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Conny Frischauf “Die Drift”
これも謎物件です!Conny Frischaufって誰?多分、信頼の独レーベルBureau Bから出ていたので、買ったのでしよう。余りに知らないので、ちょっと調べてみました。Conny Frischauf (「コニー・フリシャウフ」と発音)はオーストリアのViennaの宅録アーティストで、本作品”Die Drift”は彼女のデビュー・アルバムにして現在、唯一のアルバムであると言うことが分かりました。それで彼女は、2013年に、ポルトガル出身のRick Linsと共にRSHMTHと言うデュオで、カセット作品を出しているので、その前辺りから音楽活動をやっていたみたいです。彼女のソロとしてのデビュー12㌅EP “Effekt & Emotion“は、2018年にInternational Major Labelから出ていますので、ソロとしてはこの前辺りから活動を開始しているのでしよう。その後も、2019年には、独Berlinのレフトフィールド・ダンスレーベルKame House Recordsから、12㌅EP ”Affekt & Tradition”を出しています。Connyが何故、独の電子音楽系プログレ・レーベルBureau Bからアルバムをリリースするようになった経緯の詳細は不明ですが、彼女の音楽が、クラウトロックやニュー・エイジ、ネオ・フォークなどを通過して、現在、レフトフィールド・シンセ・ポップをやっていることと関係があるからでしょう。なお、同年2021年には、プロモ・シングルとして”Parapiri (single version)”もCDRとして出しています。彼女の音楽は、ユニークな電子音とパーカッシヴなビート或いは、軽やかな歌声が宇宙に向かって口笛を吹くように、また水面を描く波紋のように静かで豊かな広がりを生み出すようなものであるとも評されており、Laurie AndersonやCate Le Bonの作品も想起させる程の独創性があるとか(ここら辺の音楽は私は聴いていないので良くは分かりません)。まあ、兎に角、一風変わったシンセ・ポップをやっているようですが、これ以上の情報は見つからなかったです(すまん!)。 と言う訳で、Conny Frischaufのデビュー・アルバム”Die Drift”を紹介していきましょう。内容は両面とも5曲ずつ収録されています。全体の印象としては、最近の宅録システムをフルに使ったエレクトロ・ポップなんですが、ディレイなんかのエフェクトの使い方や曲の構成仕方が、通常のバンドのそれとは異なり、かなり自由度の高いスキルを見せてくれます。確かに、電子音楽系クラウトロックっぽい瞬間も垣間見れるのですが、彼女のアレンジ力で、全く古臭い面は皆無です。と言う訳で、各曲を聴いていきましょう。 A1 “Rauf”は、散歩しているリズムで、多重録音されたヴォーカルが印象的な曲。 A2 “Parapiri”では、ダウンテンポなんですが、使われている電子音が心地良すぎます。タイトルを執拗に歌う彼女の声は澄んでいて、天使のよう。 A3 “Fenster Zur Strasse”では、ヴォーカルの多重録音で幕を開け、朗々と流れるシンセと上手く絡んでいます。途中からラップ調にも⁈ A4 “Sonntag”もゆったりとしたリズムとドローン音で始まりますが、太めのベース音とシンセのリフの使い方が面白いインスト曲です。 A5 “Auf Wiedersehn”は、回転数間違えたような存在感のあるベース・シンセとハキハキと歌うヴォーカル、それがスラップ気味のベースに変わって、クラブ・ミュージックっぽく変化していきます。 B1 “Zeit Verdrehen”は、可愛らしいリズムと太いシンセ・ベースと言うアンバランスに、甘めの独逸語ヴォーカルが乗っている曲で、ディレイが掛かったヴォーカルが面白いですし、クラウトロックっぽいです。 B2 “Roulette”でも、やや民族音楽調のリズムとシーケンスに独逸語ヴォーカルが乗っており、キッチュな感じ。最後にシーケンスが壊れます。 B3 “Eingaben Und Ausnahmen”では、シンセ・ベース・ソロが展開され、トランペットらしきメロディが入ってくるジャジーな曲。 B4 “Private Geheimsache”は、口笛のようなメロディとガチャガチャしたリズムに、硬めの独逸語ヴォーカルが乗ってくる不思議な曲です。 B5 “Freundschaft”では、アンビエントなシンセにトランペット様のシンセとディレイを掛けた物音シンセが入ってきます。やがて静かなリズムや穏やかなヴォイスも。ここら辺はクラウトロックっぽいです。 やはり、現代っ子的で、ちょっと真似出来ないエレクトロ・ポップでしたね❗️あと、ベース音に存在感があるのは、クラブ・ミュージックからの影響ですかね? まあ、ジャケがイマイチですが、これに惑わされず、Conny Frischaufの作品に触れてみて下さい‼️ A2 “Parapiri” https://youtu.be/S6VJWBjV_HU?si=t51So481NyDlcQy- [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kXjdvRT05rQ-0L2z6l0_Wpu0uYcuYRRFE&si=2qjqrmHcS7kRmH0s [BandcampのURLも貼っておきます] https://connyfrischauf.bandcamp.com/album/die-drift #ConnyFrischauf #DieDrift #BureauB #Viennese #FirstAlbum #Left-FieldSynthPop #Electronic #FemaleVocal #Krautrock #NewAge #Synthesizers #打ち込み #宅録 #RSHMTH
