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Diacanthaspis sp.
モロッコ産三葉虫の記念すべき100体目の登録は、オルドビス紀の希少種ディアカンサスピスになります。今はプロセラトセファラと呼ばれているようですが、どうも言いづらく昔の名前の方がしっくりきますので、あえて昔の種名で記載しました。この種ですが、デボン紀の三葉虫と間違える程、棘に覆われた三葉虫で、頭部からは2本の角と立派な頬棘、そして体を囲むように横から後方に伸びた棘、そして体の上にも4列に並んだ棘が認められます。魚類もいなかったオルドビス紀に何から身を守るために、これほどの全身棘棘の三葉虫が出現したのかなどいろいろ考えると興味がつきません。 この個体ですが、トッププレパレーターによってクリーニングされた標本で、この種としては大型の5㎝オーバーで、棘もオリジナルとのことです。また、この産地は極めて母岩が硬く、逆に三葉虫自体は脆弱なため、このように美しく剖出するのは極めて高度な技術と経験が必要なようです。 ※ 旧ミューゼオ 最後の登録になると思います。
57mm(棘を含む) Diacanthaspis sp. オルドビス紀SK
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Myopsolenites boutiouti
モロッコ産カンブリア紀の三葉虫です。このMyopsolenitesは、両側に尾板近くから長く伸びた側葉棘、頭部も幅広く長く伸びた頬棘を持ち、独特なフォルムをした珍しい三葉虫です。この個体ですが、胸節中葉部の突起も良く残っており、比較的大きなサイズで迫力有る標本です。この種はカンブリア紀の地層が露頭しているToghacheから産出しますが、その採取量は少なく、状態の良い標本はなかなかありません。
90㎜(棘を含まず) Myopsolenites boutiouti オルドビス紀SK
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Paralejurus rehamnanus
モロッコ産デボン紀の通常種のパラレジュルスになります。このレハムナヌスは、頭部の縁辺に大きく深い凹みがあり、二つの山状の形をしていることが特徴です。また、その窪み部分や尾板などに成長に従い、多くのシワが外殻に現れてきます。 この個体は、その外殻の繊細なシワが鮮明に保存され、長い年月を生き抜いた完全成体か老個体である事が推測されます。通常種ですが、トッププレパレーターによって仕上げられた美しい標本です。
55㎜ Paralejurus rehamnanus デボン紀SK
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Hoplolichas plautini
記念すべき150体目の登録は、私の好きなロシア産のホプロリカスです。全身が小さなブツブツに覆われ、頭頂部に一本の細めの角があるHoplolichas plautiniになります。ロシアのトッププレパレーターによって仕上げていただいた標本で、大きさも最大級の7㎝で、少し浮かし気味にクリーニングされています。甲殻類のように表面がブツブツしていて、また異様な風貌をしていますので、一見、グロテスクですが、しばらく眺めていると神々しさと心地よさを感じてくるのが不思議です。昔は小さなブツブツのところに、プラスティックの棘を付けられてハリセンボンのように復元されていましたが、最近は、このようなナチュラルな形で仕上げられることが多くなっています。ただ、スーパー棘棘バージョンも、初めて見た時は衝撃的で、あれはあれで私は結構好きでした。 ※ 駆け足でしばらくは毎日、新規登録しておりましたが、お陰様で目標の150体登録できましたので、今後は随時、ゆっくりと少しずつ新規登録していこうと思っています。今後とも、ご注目いただけたら幸いです。
70㎜ Hoplolichas plautini オルドビス紀SK
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Neltneria termieri
Issafen産のNeltneria termieriになります。Issafen産の標本も近年採取量が激減してきているようで、ここ数年、市場でもこの種をあまり見かけなくなりました。この個体は、現地モロッコクリーニングですが、まっすくな姿勢で、なかなか美しい標本です。特徴的な胸部端の肋棘や尾板先のギザギザもはっきりと保存されています。
66mm Neltneria termieri オルドビス紀SK
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Asaphellus sp.
モロッコ産、オルドビス紀の大型のAsaphellus sp.になります。 Asaphellusもたくさんの種類がありますが、まだ分類が進んでおらず、すべてAsaphellus sp.とまとめられているのが実情です。この個体ですが、今まであまり見たことがない、ロシア産アサフスに似た縦長の形状で、かつ142.5㎜と大型ですので、なかなか迫力もあります。
142.5㎜ Asaphellus sp. オルドビス紀SK
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Longianda termieri
モロッコ東南部Tataに在るIssafenより採取されたカンブリア紀のLongianda termieriになります。Issafenからも最近、興味深い三葉虫が多数産出されています。 この個体ですが、ハミー氏のプレップとのことで尾部末端の垂直の棘も見事に剖出され、質感も良く全体的にも丁寧にクリーニングされています。現地特有の青みがかった母岩とのコントラストが美しい標本です。
70㎜ Longianda termieri カンブリア紀SK
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Quadrops sp.
