adrian Nicholas Godfrey), Phones Sportsman (本名David Barrington), Jowe Head (本名Stephen John Bird), Epic Soundtracks (本名Kevin Paul Godfrey)で、John CockrillやBiggles Books (本名Richard Earl)も加わります(因みに、NikkiとEpicは本当の兄弟です)。結成は1972年、英国Birminghamでとなっていますが、Nikki Suddenに寄れば、彼が、実際に音楽(T. Rex “Telegram Sam”)を意識的に聴き始めたのが、1972年初頭で、彼は直ぐに同級生から中古アコギを購入し、翌週には、Phones Sportsmanと意気投合して、演り始めます。彼の弟Epic SoundtracksはDrsがやりたくて、手作りのドラマキットを組み立てており、その1年後、漸くスネアを購入します。この3人は、最初、Sacred Mashroomと名乗っていますが、EpicとPhonesでは、CalicoとかOdysseyと名乗ったり、NikkiとPhonesでは、MithrilとかThe Black Ridersとか名乗ったりしています。そこに、1973年に、Nikkiの親友Jowe Head(彼もこの時に同級生から中古Gを購入)が、その直ぐ後にEpicの友達のJohn Cockrillが加わって、再びSacred Mushroomとなります。Joweに言わせると、Johnは、ちゃんとGレッスンを受けているように思えたらしいです。しかしながら、NikkiとJoweで、Cardboard Giantになったり、彼等にEpicを加えて、Fall of Eaglesを名乗ったり、Epic, Phones, JohnとPhonesの同級生David WrightではCivil Serviceを名乗ったりして、他にもThe Sheep PoliceとかCirkusとかIncredible HulkとかFountain HeadとかIronとかを色々な組合せで名乗って、ちょこちょこセッションしたり録音したりしています。そうして、最後に、Phonesの友達でKing Edward VI学校出身のBigglesが加わり、1974年夏に、NikkiとJoweは漸く学校を卒業し、Nikkiは数ヶ月、Gを練習した後に、Londonに出稼ぎに行きます。そこで、新しい音楽(パンクなど)とそのムーブメントの熱量に当てられたNikkiは、地元に戻り、Bigglesの親のガレージで演奏・録音を本格的に始めます(その時も、The Nozels, The Himalayas, Sacred Mushroom, The Sausage Rolls等と名乗っています)。それで、NikkiとEpicとJoweで、Swell Maps名義で最初にギグを演ったのは、1977年だそうで、ライブ・デビューは意外と遅かったのだなと思います。そして、Swell Mapsの最初の録音の時には、この3人とPhonesがGで参加しています。また、彼らはSwell Mapsのレコードがリリースされるまでは、それ以降一度もライブをやってはいないのです。彼等をLondonに呼ぶような話もあったらしいのですが、彼等にはプロになるだけのお金が無く、また機材も小さなラジオ付きアンプとスピーカー、中古のGやB、スネアとハイハットだけのDrs、そこら辺にある物を録音する古びたマイクがあっただけだったので、彼等はずっとBirminghamで活動を続けていましたが、1980年に、ベルギー、蘭、伊とツアーを敢行し、その後、バンドは解散してしまいます。その直後の1981年に、2枚組のアーカイブ・アルバム”Whatever Happens Next...”がリリースされていますが、これは再発はされていません。解散後、NikkiやEpic等は、ソロ活動をしていますが、Epic Soundtracksは、1997年に、38歳と言う若さで亡くなっており、死因は不明です。また、Nikki Suddenも2006年3月に、NYCのホテルの部屋で他界しており、49歳と言う若さでした。一方、Phonesは、1980年代から地質学者として働いており、音楽界からは脚を洗っていますが、2008年から数枚のCDR作品を出しています。 以上が、今回、分かったSwell Mapsのバイオグラフィーの一部ですが、本作品では、LP1は、1976年〜1977年に、西Mudlandsの地元のガレージやベッドルーム、リビングで録音された音源から編集・収録されており、LP2は、C1が1977年にCambridgeのSpaceward studioで、C2-D5が1978-1979年にLeamington温泉のWoodbine studioで録音された音源となり、それぞれ、Mike KempとJohn Riversがエンジニアとして付いての録音となっています。D6, D7については、クレジットされておらず、出所不明です。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Intro / Sweet And Sour Extract” (0:10)は、ピアノソロの断片です。 ★A2 “Almost Grown” (1:21)は、アコギとBとガラクタDrsによるMaps流ロッケンローな曲ですが、実はChuck Berryのカバーです。 ★A3 “City Boys (Dresden Style)” (2:23)は、Mapsの代表曲の元曲で、やっぱりこのぶっ壊れ方はイカしてます。 ★A4 “Sahara” (2:11)は、ディレイを掛けたGと物音系Percに、チャルメラのようなFluteが吹き荒れる曲です。 ★A5 “One Of The Crowd” (2:15)は、G, B, DrsによるMaps流ロッケンローなノリの良い曲で、ヘロったVoもイカしてます! ★A6 “Wireless” (3:38)は、ラジオノイズと反復するピアノの合奏で、Gらしき音も微かに聴取可。 ★A7 “Ripped And Torn” (1:55)も、Maps代表曲の原曲で、ぶっ壊れており、最後のGもイカしています。 ★A8 “God Save The Queen” (0:33)は、Sex Pistolsの曲ではなく、アコギとGのせめぎ合いで、意味不明! ★A9 “Platinum Blind” (1:02)は、Drsと物音系Percの乱れ打ちから成る曲で、Lo-Fiな録音により面白さ倍増です。 ★A10 “Harvist” (0:38)は、反復するGに自在に上下するBの一騎打ちですね。訳分からん! ★A11 “Gramofonica” (1:43)は、鼻歌付き、タンテの誤用と物音系Percの合奏で、もう意味不明です。 ★B1 “Read About Seymour” (1:36)も、Maps代表曲の演奏なんですが、このヘナヘナさがサイコー!名曲ですね。 ★B2 “Shubunkin” (1:09)では、変拍子のリズム隊&Gに、更に歪んだGを弾きまくってます。 ★B3 “Trade Kingdom” (2:20)では、アコギとハーモニカとハイハットをバックに、Nikkiが音痴に歌っており、もう大抵の事では怒りません。 ★B4 “Pets’ Corner” (2:24)は、スローテンポの怪しげな曲で、ワウGやJoweの抑制的なVoも不穏な雰囲気を醸し出しています。 ★B5 “Fashion Cult (Opaque)” (2:12)も、Maps流ロッケンローな曲で、痺れます!敢えてLo-Fiと言うより元々がそうしか出来なかったと言う意味で元祖ですね。 ★B6 “Plankton” (1:29)は、Gの単音弾き、ホワイトノイズ、コーラスとB、そしてB, G, ,Drsによる合奏。これってMusique Concreteじゃないか? ★B7 “Johnny Seven” (1:32)は、Maps流サーフ・ロックとも言うべき曲で、何故か泣けてきます。 ★B8 “Below Number One” (3:43)では、Gらしき持続音に微かな物音系Percが絡んでいますが、縦笛のようなFluteや歪みまくったGに移行していきます。 ★B9 “Plumbing / Radio Ten / Here’s The Cupboard” (1:06)は、Drsや物音系Perc、缶ドラム、エコーの掛かった叫び声(?)の狂演で、何でもありですね。 ★B10 “Organism” (1:08)では、悲しげな足踏みオルガンの調べに、微かに唸るようなVoが聴こえます。 ★B11 “Sweet And Sour Reprise” (2:02)は、アコギで始まったかと思うと、G, B, DrsによるMaps流GSロッケンローをぶちかましてきて、最高! ◼️LP2 ★C1 “Vertical Slum” (1:13)も、Maps代表曲の演奏で、音も良く、また元気一杯です。