-
Flipper “Fight”
久しぶりのFlipperです!これもCDでは持っているのですが、どうしてもアナログで聴きたくて、購入しました。これは、以前に紹介したスタジオ盤”Love”と対のライブ・アルバムになっており、メンバーも、Bruce Loose (Vo), Ted Falconi (G), Krist Novoselic (B, Back-Vo), Steve DePace (Drs)と言う最強のメンツです。Flipperのバイオグラフィーは以前にも書いてありますので、ここでは省略しますが、FBのコミュニティを見ていると、まだまだライブはやっているみたいですね。ライブ・アルバムと言うことなのですが、共に2007年のライブ録音で、A面は、ワシントン州シアトルのFunhouseでの、B面は、オレゴン州ポートランドのDante’sでのライブ音源となっています。対のアルバムと言うことで、A3, A4, B1, B3は、対のスタジオ・アルバム”Love”からの曲です。A1, A2はファースト・アルバム”Generic Flipper”から、B2はシングルから、B4, B5はセカンド・アルバム”Gone Fishin’”からの曲となっています。まぁ内容は、言わずもがな、最高!ですね。文句無しにカッコ良いA1で始まり、スローでルーズ極まりないA2, Novoselicのベースラインがカッコ良い短い曲A3, 再びスローでルーズな曲にLooseの怒号のようなVoが乗るA4、そうして、DePaceのDrsに導かれて、Looseの血管が切れそうなVoが印象的なB1, 不協和音のような演奏がカッコ良い初期の名曲B2, Looseの語りから始まり、DrsとB、そしてFalconiのアップピッキングのGが入ってくるB3, Melvinsもカバーしていた名曲B4, 再び、ひたすら繰り返されるダウナーなベースラインに、雑音にしか聴こえないギター、手数の多いドラムとヘロヘロなVoから成るB5で、本作品を締めています。 思えば、Flipperは、結成当初から「変」でしたね。パンク・バンドの多くが演奏スピードをアップさせて、ハードコアになっていくのに対して、Flipperは、ひたすら、スローでルーズな演奏に始終しており、時に、”Brainwash”のような実験的で速い曲もあるのですが、スラッジ・コアの元祖のような演奏ばかりをやっていたこと、そして、割とミニマルと言うか単純なベースラインに、ちゃんと弾いているのかどうか分からないようなギターが乗る構築の曲をひたすら作り続けてきたのも特筆すべきことだと思います。また、”Ha Ha Ha”のように完全にふざけたような歌詞の曲も彼等の特徴だと思います。そんな「クズ」な音楽をやっていると言う意味で、「真のパンク」だと思う訳です!! このアルバムは、メンツも最高で、録音状態も良いので、彼等のライブ・アルバムとしては最高です!未聴の方には、是非とも聴いてもらいたい1枚です(インナーのBruce Looseの勇姿もめっちゃカッコ良いです!)!因みに、私の購入した盤はリプレスなので、クリア盤ですが、元々は、2009年に黒盤でリリースされています。 A1 “Way Of The World” (4:08) A2 “Shine” (7:59) A3 “Be Good, Child!” (2:06) A4 “Why Can't You See” (7:41) B1 “Night Falls” (6:08) B2 “Ha Ha Ha” (2:46) B3 “Triple Mass” (4:24) B4 “Sacrifice” (5:41) B5 “The Lights, The Sound” (5:23) https://youtu.be/uswV25ezvLY?si=yT3T0D5kVhOHPejk #Flipper #Fight #MVDAudio #2014年 #ClearVinyl #Repress #2009年 #Punk #US #WestCoast #LiveAlbum #StudioAlbum #Love #Seattle #Funhouse #Portland #Dante’s #2007年#BruseLoose #TedFalconi #KristNovoselic #SteveDePace
Punk MVD Audio $36.80Dr K2
-
Savage Republic “Live Trek 1985-1986”
久々に出てきました!米国L.A.のインダストリアルの裏番長Savage Republicのサード・アルバムにして、2枚組ライブ・アルバム”Live Trek 1985-1986”を、今回はご紹介します。元々、このアルバムを狙って購入した訳ではなく、何かを買うついでに見つけて、購入したのですが、ずっーと聴いていなかったので、今回、漸く聴くことにしました。Savage Republicのバイオグラフィーについては、以前に書いてありますのでので、そちらをご参照下さい。それで、本作品への参加メンバーは、Bruce Licher (G, 12弦G, B, Perc, Vo), Ethan Port (Perc, G, 12弦G, Maracas, Metal-Horn, Vo), Greg Grunke (B, Vo, Recorder, Cümbüs), Mark Erskine (Drs, Perc, Vo), Robert Loveless (Kbd, G, B, Mandolin, Perc), Thom Fuhrmann (B, G, Vo, Trombone, Kbd)の6人とクレジットされています。セカンド・アルバム”Ceremonial”を紹介した時に、その音楽性の変貌に驚いたことは書きましたが、バンドは、解散/分裂と再結成で、大きく3つの時期に分けられそうです。第一期は、Africa Corps(1980-1981年)から改名してからの1983年末までの期間で、メンバーは、Bruce Licher (G, B, Perc, Vo)とMark Erskine (Drs, Perc, Vo)のコア・メンバーにJackson Del ReyことPhilip Drucker (G, Vo, Perc, Kbd), Robert Loveless (Kbd, B, Mandolin, Perc)とJeff Long (B, Vo, G)が加入した編成の時期で、丁度、セカンド・アルバム作製途中までの時期、そして第二期は、1984年-1989年で、メンバーは、Bruce Licher (G, B, Perc, Vo), Mark Erskine (Drs, Perc, Vo), Thom Fuhrmann (G, B, Vo), Ethan Port (G, Tapes, Vo), Greg Grunke (B, G, Vo, Dulcimer, Recorder, Cümbüs)に加えて、Jackson Del Rey (G, Vo, Perc, Kbd, Saz)やRobert Loveless (Kbd, G, B, Mandolin, Perc)及びBrad Laner (Drs, Perc, Vo, Kbd)も参加しています。この時期はライブ・カセットが多かったのですが、1988年〜1989年に、アルバム”Jamahiriya”, “I Married Thurston”そして”Customs”を出しています。その後、暫く間が空き、第三期は、2002年から現在で、Thom Fuhrmann (B, G, Vo, Trombone, Kbd), Ethan Port (Perc, G, Metal-Horn, Vo), Alan Waddington (Drs, Back-Vo), Kerry Dowling (B, G, Kbd, Vo)で、最初は、Robert LovelessやGreg Grunkeも参加していたそうです。また、Drsも最初は、Joel ConnellやSterling Foxもいましたが、2007年からはAlan Waddingtonに、またBも2007年頃にVal HallerことAdrian OsborneやJack Housenも参加していましたが、現在はKerry Dowlingになっています。アルバム”1938”を2007年に出して、復活を遂げ、マイペースでアルバムもリリースしています。 と言う訳で、本作品は、第二期初期の1985-1986年のライブ音源を集めたライブ・アルバムと言うことになります。先述のように、参加メンバーは、Bruce Licher (G, 12弦G, B, Perc, Vo), Ethan Port (Perc, G, 12弦G, Maracas, Metal-Horn, Vo), Greg Grunke (B, Vo, Recorder, Cümbüs), Mark Erskine (Drs, Perc, Vo), Robert Loveless (Kbd, G, B, Mandolin, Perc), Thom Fuhrmann (B, G, Vo, Trombone, Kbd)の6人です。では、早速、Savage Republicのライブ・アルバム”Live Trek 1985-1986”の各曲をご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Ivory Coast” (3:27)は、ダラダラしたGの爪弾きから、1,2,3,4のカウント一発で、メタパーも使ったノリの良いアップテンポに雪崩れ込むインスト曲です。Gのメロディが何処か中近東風です。 ★A2 “Siege” (4:11)は、ぐるぐるするGとBのイントロに、キックが入り、咆哮と共に、メタパーも乱打されるリズミックなインスト曲で、結構、ダイナミックな展開で、個人的には好みです。 ★A3 “Trek” (6:11)では、キリキリするG/Bの中から、スパイ映画のようなBラインが立ち上がり、やはり雪崩れ込むように、トライバルでリズミックな曲となります。Gのメロディは何処か叙情的にも聴こえます。 ★A4 “Mobilization” (2:58)は、再び、メタパーをふんだんに取り入れたアーバン・トライバルな曲で、Voも入っています。メロディは何かVlnっぽい音なのですが、誰が演奏しているのでしょうか? ★B1 “Last Grave At Dimbaza” (2:55)は、中近東風のBラインとタム多用のDrsに、Gのメロディが冴えるインスト曲です。 ★B2 “Dionysius” (2:38)は、一転、王道のポップミュージックのような聴き易いインスト曲で、ビート感も申し分無しですし、Gのメロディもかなりポップですが、異色なナンバーです。 ★B3 “Attempted Coup: Madagascar” (3:38)は、トライバルなDrsやPercに、咆哮のようなVoが乗る曲ですが、途中でダブルBのようになって、上昇していきます。 ★B4 “Exodus” (5:59)は、B3に連続して、Bラインから始まり、リズミックなPercとジャングル・ビートを叩き出すDrsに、Gのメロディが乗るインスト曲で、バックにはKbdらしき音も聴取出来ます。 ★B5 “Real Men” (3:19)は、ノイジーな低音に連続して、ドコドコしたDrsとメタパー及びグリグリしたBをバックに、叫ぶようなVoが入る曲で、”We’re the real men!”と言う歌詞が耳に残ります。 ◼️LP2 ★C1 “Machinery” (3:09)は、結構カッコ良いビートの効いた曲で、パンキッシュなVoも入っています。とにかくBラインがイカしていますし、Gもカッコ良いです。 ★C2 “Ceremonial” (5:00)では、ジワジワ迫るイントロから、唐突なGのカッティング、そしてポストパンクなビートの効いたインスト曲が始まります。曲展開もドラマチックで、途中のブレイクもグー! ★C3 “Assembly” (4:41)は、Gの奏でる中近東風メロディに合わせて、メタパーやPerc、更にDrsも加わってくるインスト曲で、トライバル感も強いです。 ★C4 “Procession” (5:39)も、ジャングル・ビートを叩き出すDrsに、GやKbdがメロディを奏で、更に、それらをバックに、野太いVoが入る曲で、結構トランシーです。 ★D1 “Sudoxe” (4:41)は、いきなり逆回転から始まりますが、これは一種のドッキリでしょうか? ただGのメロディは結構良いです。多分B4の逆回転だと思います。タイトルもアナグラムですし。 ★D2 “Spice Fields” (6:37)は、グリグリするG/BとカッティングするGから始まる曲で、何処となくThe Gun Clubの醸し出すカントリーっぽさを感じます。勿論、Voも入っています。また、それぞれの楽器がグリグリ弾きまくったりもしています。 ★D3 “Year Of Exile” (9:32)は、12弦GのアルペジオとGのイントロを経て、次第にテンポアップするDrsから、感情に訴えるGのメロディとビート感も充分なリズム隊から成るインスト曲で、やがて、忙しないDrsとメロディを奏でるKbd?/G?に、低音でのメロディのBも入ってきて、その後、ドラマチックな展開となります。 セカンド・アルバムを聴いた時は、驚いたのとちょっとガッカリした覚えがありますが、本作品は、トライバル・インダストリアルな曲が多くて、正直、安心しました。それにしても、Savage Republicの本質を垣間見たような、良く出来たライブ・アルバムだと思います。それは、如何にも、米国らしい香りのする「インダストリアル」と言うか「ポスト・パンク」らしい音楽性で、例えば、Hunting LodgeやThe Gun Clubと言った米国でさか生まれないような、「砂っぽい」独自性を感じることが出来ます。また、それと同時に、僅かながら中近東風のメロディも感じることが出来るのも、Savage Republicの特徴でしょう。なので、中近東風味のある米国臭のある音楽を聴きたい時には、本作品はピッタリです! Let's Try!!! https://youtu.be/iTwtIxiGKgg?si=6LuxtaCg3PXV1rgZ [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLvlZklfv96MNvAsjQh3gZdSfFZ4bZABD-&si=Sb-Mat-zMmW9Lkm2 #SavageRepublic #LiveTrek1985-1986 #Fundamental #NateStarkman&Son #ThirdAlbum #LiveAlbum #Industrial #Tribal #PostPunk #Instrumental #MetalPercussions #Americana #Middle-East-like #BruceLicher #EthanPort #GregGrunke #MarkErskine #RobertLoveless #ThomFuhrmann