Left-Field Synth Pop Bureau B 880円Dr K2
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The Peter Brötzmann Octet “Machine Gun”
私は基本的にジャズのノリがどうも身体に馴染まないので、今までちゃんとジャズを聴いたことがありませんでした。そんな中でも、異形のデス・ジャズを演奏し続けるBorbetomagusや初期のICPは僅かですが、聴いていたことがあります。それで、このPeter Brötzmannは別格で、割と正当な「フリー・ジャズ」として認識していました。そのキッカケになったのが、この”Machine Gun”です(て言うか、ジャズのアルバムに「マシンガン」は凄すぎるやろ?と思います)。Peter Brötzmannのバイオグラフィーを書き始めると、途方もないので、少しだけ。PeterはWuppertalで絵画を習っていましたが、Fluxas運動にも参加しています。しかしながら、ギャラリーな展覧会での参加に不満を抱くようになっていきます。そんな時に彼は米国ジャズミュージシャンのSidney Bechetの演奏を観て、初めてジャズ・コンサートを体験します。その時に、彼は「これだ❗️」と思います。しかしながら、彼は絵画の方も辞めませんでした。んな訳で、彼のアルバムのジャケの殆どはPeter自身がやっています。そして彼はクラリネットとサックスを独学て練習していきます。またtárogató(タロガトー)も演奏します。そうして、彼の最初のパートナーとして、ダブル・ベース奏者のPeter Kowaldがと一緒に、最初のアルバム”Adophe Sax”を1967年にPeter KowaldとドラマーSven-Åke Johanssonと共に録音します。そうして、1968年に、本作である”Machine Gun”をOctetで録音、リリースしますが、Peter自身のレーベルBRO Recordsから出しますが、コンサート会場での物販だけで売っていました。のちにFMP(Free Music Productions)がディストロし、2007年に、Atavistic Recordsが再発しています。1969年には、アルバム”Nipples”を、Han Bennink (Dr), Fred Van Hove (Piano), Evan Parker (Tenor-Sax)に英国人のDerek Bailey (G)を含む”Machine Gun”の時の参加ミュージシャンと共にセッションを録音しており、このセッションからのテイクをまとめたものが、”More Nipples”としてもリリースされています。いずれも喧しい音楽です。1970年代には大所帯のバンド編成になっていきましたが、Peterは大人数の管理が大変だったことから、Han BenninkとFred Van Hoveとのトリオを縮小しています。1980年代には、Peterは、ヘビーメタルやノイズロックにも、接近して、Last Exit名義で、バンドのベーシストてあり、プロデューサーデモあるBill Laswellと一緒に録音もしています。と言うのが、大体の彼のバイオグラフィーとなります。 それで本作品”Machine Gun”ですが、メンバーはSven Johansson (Drs), Peter Kowald (B), Williem Breuker (Tenor-Sax), Peter Brötzmann (Tenar/Bar.Sax), Fred Van Hove (Piano), Evan Parker (Tenor-Sax), Buschi Niebergall (B), Han Bennink (Drs)と言うThe Peter Brötzmann Octetとなっています。もう、A面の出だしから、サックスをマシンガンの発射音に見立てて、かなりノイジーな演奏を繰り広げています。その後、ややジャジーな演奏も聴かれますが、基本的に喧しい演奏になっており、これなら、私のようなジャズ音痴でも聴くことが出来ます。B面1曲目のの”Responsible”でのベースとサックスの掛け合い、そしてB面2曲目の”Music For Han Bennink I”も初っ端から凄いです。何だか、サックスの音に全てが蹂躙されているように聴こえますね。B2ではその名の通り、Han Bennikのドラムが決まってますし、Fredのピアノソロ部分もかっこいいです。そんなアルバムですが、私個人からすると、フリージャズの皮を被った「非常階段」と言う風情でしようか。刺激的な音楽を探している方は、是非とも聴いてみて欲しいアルバムですね。どうですか? A “Machine Gun” B1 “Responsible B2 “Music For Han Bennink” https://youtu.be/aSefSafJ8W4?si=jMIhRSBZMW072-0h #ThePeterBrötzmannOctet #MachineGun #CIENFUEGOS #FreeJazz #Octet #PeterBrötzmann #SvenJohansson #PeterKowald #WilliemBreuker # FredVanHove #EvanParker! #BuschiNiebergall #HanBennink #Loud