サイコー! ★C2 “Avalanche Prelude” (2:44)は、スローテンポのDrsと通奏低音にシタール様のGが乗っかっているインスト曲で、心地良いです。 ★C3 “International Rescue” (2:27)も、Maps代表曲ですが、VoはJoweがやっており、印象が違いますね。 ★C4 “Deliverous Mistail” (4:09)は、執拗に反復するアルペジオGとリズム隊が変拍子で不穏な空気を出しているダークな曲で、Mapsにしては珍しいです。なお、Mayo Thompsonが独白で参加。 ★C5 “Armadillo” (3:41)も、これぞMapsと言う代表曲の演奏で、コーラスも含めて最高にして最強! ★C6 “Avalanche Part 2” (1:33)は、単調なDrsに不穏なフレーズのBと呟くJoweのVoから成る曲です。 ★C7 “Off The Beach” (2:22)は、これぞMaps流ロックとも言うべきノリのよい曲で、やはりNikkiのVoだと安心できます。最後にStylophoneが聴こえます。 ★D1 “Drop In The Ocean” (2:13)は、ドラムマシンとSynth-Bを使ったウエスタン調の曲で、Mapsにしては珍しい曲調です。 ★D2 “Whatever Happens Next (Acoustic)” (3:00)では、アコギとハイハットとピアノを使った伴奏に、バラライカも入り、3人でのVoも良く映えています。 ★D3 “Elegia Pt.2” (1:57)では、重めのハンマービートに弾きまくるGが、何となくCanを想起させます。 ★D4 “Bandits 1-5” (2:44)は、Wireの”Pink Flag”を想起させるMaps流ミニマル/ハードコアパンクな曲ですが、JoweのVoはヘナヘナです。 ★D5 “Secret Island Choir” (0:38)は、代表曲のアカペラ・ヴァージョンで、貴重。 ★D6 “Big Cake Over America” (1:55)は、シェイカーとBが何となくアメリカンですが、2人のVoは馬鹿にしているようで、Mapsにしては珍しくシンセも使用。 ★D7 “Tibetan Bedsprings” (3:19)は、ワウGと反復するBとハイハット、その間を埋める柔らかいシンセ音から成る曲で、シンセはJ.G. Thirlwellが担当。 確かに、Swell Mapsは最初から自由であったと分かる音源が揃っています。噂で言われているように、彼等がT. RexとCan等のGerman Rockから影響を受けたと言うのも納得です。特にLP1の内容は、彼等の初期衝動による破壊的作曲/演奏の萌芽が含まれており、非常に面白かったです。それに対して、LP2は音質も良好で、機材的にも新たなことに挑戦しており、彼等の許容量の大きさを実感できました。まあ、マニア向けかもしれませんが、この作品には、Swell Maps誕生/成熟の秘密があるように思えますので、そこら辺を知りたい方、或いは宅録のアイデアを模索している方には是非とも聴いて頂きたいですね。そうじゃなくてもマスト❗️な作品。 C4 “Deliverous Mistail” (4:09) https://youtu.be/aFvTzpoZrc8?si=SOJPo_8A0n6ShMzR [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lIrkpy_8jNmUwo5SodAbDlDAGFun4LOm8&si=7f94cSpT9fmhUQPr #SwellMaps #MaydaySignals #EasyActionRecords #SelfCompilationAlbum #2LPs #1976-1977年 #宅録 #StudioRecording #1977-1979年 #PostPunk #Experimental #DIYPunk #NikkiSudden #PhonesSportsman #JoweHead #EpicSoundtracks #JohnCockrill #BigglesBooks #Guests #MayoThompson #J.G.Thirlwell #Cover #ChuckBerry
Post Punk / Experimental Easy Action Records 3740円Dr K2
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Mario Scherrer “Squares And Crossings”
これも謎物件!こう言うのは買ってしまうんですよねー。性ですねー。業ですねー。と言う訳で、このMario Scherrer (マリオ・シェレァー)なるアーティストのことを少し調べてみました。スイスのアーティストで、ソロとしては、1986年にカセット作品を1本出していますが、同じ時期に、Nordland (ノールランド?)と言うバンドに参加して、Discogsでは、1985年〜1993年までリリースはしていたみたいです。それで、Scherrerによる本作品の制作経緯についてライナーノーツに記述がありましたので、それを和訳してみます。元々、Scherrerは、スイスRomanschornで生まれ、大学で音楽科学/音楽史とギターを学んでおり、その後、Der Tages-AnzeigerとBasler Zeitungで、音楽や文学についての記事を書いていたそうです。そんな彼から見たZürichは、次のようなものでした。1980年代に、スイスでは、市が無理矢理執行した文化補助金に対抗して、Züri brännt(ツゥーリ・ブレント)暴動が起こっており、その為、Zürichの若者は文化プログラムを解体されていたのです。そんな中で、特にPlatzspitz公園は、ヘロイン中毒者が集まるようになり、別名”Needle Park”とまで言われるようになります。それに対して、当局は、違法薬物の取引もその公園内であれば見て見ぬ振りをしてやり過ごそうとしますが、逆に欧州中の売人とヤク中が集まってきてしまい、Zürichの街には、犯罪とヤクのやり過ぎ、使用済み注射針と暴力と怒りが蔓延してしまいます。そんな中で、Scherrerは、1986年に本作品”Squares and Crossings (Discogsでは”The Guild”となっています)”をCalypso Now(Hotcha氏が始めたスイスのカセット・レーベルで250本弱カセット作品を出している)からリリースします。これは、スイスの音楽評論家達が執筆していたThe Guildと言う連載雑誌の発案でしたが、この動きに反応したのは、Scherrer 1人であったようで、直ぐにパンク・ムーブメントでかき消されます。ただ、その一方で、ニューウェーブ、ポップ、ミュージック・コンクレート、即興、詩作、アンビエント等もごちゃ混ぜになっていき、これには、ダダの本拠地であったCabaret Voltaireの存在も大きく関わっていたようです。なので、本作品は、正にスイス・サブカル・シーンの歴史の一部を切り取ったもの考えられていたようです。彼自身によると、本作品は「境界無き音楽 (Boundless Music)」と捉えているようです。 それで、先述のNordlandについても、もう少し触れておくと、Nordlandは、1985年にMario ScherrerとPriska Weber (後のScherrerの妻)とAnna Kellenbergerの3人によってZürichにて結成されたシンセウェーブ・バンドで、1986年に4曲入りのセルフタイトルEPを、翌年にはシングル”Just Keep It Away"を、1989年には初のフルレングズ・アルバム”Mistery"をリリースしています。因みに、その時のメンバーは、Mario Scherrer (Vo, B, Kbd, Drum Machine, Sampler), Priska Weber (Vo, G, Kbd, Drum Machine), Hermann Eugster (Drs)でした。何でもMontreux Jazzフェスとかにも出演して、Virgin Franceからも声を掛けられたこともあったようですが、それを蹴っています。因みに、Scherrerは、スイスでは、7年間クラシックギターの先生をしており、その後、1年間、スペインMadridのスイス人学校で音楽教師もやって、更にその後、イタリアに移住して、1993年に、NordlandとしてCD”Three Clouds”を自主リリースしています。現在、Scherrer/Weber夫妻はスイスに戻り、Scherrerは、スイスの片田舎Trogonの高校で、18年間、独逸文学の教師をやっており、時々、Ingalill名義でライブをやっているそうです。 それでは、漸く、本作品について紹介していきます。先述のように、Mario Scherrerにとっては、本作品は個人的にも、スイスのサブカルチャーの歴史的にも重要なものです。