Industrial / New Wave / Tribal Fundamental / Nate Starkman & Son 不明Dr K2
-
Flipper “American Grafishy”
またまた登場のFlipperです。このアルバムもCDは持っているのですが、どうしてもレコードで聴きたくて、購入しました。それで、意外かもしれませんが、1993年に出た、このアルバムは、1982年にファースト・アルバムを、1984年にセカンド・アルバムを出したFlipperにとって、スタジオ録音としては3枚目になります。その間に、3枚のライブ・アルバムを出してはいるのですが、やはり彼等はライブ・バンドと言うことでしようか? 後、関係あるかどうかは分かりませんが、オリジナル・メンバーのWill Shatter (B/Vo)が、1987年12月9日にドラッグの過剰接種で亡くなっており、そのこともあって、バンドとしての体制を立て直す為に、新たに、John Dougherty (B, Back-Vo)が1990年から1993年まで加入しており、また、VoのBruce LoseもBruce Looseと改名しています。なので、このアルバムでの編成は、Bruce Loose (Vo), Ted Falconi (G), John Dougherty (B, Back-Vo), Steve DePace (Drs, Back-Vo)となっています。また、シングル”Someday” c/w “Distant Illusion”を最後に、Subterranean Recordsを離れ、今回は、Def American Recordingsからのリリースになっています。正直、このアルバムをCDで初めて聴いた時は、「何て、Bが上手いんだ!」と驚きました。そんな新生Flipperの最初のスタジオ・アルバム”American Grafishy”を、今回はご紹介します。因みに、ジャケはTed Falconiによるドローイングで、プロデュースはFlipper自身によるものです。それでは、本アルバムの各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Someday” (4:18)は、流石にシングルになっただけに、ミドルテンポのFlipper節全開、かつ間奏で音数を減らしていくとかの新しいアレンジも加えての名曲となっています。 ★A2 “Flipper Twist” (4:48)は、ノリの良いビート感に全員でのコーラスと、Voに専念しているBruce Looseのパンキッシュさも映える曲です。Ted FalconiのGは相変わらずです。 ★A3 “May The Truth Be Known” (2:51)も、緩急を付けた曲調に、上下してドライブするBととめちゃくちゃなアレンジのG、それにパンキッシュなVoと言うFlipperらしい曲です。Bのコード弾きもグー! ★A4 “We're Not Crazy” (3:11)も、イカしたBラインに導かれて、突っ走るパンク・ナンバーで、サビのコーラス部分が堪らなくカッコ良く、またBruce LooseのVoもいつもにも増してパンキッシュです。 ★A5 “Fucked Up Once Again” (5:31)は、スローテンポで、世の中にパンクがハードコアとして速さを求めるに対して、パンクのフィールドにあってFlipperの当初からのスローな曲は異質で、Bラインも割とミニマルで、Voは伸びやかに、Gは「良く分からない」、そしてDrsがテンポをキープしつつ盛り上げていくと言う彼等らしい曲です。 ★B1 “Exist Or Else” (5:18)は、割とノリの良いビート感の曲で、Bもミニマルながら、そのテクがFlipperの音楽性をアップさせています。コーラスで歌うのも高得点です。しかしながら、Gは相変わらずの無茶振りです。 ★B2 “Distant Illusion” (4:28)は、重く引き摺るようなBと煽りまくるVoとつんのめるようなDrsに、何だかよく分からないGから成る曲で、曲調は今までの曲の中でよりシリアスな雰囲気で異質です。 ★B3 “Telephone” (3:18)は、割れた音色のBのリフから始まるノリの良い曲で、途中の「電話ヴォイス」も効果的です。もう、Gなんかは音を出しているだけのような「雑音装置」と化しています。 ★B4 “It Pays To Know” (4:50)は、再び、ややスローでシリアスな曲調になり、必死で訴えかけるVoの迫力も流石です。繰り返すリフから成るBとそれを盛り上げるDrs、珍しくリフを刻みかけも、再び無関係になるG。完璧にFlipperサウンドです! ★B5 “Full Speed Ahead” (3:37)は、Flipper流「ロッケンロー」的解釈によるノリの良い曲で、Bにちょっとした所に上手さを感じますが、Gは相変わらずです。Voの迫力も満点で、最後の曲に相応しいです! 本作品を聴き直して、気付いたことがあるのですが、単にBテクのあるJohn Doughertyが加入したからだけではなく、全体的に、曲のテンポが速くなっており、ノリの良い曲が多いこと、それとアクセントのように、スローでシリアスな曲も散りばめられていることが、このアルバムの最大の特徴ではないかと言うことです。今までの「何となくやる気のない」、コミカルというか「おふざけ」な雰囲気を払拭して、かなり真摯なロック・バンド的になったことに気付いてしまいました(まぁ、確かに前作より9年も経っていれば、それなりに大人にもなるか?)。だからと言って駄目だとかつまらないとかとは、全然思わず、新たな魅力を感じることが出来たね。それに、Steve DePaceの徐々に盛り上げていくドラミング(彼の役割は結構重要!)やTed Falconiのギターノイズにならない意味不明なGアレンジは、always greatなので、聴いていて安心すらしますね!それと、ヴォーカルに専念しているBruce Looseの迫力が凄いことも指摘しておきます。このアルバムは、Flipper史上最も「音楽的」でもあるので、是非ファンの方を含め、パンクロック・ファンの方にも広く聴いて欲しいですね! 後、「Flipperは、パンクとノイズを繋いだバンドだ」としたり顔で言う方がいらっしゃいますが、私はそれには賛同しかねます。それは、Flipperは、どこまで行っても、「クズとしてのパンク」を体現し続けているからです。 A4 “We're Not Crazy” (3:11) https://youtu.be/5miq4YBIlMk?si=tX0J7PFNx2l0-l3m [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kpqZbH4qVLAWEPvN8tlXMmMu4vcaFa7kE&si=Ctva23rf1R--yY8J #Flipper #AmericanGrafishy #DefAmericanRecordings #ThirdStudioAlbum #1993年 #Punk #ScumPunk #Grunge #UpTempo #SlowSongs #Serious #BruceLoose #TedFalconi #JohnDougherty #SteveDePace
Punk Def American Recordings €33.00Dr K2
-
John Cage Realized By Aaron Dilloway With Rose Actor-Engel, Twig Harper, C. Lavender, Quintron, Robert Turman, John Wiese “Rozart Mix”
このアルバムを買ったキッカケは、多分、現代音楽界の奇才John Cageと名前と、ノイズ関係で元Wolf Eyesのメンバーでもあり、来日ライブでの凄まじさに驚いたAaron Dillowayの名前がジャケに一緒に載っていたことと、その曲名が”Rozart Mix”と言う、余り聞き慣れないタイトルだったことから、面白そうと感じて購入したのだと思います(うろ覚えです)。それで、この作品の内容紹介の前に、先ず、”Rozart Mix”とは何か?どう言う経緯で、Aaron Dillowayが関わるようになったのか?を解説してからにしたいと思います。 先ず、この”Rozart Mix”と言う曲なのですが、これは、生前John Cageが、同国の音楽家/作曲家Alvin Lucier (アルヴィン・ルシエ; 米ニューハンプシャー州生まれで、2つの音大で音楽理論と作曲を学んだ後、John Cageによるパフォーマンスに参加、様々な電気テクノロジーを用いた実験音楽やサウンド・インスタレーションを実践してきていた)の為に書いた曲で、滅多に演奏されることはなく、今回、Wave Formと、John Cageの生涯と作品に関する情報をアーカイブする団体John Cage Trustが、この曲の演奏をAaron Dillowayに打診し、それを受けて実現に至った希少な演奏の記録が本アルバムと言うことになります。ヘルプとして、Rose Actor-Engel, Twig Harper, C. Lavender, Quintron, Robert Turman, John Wieseが参加しており、一軒家の中の複数階に12台のオープンリール・テープ・プレイヤーを設置し、6時間に渡り、5〜175カ所の継ぎ目で繋ぎ合わされた88のテープループを再生するという、途轍もないスケールで演奏が行われたとのこと。それで、本作品の内容についてですが、A面は、NY州Red HookのBard CollegeにあるJohn Cage Trustにて、2021年10月23日に行われた演奏のライブ録音であり、一方、B面はオハイオ州OberlinのTarker Millsにて、2021年8月2日に行われた演奏から、一部のループ音を抜粋したものからなっています。これらの準備をしている、或いは演奏している様子を捉えたLPサイズの12頁のブックレットも美しく、また現場の様子(参加者の皆さん、オープンリールのテープの断片だらけになっています)も分かり、想像も逞しくなるようです。と言うことも踏まえて、異例の再演となった記録でもある本作品をご紹介していきましょう。 ◼️side A ★A “Rozart Mix” (16:00)は、正に、多量のループ音によるオープン・リールのオーケストレーションで、様々な音(多くは具体音や会話、古い音楽の演奏等)の断片が次から次へと立ち現れては入れ替わっていき、聴く者の脳味噌を掻き回すかのようです。流石、ループ・マスターAaron Dillowayの下での名演です! ◼️Variations Of Single Rozart Tape ★B1 “Full Mix (Undisturbed)”(2:17)も、テープループから成る曲なのですが、ややゆったりした印象です。また、B面は単一の”Rozart Tape”の変奏曲と題されており、恐らく、回転速度を変えて録音されたりしたオープンリールテープをバラバラにして、逆回転にしたりして繋がり合わせて作ったテープループをそのまま再生しているのではないでしょうか? また、Undisturbedとの記載もあることから、何もミックス時に手を加えていないのではないと思われます。 B1-B6と6曲ありますが、必ずしもその曲間は明確ではありません。 ★B2 “Flip 1 Stereo” (2:17) ★B3 “Flip 2 Stereo” (2:17) 正直、B2, B3は良く分かりませんでした。 ★B4 “Left Mono” (2:17)は、左チャンネルの音のみがモノラルで再生されており、ヘッドフォンで聴くと、何だか気持ち悪いです。 ★B5 “Right Mono” (2:17)は、右チャンネルの音のみがモノラルで再生されています。 ★B6 “L/R Hard Stereo” (2:17)は、左モノラルと右モノラル別々に再生されており、一聴、「擬似ステレオ風」になっています。 テープループを使うアーティストは、そこそこいる(特に、米国)と思いますが、Aaron Dillowayに依頼したのは、正解でしたね。彼は、元々、オープン・リールやテープ・エコーを使った音作りを得意としており、何よりもそのテープ・ループの使い方を更に拡張していますので、正に、John Cageの”Rozart”の再演にはぴったりだったのではないでしょうか? その他のヘルプ/競演者のアーティストもJohn Wieseを始め、それなりに名の通った方々ですし、何よりテープループを作っている作業が楽しそうで、こちらも参加したくなります。そんな和気あいあいとした現場から、まるでノイズのようなループの連打と絡みが放出されるとは、なんて素敵なことでしょう!特に、A面は面白いですので、アナログなテープループを使った音楽に興味のある方は必聴ですね(因みに、後で気付いたらのですが、B面の各曲は、全て2:17に統一されています)! B1 “Full Mix (Undisturbed)” https://youtu.be/cj1QbJZAvpo?si=S5O5ez6vex25dgCb [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_khQPiNwHBVPIui5mi1vPBjqRNsyP6kBxk&si=wiTeCNQZwc7TO3YT #JohnCage #Realization #AaronDilloway #RozartMix #HansonRecords #Experimental #ModernClassic #RarelyPlay #Composition #ForAlvinLucier #88TapeLoops #12OpenReelTapePlayers #InAHouse #JohnCageTrust #TarkerMills #LiveRecordings #Excerption #ColorBooklet #Helps #RoseActor-Engel #TwigHarper #C.Lavender #Quintron #RobertTurman #JohnWiese