Free Jazz CIEN FUEGOS 3927円Dr K2
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György Ligeti “Aventures-Nouvelles Aventures / Atmosphères / Volumina
たまーに訪れる現音聴取発作。今回はLigeti (György Ligeti)の1967年作”Aventures - Nouvelles Aventures - Atmosphères- Volumina”の4曲入りのアルバムです。私の持っているのは再発盤で、1962年にDr. Werner Goldschmidtに設立されたWERGOが版元になっており、Studio Reihe Neuer Musikと言う再発シリーズのアルバムの一つです。その前にGyörgy Ligetiについて少々紹介してみます。ルーマニア生まれのハンガリー育ちの作曲家がGyörgy Ligetiその人です。第二次世界大戦時に、ユダヤ人であった為に、家族はバラバラに強制収容所に入れられ、父親はAuschwitz Birkenau収容所で、弟はMauthausen収容所で命を落としています。終戦後、彼はブダペストで、Kodály Zoltán(コダーイ・ゾルターン)やKadosa Pál(カドシャ・パール)らの元で音楽を学んでいましたが、ハンガリー動乱がソ連軍によって鎮圧された2か月後、オーストリアのウィーンに亡命します。そして、1968年に彼はオーストリア国籍を獲得します。1973年に彼はハンブルグ音楽演劇大学の作曲学の教授をリタイアする1989年まで勤めていました。その後、2006年にウィーンで他界しています。ハンガリー時代では、彼の音楽は、ハンガリー共産党により制限されていましたが、1956年に西欧諸国に来た時に前衛音楽に取り憑かれ、新しい作曲テクニックの開発を始めます。彼は、ウィーン音楽院で学び、その後、西ドイツのケルンでKarlheinz StockhausenやGottfried Michael Koenig, の現代音楽の手法、特に電子音楽に触れ、前衛的手法での作曲方法を学んでいます。彼はダルムシュタットのInternationale Ferienkurse für Neue Musikを訪れ、ケルン電子音楽スタジオで働き始めますが、彼自身は電子音楽を殆ど作っていません。代わりに電子音楽の音の組み合わせ/音色を持った楽曲の作曲に集中しています。3年間そこで働いた後に、彼はケルン電子音楽学校に落ち着きますが、「最初はStockhausenのようにとかKabelのようにとか、何にせよ、『最初に』なりたいと思うものだが、私にはそんな『最初に』というような野心は重要ではない。」と言っています。その後、彼は1961-1971年の間、ストックホルムで作曲学の客員教授になり、1972年にはスタンフォード大学に作曲学レジデントになっています。その後、オーケストラ曲で一気に突き抜け、そのテクニックはDubbed Micropolyphony (Tone Cluster)と呼ばれています。彼のアンチ・アンチオペラの曲”Le Grand Macabre”を書いた後に、半音階主義から転身して、ポリリズムな曲作りに向かうようになります。その中でも「100台のメトロノームのためのポエム・サンフォニック」は現音ファンには有名ですよね? しかしながら、彼を最も有名にしたのは、映画のサントラで、その中でもStanley Kubrickの映画”2001年宇宙の旅”、”シャイニング(The Shining)”や”Eyes Wide Shut”やで、彼の音楽が使われています。 それでは本作品についてですが、1962年前後の曲が4曲、収録されています。1962年作”Aventures”と1962-1965年作”Nouvelle Aventures”は3人の声楽家と7つの楽器の為の曲で、笑い声で始まり、断続的な声やヒソヒソ声とピアノやパーカッション、管楽器なとの楽器が静謐さと突然の鳴りで、緩急をを見事に操っています。声楽の方はソプラノ、アルト、バリトンで構成されでいます。間の取り方が絶妙で、まるでドタバタコメディ(?)のようです。1861年作“Atmosphères”はオーケストラの為の曲で、押し寄せる音の波と引いていく音のコントラストが絶妙です。低音ドローンは腹に響きます。もう少し長くても大丈夫ですね。1961-1962年作”Volumina”はオルガンの為のソロ曲で、その名の通りオルガン・ソロなのですが、トーン・クラスターを聴取できます。ノイズ界で言えば、初期非常階段の蝉丸さんかソロをやったら?みたいな感じですかね(←違う!)? 現代音楽の面白さって、ちゃんと音楽教育を受けた人が、真面目にめちゃくちゃなこと(とは言ってもちゃんと当然、楽譜はある)をやっているのを聴けるところですかね。本当に面白がれるかどうか?なんですよね。まあ、そんな気張らずに聴いてみて下さい。 “Volumina” https://youtu.be/wbLcI9-Js0U #GyörgyLigeti #Aventures #NouvelleAventures #Atmosphères #Volumina #WERGO #ModernClassic #Avant-Garde #ToneCluster #ThreeVocalists #Orchestra #Organ
Modern Classical / Avant-garde WERGO 不明Dr K2