そして、ハッキリとクレジットされてはいませんが、どうも彼1人で制作したもののようです。彼の持っていた機材は、Tascam Portastudio 4-Track MTRと2チャンネルの古いオープンリール、HH Electronics社のエコー, Roland TR-808 Drum Machine, Fender Jazz Bass JX3P, Krog Classical Guitar 1978, Microphoneと簡単なテープレコーダーとのことで、これ以外にもシンセも持っていたようですが、詳細なクレジットは不明です。それでは各曲を紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Some Different Men”は、ミニマルなシーケンスとマシンリズムに乗って、SE的な電子音やシンセと共に、リバーブの効いたVoや口笛が聴取できる良質なシンセウェーブな曲です。 ★A2 “The Came Along”は、シンセによるSE音から徐々にパルス化して始まる曲で、LFOに合わせて、Bとリバーブの効いた語り調のVoが乗ってきます。ちょい実験的? ★A3 “An Old Familiar Cry”では、マシンリズムにBとポリシンセに加えて、バリトンVoで歌ってます。曲自体はしっとり系。ちょっとだけHuman Fleshっぽい? ★A4 “Sin-Claire”は、シーケンスに合わせて、可愛らしいシンセのメロとウニョウニョした電子音が飛び回るインスト小曲です。 ★B1 “Inside Of You”は、電子アンビエントな曲で、やや冷んやりした感触ですが、そこに呪文のような低音Voが忍び込んできます。 ★B2 “Occultus Introitus”は、多層的なシンセ音によるミニマルな低音とメロ的高音とから成る電子室内楽で、インスト曲です。 ★B3 “Is David On The Floor”は、始め多層的シンセから成るアンビエントですが、その内、凝ったマシンリズムと共にダルなVoとシンセ・メロとベースラインに転換する、ゆったりした曲です。 ★B4 “Way Off”は、最初からエコーVoと通奏低音から成る曲で、段々とポリシンセやシンセメロが立ち現れ、ボディブローのように効いてきます。 ◼️LP2 ★C1 “You And I”は、ちょっと凝った打ち込みリズムと持続シンセ音及びBがバックを務め、1人語り風Voが乗ってくる曲です。時に小鳥のようなシンセ音も! ★C2 “Kabbala”では、多層化した声のループと宇宙的シンセ音が混ざり合っていますが、その内、雷のようなシンセ音やLFO音に代わって終わります。 ★C3 “By The Square”も、リズムはあるものの、ポリシンセ音とシンセベース(?B?)に埋れるような呟きVoが密かに入ってきます。曲自体はミニマルですね。 ★D1 “Schürfung”は、暗めのトーンの波状シンセで始まり、そこに宇宙音が絡んでくるインスト曲です。 ★D2 “Crossing”は、またもや声のループが多層化していく実験的な曲で、女性Voや、更に男性Voもどんどん加わってきます。 ★D3 “Fragment III”も、録音速度を弄ったシンセ音(?)やグルグルした電子音が主体を占める実験的な曲で、うっすらとリズムパタンが混じっています。 ★D4 “Liturgica”は、深ーい、本当に深いアンビエントな曲です。思わず、良い心地になってしまいます。 ★D5 “Nothing To Explain”は、軽めのマシンリズムに合わせて、シンセ・ベースとポリシンセをバックに、やはり呟くような不明瞭なVoが乗る曲です。 ★D6 “Fashion Time”も、マシンリズムにポリシンセの持続音とベースラインをバックに、呪文風Voが乗る曲です。 ここまで聴いてきて、バイオグラフィーでのScherrerの当時の証言のようなヤサグレたものは殆ど感じず、寧ろ、アンビエント調の優しい音楽が主体を占めており、そのギャップに驚かされます。同じスイスのGranzoneとはまた違うスイス地下音楽界を垣間見れたのは貴重な体験でした。そんな訳で、暴力とヤク中の中からこんな優しい音楽が生まれたのは何故か?と考えさせられました❗️興味のある方は是非体験してみて下さい! D5 “Nothing To Explain” https://youtu.be/ovpFiyDVzII?si=o8x-aJSy6wRAqqaW [full albums] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lIRLx9nS80jbRKqQvhk0VUb3Ot3GO4I70&si=3LoRQIOF0iFbDkiG [オマケ: Nordland “Around The Circle's Ground”] https://youtu.be/v5wXeQpo1c8?si=2KG_iAEIbz_59IdL #MarioScherrer #SquaresAndCrossings #DeeDeesPicks #CalypsoNow #SoloAlbum #SelfCompilation #TheGuild #SwissSubcultureScene #DadaMovement #SynthWave #Ambient #Electro #Experimental#NordLand #Synthesizers #DrumMachine #Ingalill #PriskaWeber #ZüriBränntRiot
Electro Pop / Ambient Dee Dee's Picks 3800円Dr K2
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Bill Nelson “The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart) / La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast)“
今回は、Be-Bop Deluxe〜Red Noiseと良質なポップ・ミュージックを作り続けてきたBill Nelsonのソロ作品として4作目”The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart) / La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast)“をご紹介します。どうも調べてみると、前者単体1枚だけのものと、2枚組み仕様のものがあるようです。今回は、後者の2枚組みの方をご紹介します。その前に、Bill Nelsonのソロ・アーティストとしてのバイオグラフィーについて、ご紹介しておきます。Bill Nelsonは、英国YorkshireのWakefield出身で、弟Ian Nelsonとは、Be-Bop Deluxeの名曲”Ships In The Night”を共作し、Flat Lux成るバンドも結成しており、1979年には、Ian Nelsonは、Red Noiseの”Sound On Sound”にも参加して、更に、2004年のBill Nelson & The Lost Satellitesのツアーにも参加しています。話しを戻しますと、Bill Nelsonは、地元のWakefield College of Artに通っていましたが、その時には、詩人で映像作家でもあるJean Cocteauに興味を持っており、同時に、ミュージシャンとしては、ギタリストDuane Eddyに影響を受けていました。Nelsonの最初のレコードは、Brian Calvert, Chris Coombs, Ted Hepworth, Mike Levon and Brian Wilsonと制作したアルバム”A-Austr: Musics from Holyground”です。その後、1971年にAstral Navigations のアルバム”Lightyears Away”にも参加、このアルバムで、アシッド・ロック・スタイルでの演奏で、重要な役割を果たします。Nelsonは、1973年に、ファースト・ソロ・アルバム”Northern Dream”を自身のレーベルSmileからリリースし、BBCラジオのDJ John Peelの気を引いたこともあって、彼のバンドBe-Bop Deluxeは、EMIの傘下Harvest Recordsと契約し、1974年に、Be-Bop Deluxeのアルバム”Axe Victim”をリリースしています。翌年には、オリジナル・メンバーを入れ替えて、セカンド・アルバム”Futurama”をリリースします。