Experimental / Modern Classic Hanson Records 5957円Dr K2
-
Flipper “Public Flipper Limited: Live 1980-1985”
FlipperのCDはほぼ全部持っていますが、どうしてもアナログが欲しくで、米国から直で買っちゃいました。やっぱり、Flipperの場合、レコードの方が良いですね。オマケのボードゲームも付いていたり、ジャケが大きな厚紙ポスターになったりと遊び心があるのが、堪らないです。今回、購入したのは、1980年〜1985年の初期のメンバーによるライブ盤2枚組”Public Flipper Limited: Live 1980-1985”です。メンバーも初期の黄金期のメンバーで、Bruce Lose (Vo/ B), Will Shatter (B/Vo), Ted Falconi (G), Steve De Pace (Drs)の4人です(Bruno DeMartassことSteve DeMartisが、D1ではBを、D2ではGを担当した珍しいテイクです。彼は1983年にBとGでヘルプとして加入しています) 。それから、FlipperはダブルBのバンドではないですよ。Bruce LoseとWill Shatterが曲によってパートを交換しているだけです。この時期のダラダラしたFlipperのライブを楽しめると思いますので、それでは、各曲をご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “New Rules No Rules” (2:22)は、1, 2, 3,4で始まるアップテンポのパンク・ソングで、途中でBの音が消えたりしますが、戻して突っ走ります。VoはBruce Loseかな? ★A2 “Hard Cold World” (7:56)は、ダラダラしたMCの後に、メチャクチャカッコ良いBラインからの、タイトなDrsと訳分からんGをバックに、パンキッシュなVoが乗り、段々とテンポアップしていきます。この曲は本当に大好き! VoはWill Shatterかな? ★A3 “I'm Fighting” (2:42)は、これもアップテンポな曲で、直線的なBラインなのにブレブレです。まともなのはSteve DePaceのDrsだけです。 ★A4 “The Game's Got A Price” (8:05)は、ミドルテンポの曲ですが、捨て鉢なVoから段々とグダグダになって終わってしまいます。曲のテンポも緩いです。 ★B1 “Love Canal” (4:01)は、ファースト・シングルの曲で、初期の名曲ですが、ライブでもVoのエフェクトは再現していますね。それにしても、演奏自体は、本当に「クズ」です。 ★B2 “Oh-Oh-Ay-Oh” (1:46)では、Ted Falconi が珍しくGを刻んだと思ったら、くだらない歌詞のアップテンポの曲となり、あっと言う間に終わります。 ★B3 “We Don't Understand” (7:35)では、酷いハウリングをバックに、リズム隊が割合スローなテンポで、ミニマルに始まり、VoとChorusで持っていきます。それにしても、TedのGは何と形容すれば良いのでしょう?出鱈目でもない、コードをちゃんと弾いている訳でもない。最後はBがアップしていって終わります。 ★B4 “If I Can't Be Drunk” (9:01)も、スロー極まりない曲で、単調かつミニマルなBラインに、出鱈目っぽいGと投げやりなVo(多分、Will)に、Trumpet(クレジットには無いですが、ゲスト?)まで入ってきます。やがて、Bまで掻きむしられてきます。 ◼️LP2 ★C1 “Sex Bomb” (10:28)は、Flipperの大名曲にして、大馬鹿なパンク・ソングです。NYCのCBGBでの演奏で、録音物よりテンポが早く、よりパンク的に聴こえますが、もうGのメチャクチャ振りと無意味に叫ぶVoを、ミニマルなBと何とか盛り上げていくDrsが支えています。 ★C2 “Brainwash” (0:59)は、1,2,3,4で始まるパンク・ソングですが、一小節で、アッと言う間に終わりますが、この曲のシングル盤は非常に面白いので、一聴してみて下さい。 ★C3 “(I Saw You) Shine” (9:42)は、ファースト・アルバムに収録されていた曲で、元祖スラッジ・コアなスローで、Voが陰鬱な雰囲気を撒き散らしています。ただ、Bラインはミニマルで単調、TedのGは良く分からない、SteveのDrsが必死でキープしつつ、盛り上げています。またSaxも聴こえますね、ゲスト(クレジット無し)かな? ★D1 “Southern California” (4:45)は、珍しくSteveやBruno DeMartassを含めた全員での作曲となっていますが、Steveのドラミングが凄いです。Voはまるでアジテーションです。この曲では、Bruceに代わって、Bruno DeMartassがBを弾いています。 ★D2 “Life” (5:44)も、ファースト・アルバム収録曲ですが、中々ノリ良く演奏されています。メインVoはWillで、ChorusがBruceかな?段々と適当になっていきます。またフリーキーなSaxも入ってきますが、クレジット無しです。また、Tedの代わりのBrunoによるGは殆ど出鱈目のようです。 ★D3 “The Wheel” (5:24)は、またまたミニマルなBラインに、投げやりなVoとG、それらを支えて、かつ盛り上げるDrs。正にFlipperそのものですね。 ★D4 “Flipper Blues” (6:18)は、スローな跳ねるような6/8拍子のリズムの曲で、Will Shatter作曲です。BruceのVoは、WillのVoよりも潰れており、嗄れ声で、よりパンクっぽいですが、曲調はFlipperには珍しく、ブルース調です。 今回、レコードで聴いて思ったことが、3つあります。1つは、CDだと何だかダレるけど、レコード2枚組だと音の豊潤さを感じられたと言うことです。私、特にレコード原理主義者ではないですが、重量盤と言うことも含めて、低音の迫力が凄かったです。2つ目は、Bruce Loseの曲作りの良さとWill Shatterのヴォーカリストとしての表現力の良さです。このアルバムの殆どが、Bruce Loseが作った曲(まぁ、Flipperの場合、作曲と言っても、Bラインを考えるだけですけど)から成るのですが、どれもカッコ良くて、かつミニマルな曲調に良くマッチしています。これは単純そうに見えて、卓越したセンスが必要と考えています。そして、3つ目は、Flipperはやっぱりライブバンドなんだなぁと強く思いました。と言うのも、スタジオ収録曲以外の曲(全16曲中10曲)が、このライブ・アルバムでは収められており、それらの曲のどれもクオリティが高い(演奏自体のことではないです)と言うことです。また、ライブでも、SaxやTrumpet等のゲストもしばしば入れていることにも気付きました。そう考えると、やっぱりこの頃のFlipperには来日して欲しかったなぁと強く思います!! まぁ、この時期(今もかもしれませんが)、来日しても観客席はガラガラだったとは思いますが。それにしても、毎回、思うのは、Ted Falconiは、G(実は全部アップ・ピッキングで弾いています)をどう言うつもりで弾いているのか?と言うことです。所謂「Gノイズ」を弾きたい訳ではなさそうにも思えるのですが、どう聴いても、メチャクチャにしか聴こえないのが、不思議、と言うか、そこが魅力的です!もう、そう言うのも含めて、私自身は、Flipperみたいなバンドをやりたかったなぁとしみじみ思います。まぁ、興味のある方は、どうぞ聴いてみて下さい! A2 “Hard Cold World” (7:56) https://youtu.be/GvmOklOrWJk?si=ii88BtmHfBdplOG8 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kHLYmxc4JbSvJJY6GgJ3ZyUEtFaQdYHJg&si=YZKsnDFCJRuH7g6D #Flipper #PublicFlipperLimited #Live1980-1985 #4MenWithBeards #Reissue #180g #2LPs #2009年 #SubterraneanRecords #1986年 #LiveAlbum #WestCoast #SanFrancisco #Punk #ScumPunk #BruceLose #WillShatter #TedFalconi #SteveDePace #HelpMember #BrunoDeMartass #UnknownGuests #Sax #Trumpet
Punk 4 Men With Beards (Subterranean Records) $34.99Dr K2
-
Airway “Beyond The Pink Live”
大阪のレーベルNEURECの主催者であり、初期からずっとLos Angelis Free Music Society(LAFMS)の活動を日本で啓蒙してきた坂口卓也氏によると、Airwayは、LAFMSのメンバーから成る、世界初のライブ・ノイズ・バンドであり、元々は、首謀者のJoe Pottsがか1977年に、彼自身の名義で出した7インチ・シングル”Airway”の音をライブで再現しようとしたことから始まったらしいです。1978年に、LAのLos Angeles Contemporary Exhibitions (LACE) からオファーを受けたJoe Potts は LAFMS のメンバーに協力してもらい、Airwayの最初のライヴを行っています(この時の音源が、あの有名なアルバム”Live At LACE”です)。それで、各演奏者の音をPAコンソールでライブ・ミックスする操作を行い、その出力を自分達の持っている有りったけのエフェクターを介して、Chip Chapmanのテープ・ディレイ・システムに送り込み、その結果を大音量で放出。その轟音は演奏者や観客の身体で跳ね返って、マイクで拾われ、再度出力されると言うフィードバック・ループを形成し、会場のコンクリートの壁がバリバリ振動する程の大音量の轟音ノイズが生まれたそうです。以降、Airwayは轟音バンドとしてライブを続ける訳ですが、米国陸軍の放出したPAシステム(しかし音響兵器ではないらしいです)まで購入して、出来る限り大音量でのライブをやっていたらしいです。なので、Airwayのアルバムは全てライブ録音であり、その魅了はやはりライブ体験なのでしょう。 今回は、米国のCortical Foundationが再発したJoe Pottsの最初の1977年のシングルに加えて、1998年2月14日のAirwayのライブCD及び貴重な音源やアートワーク、ディスコグラフィー、写真なども詰め込んだCD-ROMも纏めたセットをご紹介します。それで、最初のJoe Pottsによるシングルには、同じLAFMSのバンドLe Forte Four (Tapes)とVetza McGill (Vo)が使われています。また、1998年2月14日のライブ音源を収めたCDには、Jerry Bishop, Ace Farren Ford, Rick Potts, Richard Snyder, Don Bolles, Kevin Laffey, Joe Potts, Vetza, Dennis Duck, Mike Kelly, Tom Recchion, Liz Young, John Duncan, Don Lewis, Melinda Ring, Pierre Bamboo Dupuy, Fredrik Nilsen, Captain Alan Schuckが参加しており、首謀者のJoe Pottsは、最大ヴォリュームの為に作ったと記述しており、また、リリース元のレーベルも「聴く者の聴力に気を付けながらも、危険な程の大音量でAirwayの音楽を楽しんで欲しい」との注意書きが為されています(場所は、明記されていませんが、恐らく、Santa Monica Museum of Artだと思われます)。CD-ROMには、動画2本(“Airway”と”Mother-Daughter”)の他に、先述のように貴重な紙資料等が含まれているらしいのですが、日本の規格に合っていないらしく、どうも中身は見れないようです。また、”Mother-Daughter”ビデオのオリジナルは、無音のループだとか。 CD-ROMの内容です。 - Airway Movie - Beyond The Pink Poster - Airway Poster W/ 7” Original (1977) - Airway Lp Autopsy Cover Art (1978) - Airway Discography - Gallery Lumani Exhibition, Tokyo - Select Bibliography - Cover Art For Atelier Peyotyl (Japan) (1982) - Poster For Airway Live At Otis Art Institute (1978) - Airway Statement In Beyond The Pink Program - Airway Live At Lace Announcement (1978) - Photos Of Vetza And Joe Potts (1978) - Ten Commandments Of Painting - Airway T-Shirts (1978) - Mother-Daughter Original Label Art (1979) - Credits と言う訳で、Joe Pottsの最初の7インチ・シングルの再発と1998年のAirwayとしてのライブCDについて、ご紹介していきましょう。 ◼️ Joe Potts 7-inch Single (1977年) ※A面/B面は仮です。 ★A Joe Potts “Airway”では、Vetzaの自由自在でシアトリカルなVo独唱の後に、いきなりビートの効いたノリの良いロック・ナンバーが始まり、それにVetzaのVoが乗っています。最後にはGの音が大きくなって終わります。 ★B Joe Potts “Airway”は、最初、恐らくLe Fort Fourの演奏にVetzaのVoが乗った音なのですが、急に、ミキサーから録音機に通す時に、ダイレクトにワウとかオーバードライブを掛けたようなノイズ的な曲になってしまいます。 ◼️Live CD (1998年) CD Airway “Beyond The Pink Live” (42:38)は、ビートを刻むDrsとVetzaと思われる女性Voに木琴やトランペットの音から始まりますが、低音フィードバック音がずっと続いており、そこに、いきなり重音塊が挿入され、如何にもノイズ・オーケストラらしいAirwayの音に変化していきます。各楽器の音/音量もかなり弄られており、またフィードバックらしきノイズも操作されており、これを生で聴いたら、相当の轟音だろうとは容易に想像がつきます。出来る限り爆音で聴きましょう! ◼️CD-ROM CD-ROM-1 Airway “Airway” (5:10) CD-ROM-2 Airway “Mother-Daughter” (3:39) ※CD-ROMは私のMacでは読み込めませんでした。 こうやって、最初のJoe Pottsのシングルから聴いてみると、シングルの、特にB面での録音処理のアイデアを発展させたのが、Airwayのライブ時の出力手法に結び付いたのが、良く分かりますね。多分、PA卓に集めた音奏者の音をステレオ出力時に、エフェクター類に通して、ダイレクトに変化させ、しかも、ミキサーのフェイダーも弄りまくると言う、これぞ「Airwayの心臓部は人間シンセサイザー」たる所以ですね。後、興味深かったことは、聴こえる/聴こえないに関わらず、必ずDrsのビートを入れている所ですね。ここら辺は、非常階段がDrsを入れていることと共通している点かもしれません(実際、Airwayと非常階段は、2010年にスプリットLPを出しています)が、これも最初のシングルのA面のLe Forte Fourの演奏に寄るのかもしれませんね、ただ、CDとかの録音物だとどうしても、全体的に籠った感じの音の感触になってしまいますので、ここは一つ、Airwayに来日してもらって、生で聴いてみたいです!また、文頭の坂口氏によると、Airwayのメンバーでもあり、ノイズ系のB腕エンジニアでもあるJohn WieseがマスタリングしたAirwayのライブCDを、彼のレーベルNEURECからリリース予定とのことなので、それはそれで非常に楽しみです! [Side A Joe Potts “Airway” (7”Single); 途中から] https://youtu.be/ZxDRFL98ipI?si=zVYokioEgT8z7TsC [Side B Joe Potts “Airway” (7”Single); 途中から] https://youtu.be/E_9OtSnq9bY?si=ahgxpZL_9c39Eqeg [本作のライブCDはYouTubeにアップされていなかったので、2016年7月17日のBOXstockでのライブ動画のURLを貼っておきます] https://youtu.be/LLFWjfUnzV4?si=1fQUXPdojKMCAQlO #Airway #BeyondThePinkLive #CorticalFoundation #7-inchSingle #CD #CD-ROM #LimitedEditions #700部 #LosAngelisFreeMusicSociety #LAFMS #LiveNoiseBand #TheFirstLiveNoiseBandInTheWorld #JoePotts #LeForteFour #VetzaMcGill #HumanSynthesizer #TapeDelaySystem #Effecters #FeedbackLoop #LoudNoise #Members #JerryBishop #AceFarrenFord #RickPotts #RichardSnyder #DonBolles #KevinLaffey #JoePotts #Vetza #DennisDuck #MikeKelly #TomRecchion #LizYoung #JohnDuncan #DonLewis #MelindaRing #PierreBambooDupuy #FredrikNilsen #CaptainAlanSchuck
Noise / Free Improvisation Cortical Foundation 2400円Dr K2
-
DNA “A Taste Of DNA”
名盤”No New York”の中で、唯一シンセを使っていたバンド、そして唯一日本人が在籍していたバンド、それがDNAです。その後、シンセ奏者のRobin Crutchfueldは脱退し、代わりにベーシストのTim Wrightが加入します。多分、このコンピ・アルバムで、初めてDNAと言うバンドを知った人が多いのではないでしょうか? その後も、メンバーのArto LinsayやIkue Mori、それにRobin Crutchfieldの活躍は続いています。今回は、DNAの第二期とも言えるTim Wright加入後に、初めてリリースされた12インチEP “A Taste of DNA”をご紹介します。当時、私はレコ屋でこれを見かけたのですが、シンセ奏者がいなくなって、ベースが入って、普通のロック・トリオみたいになったメンバー構成を見たので、その時は買いませんでした。まぁ、また縁あって、今回購入した次第です。 では、先ず最初に、彼等のバイオグラフィーを書いておきます。DNAは、元々は、Arto Lindsay, Robin Crutchfield, Gordon Stevenson (その後、Teenage Jesus & The JerksのBとなる)及びMirielle Cervenka (LAのパンクバンドXのVoのExene Cervenkaの妹)の4人で、1977年に結成されており、そのバンド名は、同じNo WaveバンドMarsの曲名から取られたそうです。Ork Recordsの首謀者Terry Orkが、彼らをライブハウスMax’s Kansas Cityにブッキングしたのが、DNAの最初のライブです。しかし、この後、StevensonとCervenkaは脱退し、残った2人は、日本人で英語も余り出来ず、楽器の演奏経験も無かったIkue MoriをDrsとして引き入れます(因みに、Linsay自身も11本だけ弦を張った12弦ギターにまったくチューニングせずに演奏しています)。このラインナップで、Tier 3, CBGB, Max’s Kansas City等に出演し、1枚の7インチ・シングル”You & You”を録音しています。この最初の1年で、確固たるNo Waveバンドとなり、それでBrian Enoの目に留まり、先述のコンピに参加することになります。その録音後、直ぐにCrutchfieldは脱退し、彼は新バンドDark Dayを結成します。そこで、元Pere UbuのベーシストTim Wright (彼だけがちゃんと楽器を弾けました)が加入し、DNAは「通常のロック」トリオな編成となり、サウンドも劇的に変化します。音的には、更にシンプルでカクカクしたものとなり、Wright のBラインは、Lindsayの引っ掻くよう無調Gをサポートするために、時には威嚇的に演奏したりして、更にMoriの不規則なリズムも特徴となっていきます。その結果、曲構成はよりタイトで短く抽象的になって、「俳句」に例えられることもあったそうです。このラインナップは、1979年〜1982年で、カルト的人気を博しましたが、ロック・ファンと言うよりもアート関係者に受けていたようです。そうして、本作品でもあるDNAのEP(これをミニアルバムと言う人もいる) ”A Taste Of DNA”が、Kip HanrahanのレーベルAmerican Clavéで録音され、1981年には、英国Rough Tradeからもリリースされています。しかしながら、DNAの3人は、1982年にはバンドを解散することを決めており、ファイル・ライブは、CBGBでの3夜連続で、しかも完売!最後のアンコール曲は、Led Zeppelinの”While Lotta Love”のカバーでしたが、その後、John ZornのレーベルAvantからリリースされたCD”Last Live At CBGB”には収録されていません。その後、2004年には、DNAの音源を集めまくったセルフ・コンピCD“DNA On DNA”がNo More Recordsからリリースされています。各人のその後の活動については、またの機会にご紹介します。ただ、Wrightは、2013年8月4日に、癌の為、61歳の若さで他界したいます。 それでは、第二期DNAによる初の12インチEP “A Taste Of DNA”の各曲について紹介していきたいと思います。この時のメンバーは、先述の通り、Arto Linsay (G, Vo), Ikue Mori (Drs), Tim Wright (B)で、NYCのVanguard Studioでの正式なスタジオ録音となっています。 ★A1 “New Fast” (1:13)は、地獄から立ち上がるようなBに結構タイトなDrsと呻くようなVo及び痙攣するGから成る曲で、テンポは一定ではありません。このような短い曲で、一定のテンポを保たないのは、革新的ですね。 ★A2 “5:30” (1:05)は、3拍子のリズムを刻むBにタム多用のDrsに、引き攣ったGとVoから成る曲で、比較的ノリも良いのですが、Linsayがそれに反発しているようです。 ★A3 “Blonde Red Head” (1:55)は、コード弾きするBとやはりタムとキックから成るDrsに、針金のようなGと全てを拒絶するかのようなVoから成る曲で、ノリは良いのですが、まぁLinsayがぶち壊しています。 ★B1 “32121” (0:53)は、独特のフレーズのBとそれを追いかけるDrsとGに、Voと言うか喚き声が挿入される曲で、やはりビート感は皆無です。 ★B2 “New New” (2:49)は、Gの引き攣ったフレーズから始まり、やがてBとDrsが直線的なフレーズで主導権を握る曲で、それを繰り返すのですが、もうGとVoが破壊的過ぎます。 ★B3 “Lying On The Sofa Of Life” (1:53)は、ヘビーなBとDrsのキックをバックに、喚くVoから成るスローな曲で、所々でBは弦を弾いてリズムをキープしています。この曲ではGはそれ程目立ちません。 僅か10分足らずの作品ですが、コンピ・アルバム”No New York”の頃のミニマルな印象とは異なり、WrightのBがかなり曲の軸を為しており、また、適度に崩すMoriのDrsもコンピの時よりも、録音が良いのか?テクが数段上がっているのもポイント高いです。それに対して、LinsayのGとVoは、コンピの時よりも、破壊的/アナーキックに成っており、これらの要素が全て統合された本作品は、DNAの魅力を最大限に封じ込めているのかもしれませんね! アッと言う間に終わってしまいますが、傑作だと思います! (後、直接関係無いですが、私と石橋英子さんとF. Kosakai氏で、DNAにあやかってRNAと言うバンドをやっていました。1枚”A Taste Of RNA”と言うCDも出していますので、良かったら聴いてみて下さい) https://youtu.be/CeA4uaYBCUg?si=3DCihqWOk7fdlQGy [オマケ: RNA 1st CD “A Taste Of…. RNA”] https://youtu.be/v33SjGGSfVU?si=5V0ds8q5sgb1QyQl #DNA #ATasteOfDNA #AmericanClavé #12-inchMiniLP#NoWave #Avant-Garde #NoNewYork #Bass #ArtoLinsay #Guitar #Vocal #IkueMori #Drums #TimWrite #Bass #PereUbu #Ex-Member #RobinCrutchfield #DarkDay #OriginalMembers #GordonStevenson #MirielleCervenka
