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Greenops widderensis
見た目がモロッコの一般種、Hollardopsに近いので一般種に錯覚しますが、北米のGreenopsは簡単に入手できない種となっています。オンタリオ州(カナダ)やニューヨーク州(米国)で産出しますが、Greenopsの中では本種は最も入手はし易い種と思います。ニューヨーク州では、見た目がほぼ同じのBellacartwrightia(中葉に1列の細かい棘の痕跡)も産出しますが、Greenopsの方が希産で小型である事が多いです。 【標本リンク】Fossilera https://www.fossilera.com/fossils/85-greenops-trilobite-hungry-hollow-ontario
Middle Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-707 WidderTrilobites
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Greenops boothi
Greenopsは、北米では古くから知られる種類で、モロッコのHollardopsを小さくしたような種類です。見た目は一般種ですが、近年は簡単に入手できない種類となってきました。この標本は、一見すると何か分かり難いですが、よく見ると複眼が見え、更に胸部と尾部の白っぽい殻が確認できます。周りを飾るように覆っているのは、黄鉄鉱です。まるで蝕まれているのに黄鉄鉱に包まれていますが、生前ではなく化石化した時に置換して結晶が成長したもので、極めて稀な現象です。この産地は既に消滅していると思われ、後にも先にも同様の標本は見かけません。
Middle Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-128-2 LudlowvilleTrilobites
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Quadrops flexuosa
以前には、Philonyx philonyx(RICHTER&RICHTER1952)と呼ばれていましたが、現在ではQuadrops flexuosaと呼ばれています。モロッコのデボン紀の代表的な棘棘三葉虫で、その中でも異彩を放っており、4つに分れた謎の吻、平安装束の冠のような大きなヘラ状の棘(この種類は、それ程大きくないので、新種かもしれません)、肋や尾板から曲線を描いた棘、縦に3列の体節の棘など数えきれないほどの特徴的な棘で武装しています。左後の側葉部は、生前に欠損したのか一部棘が残されていません。従来から見かけるモロッコの代表的な棘々種でしたが、近年は原石が枯渇していて、現代の技術で剖出した標本は本当に貴重です。
Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-139 -Trilobites
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Comura bultyncki
モロッコのデボン紀を代表するド派手な棘々種です。こんなに棘が生えていると生活するにも不便だった気がします。中央列の棘列は、硬いのになだらかに後方に靡いているのは、前進する時に水の抵抗を抑えるためだったのでしょうか。この種をクリーニングするには、技術も時間もかなりの労力を要すると思います。
Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-74 -Trilobites
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Lanceaspis hammondi
2013年位に突如出現し、世界のコレクターに衝撃を与えた新種です。産地は一瞬で枯渇し、完全体のレベルの高い標本は、本標本を入れて世界に数個しかないと言われます。僅かに産出した個体の多くも部分化石であり、一時期コンポジット個体まで高額で取引されていました。モロッコ産は絶産と言われても待てば、その後に少し離れたエリアから産出するパターンもあるのですが、本種はピタッと出てきません。頭部の吻ばかりが注目されますが、尾部も特徴的です。
Lower Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-614 -Trilobites
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Kayserops sp.
一見すると一般的なMetacanthinaに見えますが、この標本は”スパイニーカイセロップス”と呼ばれる全身がツブツブに覆われたタイプの別種です。近年、少量が市場に出てきましたが数が少なく、Kayserops marocanensis n.sp.など市場では幾つかの名称が存在していて、今の時点では正式に名称が確定していないようです。モロッコのデボン紀産一般種では、ツブツブがあるタイプと無いタイプが存在する種類が比較的多く見られますが、何故かツブツブがあるタイプは圧倒的に数が少ない理由は何なのか謎であります。
Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-11 -Trilobites
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Metacanthina issoumourensis
Metacanthinaという三葉虫は、デボン紀モロッコ産においては最もポピュラーの種の一つです。しかし、この標本は、全身が金色に輝き黄鉄鉱化している珍しい標本です。見た目は通常の石灰岩にも関わらず黄鉄鉱化する珍しい例だと思いますし、ごく限られた場所から産出し天然由来とされていますが、出所が英国の著名コレクターからだけしか供給されないので、疑問は残されています。英国産のアンモナイトで良く黄鉄鉱化している標本がありますが、真鍮ブラシで磨くと実はその様になりますので、若しかしたら人造的な要素がありそうです。
Lower Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-481 -Trilobites
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Acastella heberti
ウクライナ西部のポジーリャと呼ばれるエリアからは、シルル紀後期からデボン紀初期の地層がある様ですが、情報が乏しく何よりも特筆すべき様な派手な種類は出てこないため、認知度は低いと思われます。幾つかの文献や図鑑、Web上などで見かけれも本種かシルル紀のカリメネ辺りと地味な数種しか知られていません。
Lower Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-513 BorschtivTrilobites
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Erbenochile erbeni
通称「Turret eyes/Tower eyes」と呼ばれる眼の高さのあるErbenochileは、デボン紀モロッコ産の棘々種において最高峰に値します。事実、この標本は、私の全コレクションの中で、最も購入原価の高い標本であります。この標本は、モロッコのトッププレパラーターHammi氏が手がけた標本で、眼の上のひさしにある細かい棘、体節にある細かい棘までが丁寧にクリーニングされて、もはや美術工芸品の域に達していて、息をのむ美しさがあります。この個体は、左側面に治癒痕も残っており、本種の生態を解明する意味でも興味深いものと思います。
Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-398 TimrhanrhartTrilobites
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Coltraneia oufatenensis
複眼が大きく発達したファコプスの仲間で、Erbenochileの次位に複眼が発達した種類の一つです。大きな複眼は背面まで見渡せる広い視界を有し、死角がありません。捕食者は、そっとColtraneiaに近づいても直ぐに察知されてしまったでしょう。これだけ複眼を発達させた理由は分かりませんが、近縁の種にある様な縦方向に伸びる棘は無く、外敵から早い段階で逃避する選択をしていたのだと考えます。本種は、近年幾つかの小種名が提唱されています。
Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-35 -Trilobites
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Saharops bensaidi
サハロプスは、サハラ砂漠に由来する属名を持つ、デボン紀モロッコ棘々種の一つです。Comuraにとても良く似ていますが、立体方向の棘が短く鋭いものとなっています。大きさは、近縁のComuraに比べると大型化している印象があります。均整の取れたデザインで個人的には好きな三葉虫です。産地が非常に限られていてBoulachghal(Boutchrafine)でしか確認されてこなかったこともあり(近年産出は、Jbel Oudrissでも報告がある)、簡単に入手できない種類でした。 【標本リンク】Extinctions,Inc http://www.trilobites.com/site_arc/index.cfm?action=item&prod_id=3748&
Lower Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-676 -Trilobites