この時のメンバーBill Nelson (G), Andrew Clark (Kbd), Charlie Tumahai (B), Simon Fox (Drs)で、1976年にアルバム”Sunburst Finish”と”Modern Music”の2枚を、1977年には、ライブ・アルバム”Live! In The Air Age”をリリースし、1978年には、このメンバーでの最後のアルバム”Drastic Plastic”を出しています。Nelsonは、固定メンバーでの演奏や録音に困難さを覚え、アルバム”Drastic Plastic”のインスト曲では、Foxの叩いたDrsをループさせて、Nelson (A-G)とClark (Kbd)だけが演奏すると言う実験的な録音も行っています。また、以降のソロ作品ではアンビエント調になっていきます。1983年のInvisibility Exhibitionツアーでは、こうやって作ったバックトラックに合わせて、Bill Nelson (G)とIan Nelson (Sax)が演奏する形態で行っており、後にアルバム”The Chamber of Dreams”としてもリリースしています。この方法は、2003年作と2015年作のソロアルバム”Painting With Guitars”シリーズや2007年作”And We Fell into A Dream”でも使われています。そうして、1978年秋には、TumahaiとFoxを解雇し、Be-Bop Deluxeを解散します。そして、新バンドRed Noiseを結成し、1979年2月にアルバム”Sound On Sound”をリリースします。ただ、Harvest側は、Red Noiseのセカンド・アルバム”Quit Dreaming And Get on the Beam”のリリースには難色を示し、お蔵入りしてしまいます。その頃、Nelsonは、プロデューサーのJohn Leckieと知り合い、またパンクバンドThe SkidsのStuart Adamson (G)とRichard Jonson (Vo)とも親交を深めています。マネージャーのMark Ryeは、Harvestと話合い、Nelsonの未発表曲を一部を、RyeとNelson自身のレーベルCocteau Recordsからリリース出来るようにしており、シングル”Do You Dream in Colour?"をリリース、BBC1ラジオもこれを掛けまくって、英国シングル・チャートで52位まで行きます。それで、大手のPhonogramが版権を買い取り、1981年にアルバム”Quit Dreaming And Get on the Beam”をMercury Recordsから出しています。このアルバムは宅録された実験的アンビエントのインスト曲”Sounding The Ritual Echo (Atmospheres for Dreaming)”もボートラで収録されています。そして、次のアルバム”The Love That Whirls”を出しますが、このアルバムには、Jean Cocteauの1946年作映画”La Belle et la Bête/Beauty and the Beast”のサントラ盤も付いています(これが、本作品となります)。同時に、Cocteauの”Das Kabinet”のサントラや、Robert Wieneの映画”The Cabinet of Dr. Caligari”のサントラも制作しています。その後、Nelsonは、この時期に膨大な数のシングルやアルバムをCocteau Recordsより出しています。そうして、Nelsonは、実験的エレクトロ・ミュージックから成る4枚組みLPsボックス”Trial by Intimacy (The Book of Splendours)”やアンビエントの2枚組みアルバム”Chance Encounters in the Garden of Lights”を、更には、1989年にも4枚組みCDボックス”Demonstrations of Affection”も出しています。この頃には、英国ニューウェーブにも、彼の名が知られ、Gary Numanは好きなギタリストとして、Nelsonを名を挙げており、また、David Sylvianの1986年作アルバム”Gone to Earth”にもゲスト参加したり、1987年放映のTVドラマ”Brond”にも曲を提供しています。また、1980年代には、CBS Records傘下のPortrait Recordsは契約上のミスから、アルバム”Getting the Holy Ghost Across” (米国題名 “On a Blue Wing”)を出し損ねたりした為か、Nelsonは、1980年代後半は、Enigma Recordsと契約していますが、1980年代には、彼は、離婚や印税問題、マネージャーとのシビアな著作権問題、またはマネージャーが勝手に未発表アルバムをメールオーダーで売っていた問題等で、精神的にも参ってました。しかし、1992年になると、4本のギターと2台のドラムで作ったデモ音源からアルバム”Blue Moons”と”Laughing Guitars”をVirgin Recordsからリリースしています。そうして、宅録ワークから4CDs+2CDs作品”My Secret Studio”と6CDs “Noise Candy”をリリース、同時に、彼は、Rodger EnoとプロデューサーのKate St Johnとで、アルバム”The Familiar”を制作。これがキッカケで、アンビエントのスーパー・グループChannel Light Vesselを結成しています。1995年に、Nelsonは、2枚の趣向の異なるアルバムを出します。一つは、インスタレーションに使うようなアルバム”Crimsworth (Flowers, Stones, Fountains And Flames)”を、もう一つは、ギターでのインスト・アルバム”Practically Wired, or How I Became... Guitarboy! ”です。そして、翌年には、NelsonはBとDrsと共に、David Bowieから影響を受けたアルバム”After The Satellite Sings”を制作しています。翌年1996年までに、先述のマネージャーとのトラブルは解決し、晴れて、アルバム”Simplex”を2001年と2012年にリリースすることができました。また、1990年代後半に、Nelsonは、レーベルPopuluxeを立ち上げ、Robert FrippのDiscipline Global Mobileと配給を協力しますが、次第に低迷していきます。それで、1998年に、彼の新レーベルでは最後になったアルバム”Atom Shop”をリリースしています。まだまだ、2000年以降も活動しているのですが、長くなり過ぎるましたので、この位で辞めておきます。 それで、本作品なのですが、LP1 “The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart)”では、ほぼ全ての楽器をBill Nelsonが演奏しています(Casio MT 30, Synth [Casio VL-1, Mini-Moog, ARP Omni String Machine], Marimba, Autoharp, Drum Machine [Roland TR808], Effects [Fostex 3050 Digital Delay, Eventide 910 Harmonizer, Marshall Time Modulator, MXR Phase 100])。そうして、両面とも6曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 LP1: The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart) ★A1 “Empire Of The Senses”は、リズムマシン(通称「ヤオヤ」)を用いたノリの良い曲で、ファルセットも混じえたVoが程良いスパイスになっています。マリンバのフレーズも小気味良い! ★A2 “Hope For The Heartbeat”は、やや中華風のメロディの曲で、正直、YMOなんかよりも良い感じに仕上がっています。ベースラインはミニマルです。 ★A3 “Waiting For Voices”は、ゆったりしたシンセの波から成るインストの小曲です。 ★A4 “A Private View”も、良質なポップ・ミュージックで、シンセやドラムマシンのアレンジが秀逸です。間奏のギターソロも伸び伸びしていて良い感じです。 ★A5 “Eros Arriving”は、疾走感あるドラムマシンで始まる曲ですが、途中で中華風のサビやファルセットVoも挟んで、飽きさせないですね。 ★A6 “The Bride Of Christ In Autumn”は、目一杯シンセとかエレピなどを使った豪華なインストの小曲で、リズムに逆回転のパルスを用いてます。 ★B1 “When Your Dream Of Perfect Beauty Comes True”は、カッコ良いリズムマシンとシーケンスに、軽やかなマリンバが踊るインスト曲で、それに絡むシンセもまた良いです。意外とミニマル。 ★B2 “Flaming Desire”は、重めで強力なリズムマシンを中心に、NelsonのVoも良くマッチしており、また脇を固めるシンセも捨て難いリフで、カッコ良いです。 ★B3 “Portrait Of Jan With Flowers”では、如何にもなリズムマシンの音と、2台分のピアノの絡みが美しいインストの小曲に仕上がっています。 ★B4 “The Crystal Escalator In The Palace Of God Department Store”も、独特のパターンのリズム隊に、ギターとシンセが乗って、バックを固め、そこに乗る落ち着いたVoも効いています。 ★B5 “Echo In Her Eyes (The Lamps Of Oblivion)”も、ゆったりしたシンセによる小曲で、これはアンビエントと言ってもよいのでは? ★B6 “The October Man”は、スケールのデカい曲で、テンポ、ギター、打ち込み、シンセ、Vo、どれを取っても完璧で、心地よいポップ・ミュージックです。 この1枚を聴くだけで、如何にBill Nelsonが音楽好きかがよく分かります❗️そして、それを具現化するだけのテクとセンスと機材を持っていたと言うのも重要な点です。それと、音が結構詰まっているようにも思えるのですが、聴いている時は、そんなゴチャゴチャな感じは無く、スッキリと聴くことが出来るので、彼のアレンジ力も侮れないなと思いました。と言う訳で、この1枚だけでも、是非聴いてみて下さい‼️ では次に、本作品の付録的な2枚目よサントラ・アルバム”La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast/ 美女と野獣)”を紹介していきましょう。こちらは、C面9曲/D面18曲が収録されていますので、1曲ずつの紹介ではなくて、全体の紹介をしていきたいと思います。The Residentsの”The Commercial Album”の如く、短いけれどもメロディやハーモニーのある曲や小鳥の鳴き声や馬の足音等がバックで聞こえる曲が詰まっています。メロディのあるものが多いですが、中には一瞬で終わるSE的な曲(?)もあります。ここら辺のコンパクトでもちゃんと聴かせるセンスが流石としか言いようがありませんね。音楽の方もそうですが、これがサントラとして使われた映像作品の方も観たくなりますね。 LP2: La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast) C1 “Overture” C2 “The Family” C3 “Sisters And Sedan Chairs” C4 “In The Forest Of Storms” “The Castle” C5-A “The Gates” C5-B “The Corridor” C5-C “The Great Hall” C5-D “Dreams (The Merchant Sleeps)” C5-E “Fear (The Merchant Wakes)“ C6 “The Rose And The Beast” C7 “Magnificent (The White Horse)” “Beauty Enters The Castle” C8-A “The Door” C8-B “The Mirror” C8-C “Candelabra And Gargoyles” C9 “Beauty And The Beast” D1 “Transition No. 1” D2 “Transition No. 2” D3 “The Hunt” D4 “The Gift” D5 “The Garden” D6 “Transition No. 3” D7 “Transition No. 4” D8 “The Tragedy” D9 “Transition No. 5” D10 “The Enchanted Glove” D11 “Tears As Diamonds (The Gift Reverses)” D12 “The Beast In Solitude” D13 “The Return Of Magnificent” D14 “Transition No. 6 (The Journey)” D15 “The Pavilion Of Diana” D16 “Transformation No. 1” D17 “Transformation No. 2” D18 “The Final Curtain” と言う訳で、音楽に取り憑かれた天才Bill Nelsonの4作目のアルバム”The Love That Whirls”と、映画「美女と野獣」のサントラを聴き直してみましたが、やはり彼の才能には当てられてしまいました❗️Be-Bop DeluxeやRed Noiseも良いですが、ソロ作品も彼独自の「美学」があって良いです。なので、皆さんも是非とも聴いてみて下さい❗️ [LP1: full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l45KW5UxyIppGrMRu-G06X_orG7qFl2RE&si=wZjLsLnySJQRiRBK C5 “The Castle” https://youtu.be/Xi8nfST_cDY?si=wuvz8lR8xTckC3Fj D17 “Transformation No. 2” https://youtu.be/fNx0iz-UBb4?si=iSXotIBXHI7UtxZJ D18 “The Final Curtain” https://youtu.be/ts9WcfN9Jpo?si=uO57Nxjblbq0Qztd #BillNelson #TheLoveThatWhirls #DiaryOfAThinkingHeart #LaBelleEtLaBête #BeautyAndTheBeast #MercuryRecords #SoloAlbum #4ThAlbum #CompleteSolo #Multi-Instrumentalist #PopMusic #Electro #Soundtrack #Guitar #Synthesizers #DrumMachine #Vocal #Instrumental
Electro Pop MERCURY Records 不明Dr K2
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Contrepoison “Discography 2010 - 2012”
Contrepoison。このバンド名を聞いても、よく分かんないですよね?実は、この前紹介しましたカナダのパワー・エレクトロニクス・ユニットÂmes SanglantesのPierre-Marc Tremblayの別名義なのです。このContrepoisonはTremblayがダーク・ウェーブをやる時の名義らしく、Cold CaveやAttritionにも匹敵する暗澹たるエレクトロ・ビート・ミュージックをやっています。この名義でのアルバムはまだ無く、カセット作品やシングルしかリリースはしていません。それが、いきなりのLP2枚組で、ドーンっと、米国Hospital Productionsから出たので、ビックリしました(Hospital ProductionsのDominick FernowもVatican Shadow名義でテクノもやっていますからね)。多分、今までの曲を全部ぶち込んでいるようで、かつ2曲だけ未発売曲も収録されています。あと、Vatican Shadowとのスプリット・カセットって言う作品もあるようで、多分気が合うんでしようね。この名義Contrepoisonについては、余り情報が無く、この位のことしか分かりませんでした(すまん!)。と言う訳で、内容について、紹介していきたいと思いますが、A1-A4が、2010年作” ...Until Next Morning”の全曲で、元々はTremblay自身がセルフ・リリースした作品収録曲です。B2, C1-3は、Hospital ProductionsとHeartworm Pressの共同リリースによるデジタル・ミニアルバム”I Keep On Searching”収録曲からとなっています。因みに、上記2作品は、伊レーベルAvant!がシングルとしてそれぞれリリースしています。B1は、Vatican Shadowとのスプリット・カセット・シングル” The Serpent Carries Him Back Into Paradise”収録曲と思われます。D1-D3は、米国(?)レーベル Sans Issueから出た片面のみのカセット作品” The Thunders Which Collide”収録曲です。