No wave American Clavé 4999円Dr K2
-
Sissy Spacek “Electrochemistry”
皆さんは、Sissy Spacekと言うバンドを知っていますか? 多くの方は、映画「キャリー」とか「JFK」に出てたMary Elizabeth "Sissy" Spacekと言う米国のメチャメチャ有名な女優さんでは?と思うかも知れませんが、バンドの方は、1999年に、米国LAで結成されたグラインド・コア/ノイズ・バンドで、現在の正式メンバーとしては、Charlie Mumma (Drs/Vo)とJohn Wiese (B/Vo/その他)のデュオから成ります。2001年に、セルフタイトルのデビューCDを出して以来、ハーシュ・ノイズ、ノイズ・コア、グラインド・コア、フリー・インプロ、ミュージック・コンクレート等のジャンルを自在に網羅する膨大な作品(2024年9月の時点で170作弱)をリリースしてきています。初期の作品では、カットアップを多用した、それまでに録音されたデモ音源とライブ音源のコラージュから構成されている曲が多く、また、超限定モノのシングルとかも多いです。また、多くの作品はWiese自身のレーベルHelicopterからリリース或いは再発されています。それまでは、私の認識では、John Wieseは、LapTopを主に使うデジタル系ノイズを演奏する割と地味目なノイズ・ミュージシャンと言う感じだったので、正直、彼がSissy Spacekで、B/Voを演奏して、グラインド・コアを始めた時は、ビックリと言うか、意外な感じでした。しかし、今ではすっかりグラインドもノイズも出来る信頼できるミュージシャン兼エンジニアであり、Los Angelis Free Music Society (LAFMS)とも関係のあり、旧世代と新世代を橋渡しているキーパーソンになっています。また、Wieseは、ソロでも多作家であり、170作以上の作品を出しており、またジャケのデザインも手掛けるマルチ作家でもあります。一方、Charlie Mummaも、多くのバンドやユニットに参加しており、個人的には、Ted ByrnesとのデュオWood And Metalに注目しています(その名の通り、木材とスクラップ・メタルだけを使った即興演奏を繰り広げるデュオです)。話しをSissy Spacekに戻すと、先程述べたバンドの協力者以外にも、Merzbow, Smegma, 非常階段やThe Haters等の大物ノイズ/実験音楽グループからCorydon Ronnau, Danny McClain, Jesse Jackson, Youth CodeのSara Taylor, LiarsのAaron HemphillやKevin Drumm等の若手〜中堅所までとコラボも数多くこなしており、2015年のLA Weeklyでは「今、正に聴くべきLAのパンクバンド、ベスト20選」にも選ばれており、2018年には米国/日本ツアーを敢行、その後も1度日本ツアーをやっています。 それで、この作品ですが、一応、Sissy Spacek名義になっていますが、B面は、わたくしK2の音源を勝手に使ってのコラボ曲となっています。そして、ラテカット盤でも無いのに、何と9枚限定と言う「超限定品」です。しかも、2023年のJohn Wieseの日本ツアーの時に、彼からの手渡しで1枚入手したと言う超貴重なシングルとなんてす。実は、私は2014年に、Sissy Spacek & K2でセルフ・タイトルのコラボ・スプリット作品(CD & 7-inchシングル)を出しており、そのちょっと前からの付き合いになります。まぁ、それはさておき、本作品の各曲をご紹介していきましょう。 ★A Sissy Spacek “Car Fire”は、確かにWieseとMummaのグラインド・コア演奏も聴こえるのだけど、細断された様々な音(既成の音楽を含む)がカットアップされており、もはやWieseによるPC上での作業によるカットアップ・ミュージック・コンクレートとも言えます。 ★B Sissy Spacek & K2 “Crime Simulation”は、何故か私の音源(ライブ音源かな?)も使われており、こちらの曲は更にノイズ度の高いハーシュ・サウンドに仕上がっています。最早、DrsもBもVoも判別出来ないです。こちらは、カットアップ・ノイズな曲調ですね。 まあ、Sissy Spacekの場合、初期のライブこそ、Drs/B/Voによるグラインド・コアのイメージでしたが、メンバーの2人共に、それまでからノイズ・ミュージックや実験音楽等にも手を染めていましたので、その後には、段々と色んなスタイルのエクストリームな音楽を作品化するようになったのだと思います。その意味では、特異な立ち位置のバンドではないかと思います。本作品は超限定のコレクターズアイテム(と明記されている)なので、別に皆さんが聴くことはない確率が高いですが、Sissy Spacekの作品は沢山出ていますので、そちらの入手し易いものを試しに聴いては如何でしょうか? [このシングルはYouTubeに上がってないので、2024年5月のSissy Spacekのライブ動画を貼っておきます] https://youtu.be/DEGDHLB0dAw?si=p5WH6zm2o9wv7tDs #SissySpacek #Electrochemistry #Helicopter #7-inchSingle #UltraLimitedEditions #9部 #CollectorsItem #Noise #CutUpNoise #Laptop #GrindCore #K2 #Electronics #SoundSource #JohnWiese #CharlieMumma #KimihideKusafuka
Cut-Up / Harsh Noise / Musique Concrete Helicopter なしDr K2
-
Wilma “Pornography Lies”
Wilmaって知ってる人いないだろうなぁ。何で、私がこのシングルを持っているかと言うと、1980年代には私はSubterranean Recordsであれは、何でも買っていた時期があるんです。恐らく、その時に100円位で購入していたと思います。その時も、正体は分かりませんでしたので、ちょっと調べてみたのですが、1981年3月にデビューして、1982年8月に最後のライブをやつていること位しか分かりませんでした。ただし、メンバーは、Yvette Dasaltewerk (G, B, Vo), K.D. Davis (B, Vo), Louise Diedrich (Synth, Vln, Drum Machine, Vo)がコアメンバーで、本作品では、ゲストにDave Scheff (Drs [B2])とTom Mallon (Cow [B1]が参加していることだけは分かりました(すまん!)。それでは、取り敢えず、各曲について紹介していきましょう。 ★A “Pornography Lies”は、ややスローテンポの曲で、割と自由に弾いているGと一定のリフを弾くBに単調なドラムマシンと憑き物の呪文のように歌う女性Voから成る曲で、時々Vlnやコーラスワークも出てきますが、最後にGもBも崩れていきます。 ★B1 “Alexander Haig”は、シンセのパルス音と一定のリフのBに、それに合わせたGのリフとエフェクトをかけまくったGとシンセが暴れ回る曲で、ドラムレスかつインスト曲です。 ★B2 “Fast Fascist”は、ハードコアっぽいハイ・テンポのDrsにBとGが一丸となって突き進む曲で、複数の女性Voが喚きまくりますが、Gには歪み系エフェクトは使われていません。 同じフィーメール・バンドでも、The RaincoatsやThe Slitsなどの英国バンドとは違って、米国のこの時期のフェミニスト・バンド(歌詞もかなりポリティカルでストレート)は、もっとなんて言うか音もそうですが、「はみ出して」いますね。細かい主張は分からないですが、、、。ただ、Subterranean Recordsにそう言うバンドが集まっていたのかもしれませんが、米国フェミニズムの独特のノリを感じることができます。また、B1のタイトルもレーガン時代の米国軍出身の大統領第一秘書の名前のようですし。そこら辺に興味のある方や女性バンド好きの方にはお勧めします!また、その後もWilmaは、1985年にセルフタイトルのLPも出していますので、そちらの方がより分かり易いかもしれませんね。 A “Pornography Lies” https://youtu.be/BWby2bbUm3o?si=u_g_FPDUZxM0n4RD B1 “Alexander Haig” https://youtu.be/4a9wiUbTy9c?si=JAn0wAJ1Ubn7_Wql B2 “Fast Fascist” https://youtu.be/-pmV3YRyx1o?si=N-m7cojn4fS8caTu #Wilma #PornographyLies #SubterranenRecords #7-inchSingle #FirstSingle #FemaleBand #AlexanderHaig #FastFascist #Punk #Experimental #Synthesizers #Violin #YvetteDasaltewerk #K.D.Davis #LouiseDiedrich #Guests #DaveScheff #TomMallon
Punk / Experimental Subterranean Records 不明Dr K2
-
Grey Factor “1979-1980 A.D. (Complete Studio Recordings)”
Grey Factorって言っても分からない人の方が多いのではないでしょうか?実は私も知りませんでした。それで某DUの通販で購入したのですが、Discogsにも何にも書いてありません出したので、少し調べました。 1978年に、米国LAで、Jeff Jacquin, Joey Cevetello, Jon Pospisil, Paul Fontanaの4人は、ミニマルなシンセを基本にしたバンドの元になるバンドらしきものを結成します。それで、取り敢えず、ヴィンテージな電子機材で、今から必要になるであろう機材を使って、最初のEP “The Perils of Popularity”をEldorado Recordingスタジオで、まだ若いエンジニアのDave Jerdenと一緒に録音しました。Jerdenは、後にThe Talking Heads and Byrne/Enoと一緒に仕事をするようになります。このEPはカセットにダビングされて、LAで有名なライブハウス、Madame Wong’s, The Hong Kong Café, The Masqueで彼等がライブした際に、20数回に渡って配られています。観客の”Too cool to care”と言う反応は瞬く間に口コミで広がり、皆んなが彼等の動向に注意を払ってました。1980年に、Paul Fontanaが脱退し、代わりにAnne BurnsとJoeyの兄弟のJohn Cevetelloが加入し、セカンドEP “The Feel Of Passion”を録音します。このEPでは、ドラムマシンとシンセを先ずセットアップして、それからGとBを録音し、最後に女性VoとSaxを入れると言うやり方で作られています。この手のバンドとしては画期的ではあったのですが、より内部の対立を浮き彫りにしたライブをケーブルTV番組New Wave Theaterで演奏していますが、それに対して、メンバーはもう止めようと言う意見で一致して、バンドは解散しています。 以上がGrey Factorの略歴ですが、まぁ、LAのアート・ダメージ電子音楽シーンの先駆者であったようで、40年以上霧の中の伝説として語られてきました。今回のセルフ・コンピレーション・アルバムは、彼等が出した伝説のEP2枚を合わせたものであり、新録はしていません。16頁のブックレット付きとも書いてありますが、私が購入したモノの中には含まれていませんでした(ちょっと確認不足でしたね)。それでは、本作品について前振りを紹介しておきます、A面は、彼等のファーストEP”The Perils of Popularity”の収録曲と1979年4月にEldoradoスタジオで録音された曲から成り、B面は、セカンドEP”The Feel of Passion”収録曲と、1980年1月にスタジオ9で録音・ミックスされた曲からなっています。 ◼️The Perils Of Popularity ★A1 “You're So Cool”(5:35)は、太いSynth-Bのシーケンスとドラムマシンにシンセのリフ/メロディが絡んできて、そこに不明瞭なシューゲイザーっぽいVoが乗る、所謂「典型的シンセウェーブ」な曲です。 ★A2 “All In A Day's Work” (2:43)は、いきなりVoとドラムマシンとシーケンスで始まる曲ですが、間奏もシンセでしか出来ないポルタメントを掛けた音を入れています。 ★A3 “Guerrilla Warfare” (3:37)は、フェイドインしてくるシンセ持続音とキックにVoが乗る曲で、その持続音にエフェクトが掛けられているようです。盛り上がりではVoは叫び声になります。 ★A4 “Joyful Sounds” (3:48)では、正回転のドラムマシンに逆回転のドラムマシンを同期させ、そこに簡素なシンセのリフとベースを入れ、抑圧したVoを乗せている曲で、シリアスな雰囲気です。 ★A5 “Above The Gun” (3:34)は、ニュースの声で始まり、ノリの良いドラムマシンとSynth-Bとシンセのリフで突っ走る曲で、切羽詰まったVoが印象的です。途中で転調しますが、バックのSE的シンセ音も凄いです。 ★A6 “4 Hours In A Metal Box” (3:18)は、複数のズレた声のループから成る曲で、その背後に不気味な電子ドローンが流れており、時に金属質な音も聞こえます。 ◼️The Feel Of Passion ★B1 “No Emotion Needed” (3:18)は、単調なドラムマシンとミニマルなBラインに、Percのような音が絡み付き、それに焦っているようなVoが乗る曲で、ここではSynth-BではなくBかな? ★B2 “Inhibitions Run Wild” (3:57)は、スローテンポのマシンにBと持続音シンセとGの簡素なリフから成る曲で、Voも緩急を付けていてかなり泣けます。男女のコーラスとか間奏のSaxなんかも良いスパイスです。 ★B3 “Looking For The Hotel” (3:11)は、ダンサブルなリズムマシンにシンセの持続音と男女のVoから成るウキウキしそうな曲で、BなんかもSynth-Bでは無いのも嬉しいですね。 ★B4 “Shoot It Down” (4:50)は、やや複雑でスローなドラムマシンに、GとBで曲の骨組みを作り、時にSE的シンセが入ってくる曲で、雰囲気一杯のVoが歌い上げています。 A面は割とシンセウェーブな面が強調されていますが、B面では、ドラムマシンを使ったニューウェーブと言うかポストパンクな面が強調されていると思いました。どちらが良い悪いではないのですが、好みの問題ですね。しかしながら、40数年前の音源が今になって発掘され、かつその出来映えも良いと言うのは凄いことだと思いますよ!なので、シンセウェーブ好きな人もニューウェーブ好きな人も是非聴いてみて下さい! A3 “Guerrilla Warfare” (3:37) https://youtu.be/X2CD0wvNVtw?si=pjTxImp1ngLPk4u8 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLNXcBtf0QNBDzvc4_F-QY_gZ0WLvg38dz&si=7LGWpNXcnF-YSGMY [BandcampのURLも貼っておきます] https://greyfactor.bandcamp.com/album/grey-factor-1979-1980-a-d-complete-studio-recordings #GreyFactor #1979-1980A.D. #CompleteStudioRecordings #DamagedDisco #SelfCompilationAlbum #US-Underground #ThePerilsOfPopularity #TheFeelOfPassion #SynthWave #NewWave #Minimal #JeffJacquin #JoeyCevetello #JonPospisil #PaulFontana #AnneBurns #JohnCevetello
NEW WAVE / Synth Wave Damaged Disco 2950円Dr K2
-
Nervous Gender “Music From Hell”
Subterranean Recordsがまだ、米国西海岸の小レーベルであった頃に、V.A. “Live At Target”と言うコンピ・アルバムに入っていたので、初めて、Nervous Genderを知ったのでした。その時、このバンドにはまだ小学生の男児がDrs担当と言うことで驚いたものでした。まぁ当時は、米国西海岸の地下音楽、特にSubterranean Recordsなら、間違い無く買っていたので、このNervous Genderのアルバムもジャケ買いどころかレーベル買いでした。 ここで、Nervous Genderのバイオグラフィーを書いておきます。Nervous Genderは、1978年に米国L.A.で、Gerardo Velazquez, Edward Stapleton, Phranc (本名Susan Gottliebでバイセクシャル。見た目は男性っぽい), Michael Ochoaによって結成されたエレクトロ・パンク・バンドで、当時はそのような概念が無かったので、インダストリアルとも呼ばれていました。1979年には、The GermsのドラマーDon Bollesが加入しましたが、翌年には、Phrancが脱退し、The ScreamersのPaul Roesslerが加入しています。この頃の編成でのサウンドは、先述の”Live At Target” LP/Videoで聴くことができますが、言葉通りのパンクだけではなく、初期のインダストリアルなFactrixやZ’evの変名ユニットUNS等も収められており、無調でノイジーであったので、普通のパンクバンドではないNervous Genderも受け入れてもらい易かったみたいです。また、彼等は、1980年代初頭には、SPK, Factrix, NON, Einstürzende Neubauten, Psychic TVとも対バンしています。それで、1981年に、ゲストVoにBagsのAlice Bagを迎えて、本作品でもあるファースト・フルアルバム”Music From Hell”を作製しますが、彼等はスタジオ録音をしたことがなかったそうです。アルバム・リリース後、Paul Roesslerが、Nena Hargen Bandで演奏する為に、NYCに引越し、代わりにBill Clineが加入、またDon Bollesが、45 Graveと演奏する為に脱退し、加入したのが、8歳の男児Sven Pfeifferでした。しかし、1982年には、Svenと彼の母親は強制退去させられ、2人は、ドイツに戻って暮らしています。ある音楽評論家はSvenのことを「LA音楽シーンにおける荊の棘みたいな、、、。」と評してします。その後、1980年代中期には、彼等のファンでもあったWall Of VoodooのBruce Moreland, Marc Moreland, Chas Greyが入り込んで、コラボしようとして、解散寸前までになります。それは、正にNervous Genderのギター版をやろうとしたからです。この時期、45 GraveのDinah Cancerがしばしばゲスト参加しており、彼等は、ひょっとしてChristian Death, Super Heroines, Kommunity FK, Gobsheit (Stapletonが、Patrice Reposeとやっていたサイド・プロジェクト)のようなゴス・ロックをやって、Anti Clubのようなライブハウスに出演しようとしていたように捉えられたからです。しかし、1988年に、Edward Stapletonは最後のステージに立って、Nervous Genderを脱退します。1990年初頭に、オリジナル・メンバーのGerardo VelasquezとMichael Ochoaは、長年のOchoaの協力者Joe Zinnatoで、トリオとしてNervous Genderを復活させます。このトリオで8回ライブを行い、45 GraveのPaul B. Cutlerをプロデューサーにして、Nervous Genderの最後のアルバム”American Regime"を作り始め、1991年8月26日に、CAのシルヴァーレイクのライブハウスClub A.S.S.で、Nervous Genderの最後のライブを行います。なお、翌年3月28日に、Gerardo Velasquezは、33歳の若さで他界しています。Velasquezの死後、OchoaとZinnatoは、Honeymoon KillersやHuge Killer ShipsのClaire Lawrence-Slaterをシンガーとして迎え入れて、パンクとインダストリアルとポップとグランジの混合物なアルバム”HighHeelTitWig"で作業を進めてましたが、1995年に、Zinnatoは重度の心臓発作によって、彼は音楽活動を辞めてしまいます。また。2000年からは、Edward Stapleton, Michael Ochoa, Joe Zinnatoの3人で、今までに録音してきた音源を、悪かった点を中心に全て聴き直していています。また、この頃、Edward StapletonとKarene Stapletonは、Kali’s Thugs名義でリリースしています。そして、2007年には、Stapleton, Ochoa, Zinnato, Tammy Fraserで、バンドを再構築していますが、2017年になると、StapletonとSan Diego Mod & Cal Artsにて作曲を学んでいたMatt Comeioneの2人で、再びバンドを組み直し、2021年に新録アルバム”Milking The Borg”をリリースしています。2023年には、Nervous Genderのデビュー・アルバム”Music From The Hell”の拡張版を2LPsとCDでリリースしています。 以上が、Nervous Genderの略歴ですが、本作品”Music From Hell”には、Edward Stapleton (Synth, Vo), Gerardo Velázquez (Synth, Vo), Jesus Pagano Lozada (Synth, Vo), Patrice Repose (Lead-Vo [B1-B6]), C. Duffy (Synth, Throat Noises, Lead-Vo [B1-B6]; 本名Edward Stapleton), Bill Cline (Synth, Back-Vo), Don Bolles (E-Perc, Noises, G, [A1-A7]/ Tape Loops, Effects, Tape Manipulation [B1-B6]), Jim Bigolo (Back-Vo, Tambourine)が参加しており、プロデュースは、Gerardo VelázquezとMichael Foxが行っています。また、B1-B5は、1971年5月30日にTraetionギャラリーでのライブ音源から成ります。そして、本作品は、東芝RT-8200aポータブル・カセット・レコーダーとサンキョウSTD-1700カセット・デッキで録音されています。そして、このアルバムは、36時間ものスピンで録音とミックスダウンが行われています。また、ジャケとかWebサイトにBeelzebub Youthとの表記がありますが、これは別バンドのことでは無く、単にB面のことです。このアルバムは2515枚プレスされたとのこと。それからA2とA5は誤記されており、A2が”Alien Point Over View”で、A5が”Nothing To Hide”なので、ここでは修正しておきました。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️Martyr Complex ★A1 “Monsters” (3:27)は、アップテンポのドカドカした生Drsと手弾きのSynth-Bに、パンキッシュなVoが乗る曲で、落ち着きの無さが良い!ヴァイオリンのようなシンセ音もあるのかな? ★A2 “Alien Point Of View” (4:05)は、ドンドンするアップテンポのキックに、ジワる手弾きのSynth-Bと悪びれているようなVoから成る曲で、バックVoもお騒がせで盛り上げています。 ★A3 “Cardinal Newman” (1:46)でも、性急なビートと手弾きSynth-Bに、ヴァイオリンのような上物シンセと2人のVoが捲し立てる!捲し立てる! ★A4 “Fat Cow” (2:36)では、バタバタしたDrsと脳に直接響くようなシンセに、Voとコーラスがまた良くて、上物のシンセがキュルキュルしていて結構カッコ良い。 ★A5 “Nothing To Hide” (2:41)では、悪びれたリフを弾くSynth-Bと早口Voは、ポップ・パンクにも聴こえますが、そこはシンセ・バンドですね、変なアレンジを施しています。 ★A6 “People Like You” (2:40)は、ヘンテコなリズムに高音を強調したSynth-Bとまたもや早口Voが乗る曲で、間奏ではシンセ同士が打つかり合います。 ★A7 “Regress For You” (3:40)は、スローで怪しい雰囲気で始まり、のっそりと進む中で、ダルなVoとちょっと延長したコーラスワークが如何にも米国人っぽさを感じます。後半にはシンセによるリズムも出てきます。 ◼️Beelzebub Youth ★B1 “Christian Lovers” (4:45)は、何となくアラビックな旋律のシンセとユニゾンのVoが不気味に迫ってくる曲で、ベル音がリズム代わりで、バックでテープ音を流しています。 ★B2 “Exorcism” (2:10)は、ウニョウニョしたシンセと歪んだシンセと奥張ったキックに、叫ぶ女Voと語り口の男性Voが段々とグシャグシャに。最後はインストが続いて終わります。 ★B3 “Bathroom Sluts” (2:28)は、B2の続きのようなシンセ音に、呪文のような男女のVoが延々と続けられ、最後にシンセが暴れます。更に最後に喘ぎ声が、、、。 ★B4 “Pie On A Ledge” (3:23)は、Synth-Bよるパルス音が延々と続く中、男性Voが諭すように淡々と教義を吐き続け、SE的電子音も飛び回ります。 ★B5 “Push Push Push ” (1:56)は、リズムマシンのリズムに合わせて、女性Voが、初めはタイトルを鼓舞し、その内歌詞を投げ捨て続けます。 ★B6 “Alice's Song” (0:58)では、珍しくシーケンサーとドラムマシンに、優雅なシンセ音と男性コーラスと女性Voが乗っかる「欧州的」な小曲で、締めます。 この時代だと、既にシーケンサーは販売されていたの思うのですが、頑なにシーケンサーを避けてますね。なので手弾きになる訳ですが、その分、ノン・リズミックになってしまいますが、そこは、Nervous Gender!シンセでの参加人数を増やすことで、カバーしていのではないかな? それにしても、米国西海岸のこう言うシンセパンクとかインダストリアルは、編成やアレンジが変なものが多いですね。だからこそ、発掘するのは面白いのですが、、、まぁ一言て言うと「いびつ」とか「ダサい」なんですけれどもね。興味のある方はここら辺から入ると良いでしょう! https://youtu.be/BRZ7nTTLP1s?si=GHqaMhl8IXebBmhh [Nervous Genderのライブ”Regress For You (1981)] https://youtu.be/cPNq-DMsWQQ?si=9MYlwYiC_nOk0thA #NervousGender #MusicFromHell #SubterraneanRecords #FirstAlbum #US-Industrial #SynthPunk #Experimental #Industrial #Electro #Synthesizers #TapeManipulation #EdwardStapleton #GerardoVelázquez #DonBolles #JesusPaganoLozada #PatriceRepose #C.Duffy #BillCline #JimBigolo