三葉虫を長年収集しているとよく分からない種に遭遇することがあります。この個体も、一見、クアドロプスに見えますが、通常よく見るものに比べると頭部の比率がかなり大きく、また先端のフォークの柄の真ん中の2本が繋がってしまっています。2009年頃に入手した標本で、正確な産地も不明です。この個体が突然変異体なのか新種なのか今でも定かではありませんが、それ以降、市場でも同様の個体を見かけたことはありません。
72㎜ Quadrops sp. デボン紀SK
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Selenopeltis binodosa
オルドビス紀の小型のセレノペルティスになります。モロッコ産セレノペルティスの中ではおそらく一番小さい種で、頭部から伸びる小さな2本の棘も特徴的です。Zagora areaに流れるDraa川流域のオルドビス紀の地層から採取された、同母岩にアサフェルスも同居している興味深い標本です。
30㎜ Selenopeltis binodosa オルドビス紀SK
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Bohemoharpes sp.
モロッコのLaatchana産のレアハルぺスです。本種はボヘモハルペス属(Bohemoharpes)に属すると考えられています。ハルペスも産地によって違いがあり、一見、エオハルぺスにも似ていますが、デボン紀のハルぺスになります。この個体ですが、尾部を少し上にもたげた姿勢ですが、状態はなかなかいいと思います。
30㎜ Bohemoharpes sp. デボン紀中期SK
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Hamatolenus morocanus
モロッコ産カンブリア紀のレア種です。長い頬棘が特徴的なインパクトのある種です。産地Ouanat Oukhiyteの岩盤は大変硬く採取には困難なところで、また現地は枯渇しているとのことで、現在、この種もほとんど産出されていないようです。
125㎜ Hamatolenus morocanus カンブリア紀SK
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Walliserops sp.
Tafilalt産のWalliserops sp.になります。一般的なFoum Zguid産のWalliserops trifurcatusに比べると、頭頂部の棘が大きくカールし、また先端のフォークの軸が少し短いといった違いがあります。新種、もしくは亜種ではないかとのことですが、よく分かりません。産地によって微妙な違いが出るというモロッコ産三葉虫の多様性が分かる興味深い標本です。
60㎜ Walliserops sp. デボン紀中期SK
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Kingaspis sp.
カンブリア紀のモロッコ産の大型のKingaspis sp.になります。2014年に新種の可能性ありということで入手しましたが、それ以降、市場ではほとんど見なくなりました。このToghache産のKingaspis sp.には頭部と体部中葉から後方へ伸びる長い2本の棘が確認できます。確かにKingaspis armatusを大型にしたような容姿ですが、Kingaspis armatusのような頭部の棘の前方へのカーブは認められません。カンブリア紀の三葉虫も研究があまり進んでいないせいか、調べてもよく分からず、これ以上のことは不明でした。
84㎜(棘を含む) Kingaspis sp. カンブリア紀SK
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Ptychopyge lesnikovae
ロシア産の希少種プチコピゲになります。プチコピゲも今では細かく分類され10種類が論文登録されています。この個体はPtychopyge lesnikovaeで、頬棘があるタイプのプチコピゲの代表的種です。すっきり伸びた姿勢でキャラメル色の外殻が美しいです。
78mm Ptychopyge lesnikovae オルドビス紀SK
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Uralichas hispanicus tardus
モロッコ産のリカスにはKaid errami産の大型のUralichas hispanicus tardusと、Tahramte産などのやや小型のLichas marocanusの2種がありますが、この個体は大型の方のUralichas hispanicus tardusになります。モロッコ産では、かなりの希少種で、最近は市場でもまったく見なくなりましたので、もはや幻種といってもいい存在かと思います。また私が所有する三葉虫の中でもおそらく最大の大きさです。この個体も大きさは27.5㎝とそこそこ大きいですが、この種の最大の完全体の個体は66㎝もあったようです。ちなみにこの66㎝という大きさは、世界の三葉虫の中で、Isotelus rexの73㎝に次いで第2位の大きさを誇るとされています。また2015年頃から市場で見られるようになってきたParvilichas marochiiが、このUralichasの幼体ではないかと言われたこともありましたが、真相は現在でも不明なままとなっています。
275mm Uralichas hispanicus tardus オルドビス紀SK