B2-B4については、Discogsではその出自は確認出来ませんでした。そして、C4とD4が未発売曲と言う訳で、これらの作品を全てコンパイルしたのが、本作品となります。最初、各曲について紹介しようと思ったのですが、寧ろ、作品毎に紹介した方がベターと考えましたので、今回は元の作品毎に、紹介していきますね。 LP1: ★A1 “Until Next Morning” ★A2 “The Snake Has Bitten Its Tail” ★A3 “Heartbeat” ★A4 “To Never, Forever” 2010年作“ ...Until Next Morning”より。割とキックの効いた曲で、シンセもかなりメロディアスですが、Vo(Tremblay自身がVoだと思います!)が何か虚ろなトーンで、不安な気分にさせられます。また、ベースラインが余りハッキリしていないところも、そう言う気分にさせるのかも知れませんね。A3 “Heatbeat”はJoy Divisionっぽい曲で、VoもIan Curtis風です(Wireとは同名異曲です)。またA4はメロディアスなシンセは無く、ミニマルなベースラインで構成されています。 ★B1 “A Deserted Story” 元曲のタイトルは、”A Deserted Story Adam's Endless Fidelity To The Iblis”となっていますが、多分同一曲でしょう。重厚なシンセと適度なビートに乗って、Voが朗々と歌うスタイルで、宅録系ゴスとも言える曲です。 ★B2 “I Keep On Searching” これは、リズムもハッキリしており、かつシンセも分厚く、中々カッコ良い曲です。 ★B3 “Poisonous Desires” ★B4 “In Love With Mars, At War With Love ★B5 “A Soviet Ordeal” 一瞬、シューゲイザーかとも思えるような持続的な歪んだシンセ音とミドルテンポのマシンリズムから成りますが、B3なんかはインスト曲です。B4ではまたまた良く動くシンセのメロディとダルなVoが出てきます。B5はやや実験的なゴスなインスト曲です。 LP2: ★C1 “Every Dream I Have Is About You” ★C2 “No Need To Dream” ★C3 “Nectar Of Destiny” この作品収録曲は、技術的側面も音楽的側面も格段に向上しており、聴いていて引き込まれますね。ただC2なんかは、Voの処理の含めて、やや実験色が強いですが。なお、C1はインスト曲です。 ★C4 “The Moon Has Made The Eclipse”(未発表曲) この曲もゴスい曲ですが、ほぼほぼリズムとベースラインから成り、余り出しゃ張らないシンセのメロディが程良い佳作です。 ★D1 “Braving Through The Storm” ★D2 “The Thunders Which Collide” ★D3 “Of Greenery And Quietness” この作品も、リズムに凝ってはいますが、今までのゴス系と言うかシューゲイザー系(本当はギターも使っているのかも?)の打ち込みミニマル・ロックの進化形ですね。D2では、四つ打ちリズムとシーケンスの絶妙なズレが隠し味ですし、D3のダウンテンポとエレピ(?)の組合せも味があります。なお、D1とD3はインスト曲です。 ★D4 “As The Blazing Sun Enters Scorpio”(未発表曲) まるでカシオトーンのリズムと重低音ベース・シンセがアンバランスでカッコ良いし、その後のシンセ・メロディも良いですね。 総じて、全部ぶち込んで2枚組にしたのは、ちょっと似たような音色の曲も多く、飽食気味で、お腹一杯になります。やっぱり腹八部目位が良かったのではないでしようか? しかしながら、Âmes Sanglantesでパワ・エレやっているPierre-Marc Tremblayが、こんなちゃんとした楽曲をやっていたとは、ちょっとビックリしました❗️しかも、曲自体の完成度は高いです。もう少し、良い曲に絞っての再発なら、飽きずに聴き通せたと思うと、ちょっと残念です。しかしながら、余り打ち込み感のない、ヒューマンな曲調は捨て難い魅力を持っていますので、パワ・エレ・ファンにこそ聴いて欲しいです❗️ A3 “Heartbeat” https://youtu.be/5IiBAxwfK78?si=pHeF-Eh5wsvYmsw7 B2 “I Keep On Searching” https://youtu.be/kWxYN_iZyyQ?si=PvE6rbvkDb_xJy4S D2 “The Thunders Which Collide” https://youtu.be/u-ZxNGct110?si=z1qaleukfEy5V0Cl [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lfxYmvngaq7GhdmGEjHpqQPoybD8jcHkU&si=vPL4_QDaIXvrP4Mv #Contrepoison #Pierre-MarcTremble #Discography2010-2012 #HospitalProductions #DarkWave #ColdWave #Electro #Goth #Shoegazer #Synthesizers #Canada #ÂmesSanglantes
Dark Wave / Ritual Industrial Hospital Productions 1100円Dr K2
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V.A. “Silberland Vol 2: The Driving Side Of Kosmische Musik (1974-1984)”
またまた、やってくれました!良質なジャーマン・ロックのアルバムを再発し、継承を手助けしてくれる独レーベルBureau Bが、Silberlandシリーズの第2段として、1974年〜1984年と言う括りで、”Kosmische Musik (Cosmic Music)”のコンピ・アルバムを2枚組のヴォリュームでドーンっと出してくれました(因みに第1弾は”Psychedelik Musikのコンピでした)。これらの曲をコンパイルしたのは、Gunther Buskies氏で、クラウトロックからNDWまで結構、幅広く集めたのではないでしょうか!それでは、各アーティストと各曲について簡単に紹介していきましょう。 【LP1】 ★A1 Harald Grosskopfは、WallensteinやAshra或いはKlaus SchulzeのソロアルバムでDrsを担当しており、1981年〜1983年にはNDWバンドLilli Berlinでも活動している人物で、一方でソロ活動もしており、ファーストソロアルバム”Synthesist”では大々的に電子音楽をやっています。ここでは、1986年作セカンド・ソロアルバム”Oceanheart”からの曲“Eve On The Hill (抜粋)”で、四つ打ちキックにシーケンスと伸びやかなシンセ・メロで、英国ニューウェーブっぽくにも聴こえる。余り独っぽくはないかな? ★A2 Clusterはマルチ奏者Dieter MoebiusとHans-Joachim Roedeliusのデュオで、1971年、Berlinで結成されていますが、シンセポップとアンビエントの両方の源流とされている最重要バンドです。ここでは、1979年作のアルバム”Grosses Wasser”からの曲“Prothese”で、ヘンテコなシーケンスとDrsの同期演奏にGや奇声のような合いの手Voからなります。 ★A3 Conrad Schnitzlerも、ご存知、独逸音楽界の切っての奇人変人で、多作家としても知られ、またカセット・コンサートでも有名です。ここでは、メジャーレーベルRCAが1980年に出した12インチEP “Auf Dem Schwarzen Kanal”からの曲“Elektroklang”で、彼らしいミニマルなシーケンスとマシンリズムに変調Voが語りのように乗っかり、時にシンセSEが挿入されています。遊び心に溢れています。 ★A4 Youは電子音楽を目指して、1977年にUdo Hanten (Synth)とUli Weber (G)で結成されたデュオで、別名Yourovisionとも呼ばれます。その後、Albin Meskes (Synth)が加入し、最終的にはHagenとMeskesのデュオになりました。また、アルバムには先述のHarald GrosskopfがDrsでも参加しています。ここでは1980年作のファーストアルバム”Electric Day”からの曲“Son A True Star (抜粋)”で、中々アップテンポでミニマルなシーケンスに多層化する泣きのシンセから成ります。