Experimental / Synth Punk Subterranean Records 不明Dr K2
-
Bastard Noise “Incineration Prayer” & “Self Righteous Suicide”
GrindマスターことEric Woodが辿り着いた境地、それがBastard Noiseです!元々は、Power ViolenceバンドMan Is The Bastardのサイドユニットとして、1991年6月からBastard Noise名義の活動が始まってはいますが、ダブって名義を使っていた時期もあるので、いつからとは正確には言えないのです。しかし、Man Is The Bastardの終焉が、Bastard Noiseの始原と言えるでしょう。当初は、Caveman electronicsと言う真空管の化け物のようなHenry Barnes自作のオシレーターもWoodのデス・ヴォイスから成っていましたが、ヘヴィロックからパワーエレクトロニクスまでの様々な形態で活動をしています。1999年に、John Weiseが加入すると、よりアトモスフィリックな領域まで侵食していきますが、2004年にWieseが脱退し、コアメンバーは、WoodとW.T.Nelsonとなり、近年では、Joel ConnellとDanny Walkerも加わって、元のMan Is The Bastardに近い形態も取っていました。その後は、Woodのソロノイズ・ユニットとして、エレクトロニクスとデス・ヴォイスから成る形態で活動しているようです。 と言うのが、Bastard Noiseの簡単な略歴ですが、本作品は、A面がEric WoodとRick Grinrnasから成る編成で、2018年第二期に、CAのSun ValleyにあるSpeed Semen Clove Factoryで、Michael Roxonによって録音されたトラックであり、B面は、Woodのソロの形態で、2007年第3期〜2011年の第一期に、ペンシルバニア州PittsburgにあるAntennacle StudiosとCAのSpeed Semen Clove Factory Burbankで録音されたトラックから、この作品は構成されています。共に長尺の曲が収録されていますが、B面は都合4章から成り立っています。と言う訳で、各曲をご紹介しますね。 ★A “Incineration Prayer” (15:13)では、恐らくTrogotronicのオシレーターによると思われる、線は細いが切れ味の鋭い電子ノイズが暴れまくっており、徐々にその奥から持続電子音が不気味に忍び込んできます。やがて、金切り声のようなVoが挿入され、更にもう1人のデス・ヴォイスも挿入されて、一気にテンションも上がり、「破壊」のイメージと「(宇宙)空間」のイメージが同居し始め、そして、静かにフェイドアウトしていきます。 ★B “Self Righteous Suicide (Parts I-IV)” (12:59)の第一章は、爆発する電子ノイズとデス・ヴォイスの打つかり合いからなります。第ニ章は不気味な低音Voに導かれて、切り裂き電子音とデス・ヴォイスの衝突からなります。第三章は、アンビエントっぽい電子音が不気味に流れており、そこに「何か」がいる気配が感じられる曲調ですが、結構、緻密な音作りをしています。そして、第四章では、突発的に爆音がその正体を表したかのように空間を支配していき、唐突に終わります。 MITBからのBastard Noise。見事に、Eric Woodの変遷と進化が感じ取れ、またBastard Noiseとしての成熟具合も見事です。多分、彼には元々のグラインド・コアとしてのコアな信念があるので、ここまで続けられたのだと思います(別に上から目線ではなく、単純にそう感じるので)。今はすっかりヴィーガンになったEric Woodですが、それも何らかの信念があってのことだと思います。現在、中耳に骨化が起こり、難聴の為、処置をしなければならない状態ではありますが、アメリカの医療経済事情を聞くに大変だとは思いますが、きっと不死鳥のように元気な姿を見せてくれることをしんじてきます! [B: “Self Righteous Suicide”] https://youtu.be/PnQMDvxuCaY?si=0bXf6helQDfV8EXB [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nUhVMgDlrEbAXcXzS8fR808qVmgDteEwY&si=oNFNcf0hDfTHjfCZ #BastardNoise #IncinerationPrayer #SelfRighteousSuicide #ArmageddonLabel #Album #2023年 #LimitedEditions #500部 #Noise #Electro #Experimental #DeathVoice #Atmospheric #EricWood #RickGribenas
Noise / Experimental Armageddon Label 不明Dr K2
-
Man Is The Bastard / Charred Remains a.k.a. Man Is The Bastard “A Call For Consciousness” / “Our Earth’s Blood“
えー、クレジットがなんかゴチャゴチャしていますが、一言で言えば、Man Is The Bastard (以下、MITBと表記)のミニアルバムと考えて貰えば良いと思います。Charred Remainsと言うのは、このバンドを始めた時の最初のバンド名のようです。MITBと言えば、グラインドコア/ノイズコアのバンドであり、その進化過程で、リーダーEric WoodをコアメンバーとしたBastard Noiseになって行った訳ですが、そこら辺のことは皆さんも知っていると思いますし、以前にも書いたと思いますので、それらをご参照下さい。ただ、このミニアルバムでは、MITBでは、Eric Wood (B, Vo [A1-A5]), Aaron Kenyon (B, Vo [A1-A5]), Joel Connell (Drs [A1-A5]), William T. Nelson (Noise [A1-A5])と言うダブルBのロック的編成で、Charred Remainsでは、Eric Wood (Vo, Noise [B1-B5]), Henry Barnes(Vo, Noise [B1-B5]), Forest (Vo [B2, B5])とノイズコアな編成となっています。また、A面に関しては、Mossbergが録音を担当しています。それで、MITB側(A面)は、1994年にVermiformから出したBone Againstとのスプリット盤”Born Against / A Call For Consciousness”から、また B面は1993年にVermiformからリリースされた7インチ盤”Our Earth's Blood”を今回、コンパイルした「メールオーダー100枚限定」シリーズとして、10インチミニアルバムとして、Deep Six Recordsからリリースされているとのことです。因みに、このセルフ・コンピレーションは、初版1000部プレスされ、その内、300枚がグリーン盤であり、その他には、マーブル緑盤、紫盤、マーブル紫盤も出ており、通常の黒盤は無いようです。 と言う訳で、内容的には、両面共6曲ずつが収録されています。それでは各曲を紹介していきましょう。 ◼️Man Is The Bastard “A Call For Consciousness” ★A1 “Sensory Perception Overload”は、ダブルBによる蠢く低音と複雑な展開の曲で、テンポは基本ややスラッジーですが、時にアップテンポになる部分もあり、また、2本のBと言うことで、ジャジーな音色にも聴こえますね。 ★A2 “Unilateral Cob”では、Bが2本ある為か、複雑な展開を示し、Dビートを叩き出すDrsも含めて、リズム隊の絡み合いが凄い曲ですが、Woodの生に近いデス・ヴォイスも迫力満点で、これぞMITBと言う曲です。 ★A3 “Alone With Labor”は、複雑でスラッジーなDrsと2本のBによる唸るような低音によるインスト曲で、それなの音の間にNelsonのジリジリした電子音が聴取できます。 ★A4 “Hempire (The Ruler's Deception)”では、Dビートを叩き出すDrsと蠢くダブルB、そして時に入る電子音に対抗するようにWoodのデス・ヴォイスが放射されています。 ★A5 “ManThe Roller”は、ビートすら不明瞭になった音塊にWoodとKenyonのデス・ヴォイスが絡み合いながら絡む小曲です。 ◼️Charred Remains a.k.a.Man Is The Bastard Man “Our Earth’s Blood” ★B1 “Man”は、まるで地獄の釜を開けたようなスモッグ・ノイズ塊から、閻魔大王が叫ぶような迫力あるWoodのデス・ヴォイスが立ち上がってくる曲です。 ★B2 “Foreign Children (Iraqi Slaughter)”は、雨音から電子音に移行する間に、Woodのデス・ヴォイスとForestのノーマルなヴォイスがユニゾンで切り裂くように入ってくる曲で、その声には怒りと、共に悲しみさえ感じます。 ★B3 “Pigeon Holed”は、再びスモッグのようなノイズ塊にデス・ヴォイスが絡みまくる曲ですが、バックのノイズも段々エッジが立ってきます。 ★B4 “Users”はチリチリしたノイズと、デス・ヴォイスとBarnsのヴォイスも聴くことが出来る小曲ですが、とにかくWoodのヴォイスは危機感を煽ります。 ★B5 “Remember Thy Creator”では、Woodのデス・ヴォイスとForestの語り口調/ナレーション的Voの対比が興味深いノイズ・コアな曲です。 編成も録音も異なる2面を比べるのは困難ですが、それぞれに録音時期の良さを感じます。A面はこれぞMITBと言えるダブルB編成での特異なグラインド・コアを、それに対してB面では、ノイズとデス・ヴォイスから成る演奏で、Bastard Noiseへの移行期を思わせるノイズ・コアな演奏を堪能できます。そして、その芯となるのはEric Woodの「人間力」なのであると核心します。そんな2面性をも内包するEric Woodを堪能してみて下さい! [A面はバラバラなので1曲ずつ貼っていきます] A1 “Sensory Perception Overload” https://youtu.be/gPDXc89YgdU?si=jLE4ylEmLmlucHOy A2 “Unilateral Cob” https://youtu.be/aGYZEG9SGLY?si=EEhYIhUYu8v5U2al A3 “Alone With Labor” https://youtu.be/-A05hrkg1O0?si=KBu8W0mbrcKl9MOV A4 “Hempire (The Ruler's Deception)” https://youtu.be/wynvsNFNgZs?si=OnK2F8rHCNt6vyw1 A5 “ManThe Roller” https://youtu.be/AnAZ5AuIuuw?si=dUFkOmJIPaubNQhx [B面: Charred Remains a.k.a.Man Is The Bastard Man “Our Earth’s Blood”] https://youtu.be/t1DpIfETQKU?si=7irAqpK9p_d2-dU1 #ManIsTheBastard #CharredRemains #DeepSixRecords #SelfCompilation #10-inchMiniAlbum #ACallForConsciousness #OurEarth’sBlood #Grind-Core #PowerViolence #Noise-Core #EricWood #AaronKenyon #JoelConnell #WilliamT.Nelson #HenryBarnes #Forest
Grind-Core / Noise-Core Deep Six Records 不明Dr K2
-
The Serfs “Half Eaten By Dogs”
私は、このバンド、全然知らなかったのですが、試聴して良かったので、即購入しました。なので、先ず、The Serfsについて調べてみました。The Serfsは、元々、オハイオ州シンチナティで、2010年代後半に結成された3人組で、メンバーは、Dylan McCartney, Dakota Carlyle, Andie Lumanですが、それぞれが別のサイド・バンド(The Drin, Crime of Passing, Motorbike)を並行してやっており、この地域の新しいアングラ・シーンには欠かせない存在です。それで、彼等は、最初のカセットアルバムを2019年に独のミニマルシンセ・レーベルDetriti Recordsからリリース、その後2022年に、シアトルのレーベルDreamから彼等のファーストLP”Primal Matter”をリリースしています。そうして、2023年に、本作品であるセカンドLP”Half Eaten By Dogs”をシカゴを拠点とするTrouble In Mindから出しています。その作品は、モダニスト達が、Total ControlやCold Beat等の未来指向のバンドを米国中西部へグッと引っ張り上げるようなもので、ポスト・インダストリアル或いはインダストリアル・ロック・バンドであるSkinny Puppy, Dark Day, This Heat, Factrixによるグライムと同様の衝撃があったようです。 調べてみましたが、この位のことしか分かりませんでした(すまん!)。過去の作品を聴いてみると、ポストパンクと言うよりも打ち込み系ロック、即ち、インダストリアル・ロックと言う方がしっくりくる感じでした。それで、本作品についでの文章がありましたので、引用します。「この作品は、スカスカの異教徒のヴィジョンに焦点を当てており、それは、氷のようなシンセのハーモニーが、滲み出すケミカルなリズムとボコボコに穴の空いたロックの様式に統率しているようなもので、そうすることで、サイケな憂鬱さも体現できます。そう言うのは抽象的な歌詞にも反映されており、その内容は、自然的厄災と超自然的厄災とが運命的に決まっていることも、また、より可視化された音楽シーンの運命も含んでいると言うことです。」とのこと。実際、彼等は、陰気なドラムやギターとインダストリアルなシンセの予定調和を越えて、方向転換していますし、この作品ではSaxやハーモニカ、Fluteなんかも使っています。まあ、つべこべ言わずに聴いてみましょう。本作品の参加メンバーは、Dylan McCartney (Vo, Perc, G, B, Drs, Synth, Electronics, Harmonica, Flute), Dakota Carlyle (Programming, Electronics, Synth, B, G, Vo), Andie Luman (Vo, Synth)で、ゲストとして、Eric Dietrich (Sax [A5]), Luke Cornett (G [B4]), Bradley Kennedy (Perc [A2])も参加しています。また、内容も両面とも5曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。 ★A1 “Order Imposing Sentence” (3:08)は、いきなりサーフ系ロック・アンサンブルで飛ばすチューンで、カッコ良すぎます。時に入ってくるSE的シンセ音やオルガンも最高です! ★A2 “Cheap Chrome” (3:37)は、性急なマシンリズムとミニマルなシーケンスに、シンセによるメタ・メロディと複数のVoが重なる曲で、ちょっとだけSuicideを想起しますね。 ★A3 “Suspension Bridge Collapse” (4:10)は、LFOシンセとディレイを掛けたマシンリズムから始まり、ミニマルなシーケンスとドリーミーなメロディそしてインダストリアルなシンカッションに、深いエコーを掛けた単語切りのVoから成る曲で、甘くも硬派な印象です。 ★A4 “Beat Me Down” (3:30)は、反復するシンセのリフに、生DrsとGが加わり、ミニマル・ロックな曲で、VoはJesus & The Mary Chainのようで、結構、カッコ良いです。 ★A5 “Spectral Analysis” (4:35)は、A4と連続して、マシンリズムが淡々と流れる中、Bと共に、緩やかなシンセのメロディとディレイを掛けた語り口調とVoが乗ってくる曲で、郷愁を誘うSaxと共に「新しい工業音楽」を感じさせます。 ★B1 “Club Deuce” (5:30)では、シンセで作ったリズムのシーケンスとミニマルなB-Synthに加えて、シューゲイザー風女性Voがメインに入ってきます。微かな男性の語りもワンポイントで。何処かポップになり切れないインダストリアルを感じます。 ★B2 “Electric Like An Eel” (3:47)は、ロック調のマシンリズムに、不思議なシーケンスと地を這うB-Synth、そこに突き放すようなVoが乗る曲ですが、曲はミニマルで、シンセの音色もグーです! ★B3 “Ending Of The Stream” (3:00)では、フランジャーの掛かった低音持続シンセに、土俗的生DrsとVo、それに流れるようなシンセとGが加わり、シンセ版ポストパンクのような曲に仕上がっています。 ★B4 “The Dice Man Will Become” (4:07)は、アップテンポな生DrsとBかつドリーミーなパワーポップな曲で、ノリも良く、シンセも秀逸で、思わず踊りたくなります。 ★B5 “Mocking Laughter” (4:28)は、直線的なキックとBで始まり、ポストパンクなVoが乗ってくる曲ですが、脇を固めるGやシンセが嘗てのFactory系のバンド・サウンドを想起させると同時にドリーミーさも感じます。 私的には、凄く好みのサウンドで、インダストリアルと言う程、悪意や攻撃性は無く、寧ろ、セカンドの頃のSuicideの淡い感情や1980年代のポストパンクやパワー・ポップ或いはガレージのロックっぽさを上手く自分達のテイストとして消化していると感じました。なので、確かにミニマルな曲は多いですが、シンセ・ウェーブよりももっと「ロック」に近いとも思えますし、インダストリアルともインダストリアル・ロックとも全く異なる「歌心」があるように感じます。そう言う意味では、結構、掘り出し物でした❗️多分、好きな人にはピッタリハマると思いますので、先入観無しで聴いてみて下さい!ありそうで無かったサウンドです。 https://youtu.be/_nX6wZz7uLU?si=qQKplt2sOsJc_HWh [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nQmflopNqtRhxj1Xe2wOVqaSoPGanSn9g&si=SpkBrPrVQDfGDDO2 [BandcampのURLも貼っておきます] https://theserfsmusic.bandcamp.com/album/half-eaten-by-dogs #TheSerfs #HalfEatenByDogs #TroubleInMindRecords #3rdAlbum #USA #CincinnatiUnderground #SynthPunk #PostPunk #MinimalWave #PowerPop #Garage #打ち込み #Shoegazer #Synthesizers #DylanMcCartney #DakotaCarlyle #AndieLuman #Guests #EricDietrich #LukeCornett #BradleyKennedy
Synth Punk / Post Punk / Minimal Wave Trouble In Mind Records 2900円Dr K2
-
Group Rhoda “Wilderless”
Group Rhodaとは、米国CA州Oakland在住のMara Barenbaumのソロ電子音楽プロジェクトのことで、2009年頃から活動を開始しています。そうして、2012年に、ファーストアルバム”Out of Time, Out of Touch”をNight School Recordsから出し、その翌年にはセカンド・アルバム”12th House”をNot Not Funから出しています。同年には、Max + Maraと言うデュオで、Dark Entriesより、唯一のアルバムLP “Less Ness”を出しています。因みに、Max + Maraは、Mara Barenbaum (Synth, Vo)とMax Brotman (Synth, Vocoder)から成るデュオで、Barenbaumはその半分、即ち、シンセとドラムマシンを担当しています。このデュオについては、もしアルバムを入手しましたら、その機会にでも 詳細を紹介したいと思います。そうして、2017年には本作品でもあるサード・アルバム”Wilderless”を、2020年に、(今の時点で最新の)4枚目のアルバム”Passing Shade”をDark Entriesから出して、Group Rhodaとしての活動も、順調に進んでいます。その為、彼女は、Oaklandのエレクトロ・ミュージック・シーンの統合メンバーとしても重要視されており、執筆やライブ・パフォーマンスにも力を入れているそうです。 と言うのが、Group Rhodaの略歴で、割と最近のアーティストであることが分かりました。このソロプロジェクトの3作目”Wilderless”は、San FranciscoのRoom 5にて、Mark Pistelによってミックスされており、BerkeleyのFantasy Studiosにて、George Hornによってマスタリングされています。A面4曲/B面3曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Trespass” (5:32)は、アシッドなベースラインとマシンリズムに、空虚さを滲ませるVoとシンプルなシンセのリフで淡々とした曲となっています。余り余計な音が無いのが特徴かと感じましたが、後半は豊かな電子音が花開いています。 ★A2 “Ice House” (5:06)も、同じくシンプルで柔らかなシンセとマシンリズムに、淡々としたVoから成る曲ですが、Synth-Bの音色がA1と同じですね。曲自体は、打ち込みなのに、意外に複雑だと思います。 ★A3 “June” (4:27)は、やや切羽詰まった曲調ですが、決して叫んだりすることはなく、あくまでも柔らかい声のVoを聴かせてくれます。ポリ・シンセの使い方が絶妙に上手いですね。曲も打ち込みにしては複雑で、楽しめます。 ★A4 “Mexi Meri” (3:28)は、ドリーミーな曲調で、マシンリズムとSynth-Bと優しく浮遊感のあるVoで、シンプルに聴かせてくれます。ドラムマシンのオカズの入れ方なんかも秀逸です。 ★B1 “Agua De Florida” (5:32)は、怪しげと言うかアラビックな曲調で、ディレイを掛けたVoが素晴らしいです。特に、後半のベースラインはカッコ良く盛り上がりますね。 ★B2 “Sea Or Be Sea” (5:08)も、アラビックなメロディが紡がれる曲で、ふわふわの抱き枕を抱いているような心地良さが感じられる打ち込みによる曲で、これがマシンリズムとシーケンサーとシンセで作られているのに驚きますね。 ★B3 “Scia” (5:50)は、ややアップテンポな曲ですが、攻撃的な印象等は無く、あくまでも彼女の優しさの範囲は越えてはいません。ただ、ブリブリしたSynth-Bの音色や複雑なシンセのリフやドラムマシンの打ち込みなんかも聴取できて、興味深いです。 天は二物を与えず、とは言うものの、Mara Barenbaumには、緻密な曲作りと天使のような柔らかい声質のVoと言う二物が与えられ、本作品は、それらを遺憾無く発揮している傑作だと思います。あくまでもソフトで優しいシンセ・ウェーブとしてですが。それと、ちょっとだけ気になったのは、Synth-Bの音色が、どの曲も殆ど変化が無かったことで、そこら辺は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私的にはちょっと残念でした。ただ、打ち込みながらも、曲構成は、1980年代のシンセ・ウェーブのミニマルさはなく、かなり複雑な譜面でプログラミングしているので、こう言うところが、1980年代のシンセ・ウェーブとは大きく違うところなんだなと感心しました。個人的には、こう言う曲構成も好きですね。なので、女性Voもののシンセ・ウェーブでの「新」ジャンルに興味のある方は是非体験してみて下さい❗️ A4 “Mexi Meri” https://youtu.be/__4AInDTwWY?si=QluGuiGhySOylTW_ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_legTbDusVwECJvHBAtyhKb-J7pIGEAU48&si=RcKaW6AlCoD542wo [BandcampのURLも貼っておきます] https://grouprhoda.bandcamp.com/album/wilderless #GroupRhoda #Wilderless #DarkEntries #USUnderground #OaklandElectroMusicScene #LivePerformance #Writing #SoloProject #宅録 #ThirdAlbum #SynthWave #ElectroPop #Synthesizers #DrumMachine #MaraBarenbaum #Max+Mara
Synth Wave / Electro Pop Dark Entries 1100円Dr K2