ドラムは生Drsかな? ★A5 Thomas Dingerは、お馴染みKlaus Dingerの弟で、Neu!やLa Düsseldorfに在籍していますが、ソロアルバムは”Für Mich”だけです。ここでもそのアルバムからの曲“Für Dich (抜粋)”で、お馴染みのNeu!等直系のハンマービートに簡素なシーケンスとシンセと言う多幸感に溢れたトラックですが、彼は49歳で夭折しているんですよね(何か運命の悪戯っぽい?)。 ★B1 Asmus Tietchensは独音楽界の生き証人で、1965年からシンセとテープループで実験音楽を始め、1980年代初頭には、エレクトロ似非ポップをアルバムを出し、またその後は、音響系、アンビエント、インダストリアル、ミュージック・コンクレート等のあらゆる実験音楽作品を出しています。ここでは1982年作”Spät-Europa”からの曲“Bockwurst Á La Maîtresse”で、マシンリズムにフランジャーを効かせたシンセから成り、やや不穏な雰囲気です。所謂、似非シンセ・ポップ! ★B2 Moebius, Plank, Neumeierも、Clusterのシンセ奏者Dieter Moebius、Guru GuruのドラマーMani Neumeier、独音楽界の稀代のプロデューサーConny Plankによる大傑作アルバム”Zero Set”からの曲“Search Zero (抜粋)”で、タイトな生Drsや打楽器を中心に、SE的なシンセやGなどの音が入り、不明瞭なメロディも聴取できます。また少しダブ的ミックスも!音の録音はPlank色が強いです。 ★B3 Heiko Maileは豪州生まれの独逸人ミュージシャン/映像作家で、1983年にはシンセポップバンドCamouflageを結成していますが、ソロ活動も行っています。ここでは、未発表曲のセルフ・コンピ・アルバム”Demo Tapes 1984-86”からの曲“Beat For Ikutaro (Tape 52) (抜粋)”で、これまた宅録的シンセ・ウェーブっぽいです。簡素なリズムマシンに線の細いシーケンスとSE的シンセ音です。 ★B4 Lapreは1983年に、Peter Preuß (G)とRudolf Langer (Synth)によって結成されたデュオで、独地下音楽界で活動し、1984年に2本のカセット作品(”Flokati”と”Tedan”)を残しています。ここでは、カセット作品”Flokati”からの曲“Flokati”で、こちらも宅録っぽい感じで、低音はBなのかな?ちょっとメジャー寄りなメロディと言うか弾きまくってます。勿論、リズムマシンとシーケンスはミニマルですが。 ★B5 Adelbert Von DeyenはBerlin Schoolのエレクトロ・ポップミュージックとPink Floydの音楽、両方に影響を受けて、1970年代にDieter Schützとのセッションを繰り広げてきたBerlin在住のミュージシャンで、ファーストアルバム”Sternzeit"を1978年にSky Recordsから出しています。ここでは、1980年作のサード・アルバム”Atmosphere”からの曲“Time Machine”で、結構、アップテンポで、ミニマルなベースライン及び生ドラムと朗々としたシンセとの対比が面白いです。 【LP2】 ★C1 Günter Schickertは、1962年にトランペットを学び、その後、1967年にギターに転向、1971年にはフリージャズをやり始め、1973年にエコーギターのセッションをやり、1976年にAxel StruckとMichael LeskeとでGAMを結成。ここでは、1979年にSky Recordsより出したファーストソロアルバム”Überfällig”からの曲“Puls (抜粋)”で、Gをドラムマシンに合わせてミニマルに弾いており、時にスネアが入ったり、テープ音やリードGが入ったりで、ちょっと異色ですね。 ★C2 Faustはもう何も言うことはない程、有名ですが、ここでは、Giorgio Moroderのスタジオで1974年に録音した未発表曲を集めたアルバム”Punkt.”に収録されている曲“Juggernaut”で、これも異色曲で、GとDrsとBのジャムセッションから成ります。パックで唸るようなシンセ音がKosmische Musikなのかな? ★C3 Moebius & PlankもClusterのDieter Moebiusと名将Conny Plankががっしり組んで、1980年にSky Recordsより出たアルバム”Rastakraut Pasta”からの曲“Feedback 66 (抜粋)”で、Gのやや重いリフとミニマルな生Drsから成り、そこにシンセ?G?のメロディが挿入されて、薄らヴォイスも!? ★C4 Roedeliusも超有名なアンビエントの源流とも言われるClusterの片割れです。ここでは、Farfisa製オルガンとRevox-A77 テープエコー、それに借り物のシンセ1台だけで録音した曲“Band 068 3 Bock Auf Rock (Nicht Verwendetes Stück)”で、リズムマシンにエレピ〜チェンバロ的シンセの禁欲的なミニマルな演奏から成ります。 ★C5 Serge Blennerは仏生まれで、作曲とハーモニーをMulhouse音楽院で学び、1975年に独に移住、多くの作品を残しています。ここでは、1981年作の彼のセカンドアルバム”Magazin Frivole”からの曲“Phonique”で、再び、力強いマシンリズムに上下するシーケンスと明瞭でメロディアスなシンセがイかすシンセ・ウェーブ的音楽です。 ★D1 Moebius & Beerbohm。ClusterのDieter Moebiusとベース奏者のGerd Beerbohmのコラボ作品は2つ(“Strange Music”と”Double Cut”)ありますが、ここでは1982年作のファースト・コラボアルバム”Strange Music”からの曲 “Subito”で、いきなり生Drsの強烈なビートとシンセ音で始まり、弾けています。簡素なBのリフも聴こえます。 ★D2 Tyndallは先述のLapreの片割れRudolf LangerがJürgen Krehanと1980年から始めたデュオで、当時は典型的な電子音楽と言う認識で、4枚のアルバムを残しています。ここでは、1980年作ファースト・アルバム”Sonnenlicht”からの曲“Wolkenlos (抜粋)”で、またまたアップテンポな宅録シンセウェーブ風な曲です。ベース・シーケンスとマシンリズムに、大胆で美しいシンセ音がオーロラのように被っています。 ★D3 Pyrolatorもご存知だと思いますが、本名Kurt Dahlkeで、Der Planの頭脳にしてシンセ奏者で、ソロアルバムもコンスタントに出しています。ここでは、1981年作セカンド・ソロアルバム”Ausland”からの曲“180°”で、如何にもPyrolator的なユーモアに満ちたマシンリズムとシーケンスとシンセのリフから成るアップテンポな曲です。また女性の喘ぎ声入りです。 ★D4 Die Parteiは、The WirtschaftswunderやSiluetes 61で活躍しているNDW界の奇人変人Tom Dokoupilと画家/写真家/サウンドアーティストのWalter Dahnのデュオで、ここでは、1981年作の唯一のアルバム”La Freiheit Des Geistes”からの曲“Guten Morgen In Köln”で、リズムマシンとベース・シーケンスとGからなりますが、そのバックではかなり無茶なオルガンも聴取できます。実はミニマルですね。 ★D5 Deutsche Wertarbeitは、1970年代から活動している独プログレ・バンドStreetmarkの女性シンセ奏者/Kbd奏者のDorothea Raukesのソロユニットで、ここでは、1981年にSky Recordsより出た唯一のアルバム”Deutsche Wertarbeit”からの曲“Auf Engelsflügeln (抜粋)”で、心地よいシーケンスと包み込む分厚いシンセ音に、リズムマシン音が加わっていき、やがてピアノの調べや合唱(?)も! 聴き通してみて、個人的には、面白かったのですが、レーベル側が意図した”Kosmische Musik”への架け橋になっているか?と言うと、ちょっと違うんじゃないかな?とも思えました。確かに、電子音楽系クラウトロックからNDWまでカバーしていますが、そのミッシングリングとなるkey groupは余りはっきりしていないようです。しかしながら、この時期の独の音楽シーンを俯瞰できたと言う意味では大変面白かったです❗️なので、プログレとかニューウェーブとかのジャンル分け関係無しに、シンセとかによる電子音楽の成り立ちに興味がある方は是非一聴してみて下さい‼️楽しめると思いますよー。 LP1: A1 Harald Grosskopf “Eve On The Hill (抜粋)” A2 Cluster “Prothese” A3 Conrad Schnitzler “Elektroklang” A4 You “Son A True Star (抜粋)” A5 Thomas Dinger “Für Dich (抜粋)” B1 Asmus Tietchens “Bockwurst Á La Maîtresse” B2 Moebius, Plank, Neumeier “Search Zero (抜粋)” B3 Heiko Maile “Beat For Ikutaro (Tape 52) (抜粋)” B4 Lapre “Flokati” B5 Adelbert Von Deyen “Time Machine” LP2: C1 Günter Schickert “Puls (抜粋)” C2 Faust “Juggernaut” C3 Moebius & Plank “Feedback 66 (抜粋)” C4 Roedelius “Band 068 3 Bock Auf Rock (Nicht Verwendetes Stück)” C5 Serge Blenner “Phonique” D1 Moebius & Birthday “Subito” D2 Tyndall “Wolkenlos (抜粋)” D3 Pyrolator “180°” D4 Die Partei “Guten Morgen In Köln” D5 Deutsche Wertarbeit “Auf Engelsflügeln (抜粋) LP2: D2 Tyndall “Wolkenlos (抜粋)” https://youtu.be/lvg8SG7Dwm0?si=I4GN2uGBHHXp-UUL [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kaYxQSGAS-rEFQtHmQrMggph75CjOIW_I&si=oukTyY_DMngcouPc #VariousArtists #SilberlandVol.2 #TheDrivingSideOfKosmischeMusik #1974-1984 #German #Krautrock #NeueDeutscheWelle #Electronic #CosmicMusic #HaraldGrosskopf #Cluster #ConradSchnitzler #You #ThomasDinger #AsmusTietchens #MoebiusPlankNeumeier #HeikoMaile #Lapre #AdelbertVonDeyen #GünterSchickert #Faust #Moebius&Plank #Roedelius #SergeBlenner #Moebius&Beerbohm #Tyndall #Pyrolator #DiePartei #DeutscheWertarbeit
Krautrock, Electronic, Experimental Bureau B 4298円Dr K2
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Portray Heads “s/t”
Portray Headsと聞いて、ピーンと来るリスナーさんはよっぽどのマニアか?四国出身者/在住の方かもしれませんね。今回は、そんなマニアックな日本のニュー・ウェーブ/シンセ・ウェーブ黎明期に四国に咲いた徒花Portray Headsのセルフ・タイトルのアルバムをご紹介します。先ず、バイオグラフィーを簡単にご紹介しておきます。このバンドは、1984年に四国愛媛県松山市で、冨田徹(Toru Tomita)の呼びかけで、土井幹治(Mikiharu Doi)と徳永あゆみ (Ayumi Tokunaga)によって結成されています。彼等は直ぐに十数曲を作り、その中から2曲を選んで、7㌅ソノシート・シングル”Elaborate Dummy”をカゲロウ・レコードより1985年5月にリリースしています。しかしながら、リリース直後に、徳永が脱退し、バンドは新ヴォーカルを探します。このアルバムには入っていませんが、朝倉満代(Mitsuyo Asakura)もヴォーカルで在籍していたようです。その結果、越智由美(Yumi Ochi)が新ヴォーカリストとして加わります。彼女のヴォーカルは力強く深かったので、バンドにはよくマッチしていました。それで、トリオは、19864月に”Oratorio”を録音、今度は自身のレーベルLabel Land 4thから、1986年12月に、カセット・フォーマットと7㌅シングル・フォーマットと言う2種類でリリースしています。しかしながら、彼等が活動していた松山市は保守的であったので、このような新しいタイプの音楽に理解がなく、殆どライブをやるチャンスはなく、その為、バンド内でもトラブルの原因になっていました。そんなこともあって、バンドは直ぐに解散してしまいます。その後のメンバーの活動は不明ですが、こうして長い年月を経て、セルフ・コンピ・アルバムが米国のレーベルからリリースされたのは、何かの縁と言うか報われたのではないでしょうか?一応、紹介の前に、メンバーと担当楽器を列挙したおきます。冨田徹 (Electronics, Synth, B, Perc), 土井幹治 (Electronics, Synth, Kbd, Tapes), 徳永あゆみ(Vo [A1, A2, B1, B2, B3, C1, C2, C3], Perc, Sax), 越智由美 (Vo [A3, A4, A5, D1, D2, D3])に加えて、オキウラ・タツユキ (Drs, Drumurator)です。録音は1984年〜1986年の間に、松山市のStudio LEADで、TEAC 8-Track Open Reel Recorderを使って行われています。楽器は、Roland, Korg, Casioのシンセを使っており、Roland MSQ-100でシーケンスを組んでいました。A4ではRoland S-50 Samplerも用いられています。それでは内容を紹介していきます。 生ドラムも使っていると思うのですが、全部打ち込みなんだろうか?結構、急襲系の切羽詰まったような曲が多いですが、まあ王道のシンセウェーブだと思います。また徳永さんの越智さんのヴォーカル・スタイルは似てはいるのですが、越智さんの方がより伸び伸びと力強く歌っている印象ですね。A3やA4なんかは多分ドラムマシンとシーケンスするベースラインがはっきり分かります。しかしながら、全体を覆っていらのは、陽キャではなく、ダークな雰囲気ですね。そう言う意味では、シンセ・ウェーブと言うより、今で言うダーク・ウェーブに近いですね。それと、シーケンス以外の上物のシンセは恐らく手弾きでしょう。この頃になると、デジタル・シンセが出回ってきた時代でしょうか?そんな音が聴こえますね。そこら辺の使い方がやや中途半端なようにも感じますが。そうは言っても、曲の完成度は高く、1980年代中期に咲いた徒花の如く、素晴らしいダーク・ウェーブなので、ゴスやダーク・ウェーブに興味のある方は是非とも聴いてみて下さい‼️あと、B1のような少しアラビックなメロディの曲も捨てがたいですね。それと、LP2でのデモ・ヴァージョンとの比較も興味深いです。 LP1 A1 “Elaborate Dummy” A2 “Watch Your Scope!” A3 “夢を夢に” A4 “浮かぶ · 迷う · 漂う” A5 “Industrial Eye” B1 “舞い上がれ” B2 “操り人形” B3 “Generation Storm” LP2 C1 “Industrial Eye (Demo)” C2 “Burning Light” C3 “浮遊体” D1 “夢を夢に (Demo)” D2 “舞い上がれ ’86” D3 “浮かぶ · 迷う · 漂う (Demo)” “Industrial Eye” (single version) https://youtu.be/QKBY9aRnPpY?si=H1JfgRvxAO89uHWx [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kd0NgX5elsAkSCcKlS6B5XcyvaGQJhCvc&si=bbkqNPnUz_2CqalO #PortrayHeads #SelfTitle #MinimalWave #BitterLakeRecordings #Mid-1980 #MatuyamaCity #SynthWave #Minimal #Synthesizers #FemaleVocal #ToruTomita #MikiharuDoi #AyumiTokunaga #YumiOchi #ElaborateDummy
Synth Wave / New Wave Minimal Wave / Bitter Lake Recordings 不明Dr K2
